【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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マモンの過去小話(?)みたいなものです。




2-幕外 『強欲』が願ったモノ

 オレは、昔はあの輝く蒼穹、その雲上の世界で、階位天使の一人として神サマに仕えていた。

 元々は『マモン』なんて名前じゃなくて、『マムエル』って名前だったんだが、まぁ悪魔になって名前が変わることなんてザラにあることだからな。

 

 オレの役目は、『人々が互いに互いを信頼しているか否か』を見定めることだった。

 そういうのは知人同士ってのも確かにそうだったんだが、特に商人達にそういうのが多かったわけだ。

 

 来る日も来る日もそれを見続けてきたオレは、ふと、人間達がなぜそこまでして信頼・信用に、そしてなぜそこまで金銭や宝石などに執着するのか不思議に思った。

 そこでわかったのは、『人は、己たり得らんとするために、何かを求める』のだということだ。

 

 だが、神サマ達はそんなこと許しはしなかった。一人、また一人と無欲な人間が出来上がっていくにつれて、天使としてのオレは素晴らしいと思った。

 けど、心の奥底では、なんと虚しいのだとも思った。

 

 だからオレは、神サマに直訴した。「このままでは、人は物に頓着しない人形になってしまいます」ってな。

 だけどな、神サマは何て言ったと思う? 「ならばそれで善いではないか」ってさ。

 笑えるぜ、アイツらは人間のことなんざ都合のいいもんとしか見てねぇってこったァ

 

 愛想を尽かしたオレは、こっそりとだが遂に下界に降り立ったわけだ。けどな、そこじゃあ金貨やとんでもない価値がある財宝なんかが、炉端のゴミのように散らかってたんだわ。

 オレは見るに耐えきれず、衆人観衆のいるなかで大演説しちまった。「金銀財宝とは、時になにものにも変えがたい栄誉となるのだ」ってな。

 

 ま、案の定神サマに目ェつけられて、「そんなに金銀財宝を好むというのなら、お望み通り地に堕ちていくらでも拾うがいい」とさ。

 そうしておれは階位を没収され、天使としての資格も剥奪されて、地に墜ちるどころか地獄の底にまで堕とされたってワケだ。要するに、堕天して悪魔になっちまったってこと。

 

 

 

 

 それからのオレは地獄の底で他の悪魔共とシノギを削る日々だった。ある時は共闘し、ある時は裏切り、またある時は利用しされる世界。そんな恐ろしい程に狂ってた世界だったな。

 そんな世界が変わったのは、"兄貴"と出会った時だった。

 

 兄貴は、元々は神サマだったらしいんだが、人間共に裏切られて、更にはいわれのない罪すら背負わされてここに堕とされたらしい。

 けど、だからといって兄貴は凡夫なのかというとそうじゃない。むしろ憧れる程にすげぇ人さ。

 

 荒くれ者やはみだし者共を集めて、めちゃめちゃ規律のいい、軍隊みたいな軍勢を生み出し始めてたんだわ。ちなみにオレはその初期組の一人な。

 そうやってオレ達が荒くれ者なりの規律を持った集まりになって、"三大勢力"なんて言われはじめてきてな。遂に兄貴は『大罪魔王』の一角になったわけだ。

 

 オレはそんな兄貴をみて、「やっぱ兄貴はすげぇ」って思ったよ、そりゃあな? けど、オレはそれだけじゃなくて、「いつか、いつか兄貴の隣に並びてェ」って思ったんだわ。

 兄貴に追い付くため、オレは色んな方法を試して試して試しまくったんだわ。もちろん、悪魔らしく欲望への誘惑だってしまくったさ。

 

 そのお陰もあってか、オレは遂に兄貴と並ぶ大罪魔王の席の一つ、『強欲』の席に座ることができた。他のやつらは明らかヤベー奴らばっかりだったけどな、それでもオレはめげずにがんばり続けたんだわ。

 こういうのを紆余曲折っていうんだろうけどな、でもオレは、堕ちて良かったと思ってるぜ。

 

 何せ、堕ちてなかったらこんな自分をはっちゃるけともできねぇし、そもそも兄貴に出会うことすらできなかったんだもんな。

 つくづくオレは、「やっぱり欲を持つことは大切なことなんだな」って思うぜ。

 

 なぁあんたら、あんたらはちゃんと欲があるか? 自分が求めるものがちゃんとハッキリしてるか? やりたいことはやれてンのか? 

 自分を抑制しまくってちゃァ欲しいモンだって手に入らねぇし、そもそもチャンスすら来やしねェぞ。

 

 いいか? 自分のやりたいことに貪欲になれ、自分の欲しいモンは無我夢中で掴め。じゃなきゃ自分は一生変わらねぇ、人形みたいに生きて、生かされて、そして無様に死ぬだけだ。

 そうなりたくないなら足掻け。そして掴め、自分の本当に欲しいモンをさ。

 

 ──────ま! オレが言えたことじゃァないがな!




長々としたマモンの自己語りでした。
ちなみにマモンの元名は、様々な文献からあさった創作名となっています。
マモンの元々の意味は『人の信頼するもの』なんだとか。真面目な話にはちゃんと真面目に返してくれる彼らしいですね。






あとお忘れでしょうが、彼ほんとは〈バーサーカー〉なんですよ。
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