【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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初めまして、朝霧です。
結構前からあたためてた小説を初披露させてもらいました。何分と拙いですが、ごゆるりとお読み下さい。

あ、エピックシンボルはさんどきますね。
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第零章 序幕
0-前 序幕


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 ────退屈だなぁ……───

 "彼"はそう呟かずとも思いながら、ロンドンの街の路地裏を歩いていく。姿こそ普通の、路地裏にいるようなガラの悪い青年に見えるが、その"中身"も、醸し出す空気も全くの別物だった。

 次第に"彼"は、どこからともなく取り出した双振りの短剣を、ジャグリングの様に器用に回して遊び始める。しまいにはあくびまで出す始末だが、手元が狂う気配は微塵もない。

 そうして暇潰しをしながら歩き、目的の場所までたどり着いた"彼"は、短剣を『まるで無かった』かのようにしまい、これまたガラの悪い青年達の中へと入っていく。

 

「────でよ~。……ん? おいおっせぇぞ、何やってたんだテメェ」

「────悪い悪い、ちょっと寄り道してたら久々に迷っちまった」

 

 そう言ってヘラヘラと笑う姿は、先ほどまでの異質な雰囲気が一切ないかの様に見え、それは本来の"彼"を知る者からすれば普段と変わりないように見えるだろう。

 

「はぁ? またかよ。昔からだけどお前ほんとトロいよなぁ。まぁいいけどよ」

「ハハ、悪いな。んで? 今日はどうすんだ?」

 

 気だるげそうに周りを見る。そこには同じく人相の悪い青年達が4,5人程集まっていた。彼らはこの路地裏の奥にあるスラム出身の者達であり、窃盗や恐喝をして生計を立ててきた者達である。そして何より、彼らは皆幼なじみであり、家族のようで家族よりも強い友情で結ばれていた。少なくとも今日までは。

 

「今日はあそこの露店でスってこうって話してたんだぜ」

「何気に人が多いもの、格好の獲物だらけね」

 

 そう言って、皆口々にどう盗むか、どう盗っていくかを談笑して決めていく。

 

「おいおい、スるのはいいけど、ちゃんと持ってくるもん持ってこねぇとバレるだろうが」

 

 そう言ってリーダー格である青年が言う。彼が言っているのは、この路地裏の少し奥に隠している変装用の衣装のことである。

 

「だな! バレたら元も子もねぇや!」

 

 そう言ってそれぞれ奥へと戻っていく、衣装がおいてあるのはスラムの丁度入り口にある、廃棄されたレンガのマンションの広間、その端だった。

 

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「さてと、じゃおれは…………んー、これか」

「アタシは…………これね」

 

 そう彼らは次々に衣装を手に取る。そうして"彼"が最後に入ってきたとき、異変は起きた。

 

「………………ん?」

 

 リーダー格の青年は、どこか不思議な違和感を覚えた。まるで、『この空間だけが別世界になった』かのような。もしくは、『この空間だけが外と隔離された』ような。そんな不可解な感覚が彼を襲った。

 

「どうした? リーダー」

「…………いや、なんでもね。それよかお前も早く──────────」

 

 一迅の紅い閃撃が、リーダーの青年の首元を横一線に駆ける。次の瞬間、リーダーは膝から崩れ落ち、絶命する。皆の視線が集まり、一瞬の沈黙が流れる

 

「イ、イヤァァァァァァッ!!?」

 

 仲間の一人である少女の叫びが響き渡────

 

「……うるさい、よ?」

「ァ──────」

 

 違和感を覚え、少女が自身の胸元を見ると、音もなく鋭利な短剣が心臓があるであろう場所を貫いていた。それはまるで、はじめから生えていたかのように。

 

「ふ~たり目、っとぉ」

 

 血を吹き出すこともなく、眠り落ちるかのようにゴトリと倒れる少女。その目はまるで信じられないものを見たかのように見開かれていた。

 

「な、なんでだよ…………。なんでそんなことしてんだよお前!!」

 

 そう仲間の一人だった少年が激昂して叫ぶ。しかし"彼"は意に介した風もなく、手に禍々しい短剣を、先ほどのようにジャグリングしながらとぼけたように言う。

 

「んー、まぁ有り体に言うなら暇潰し?」

「なっ…………」

 

 その今までの彼とは思えないような言い方に、違和感よりも怒りを抱いた少年は、その感情のままに"彼"を殴り付けようと走り寄る。

 

「ッ──────! テンメェェェェッ!!」

 

 握り拳を作り、"彼"へと襲いかかる────、が

 

「はい、チョロいね~」

 

 そう言ってすれ違いざまに一閃する。少年はそのまま糸が切れたように倒れ、こと切れる。

 そうして一人、また一人と綺麗に殺されていき、最後の最後にたった一人の少年が残った。

 

「な、なんなんだよ、どうしたんだよお前!!」

 

 その質問に対し、"彼"は子供のように、口元に指を持っていき、考えるような仕草をする。

 

「ん~~、ま、最後に教えてあげるよ。君達の仲間だったボク────いや、彼かな? 彼はね、もう殺してあるんだよ、3日前にね」

「────…………は?」

 

 唖然とする少年。────殺した? 誰を? 自分が、自分を? 訳がわからないという風に目を見開く少年に、"彼"は嘲笑うかのように説明し始める。

 

「"これ"を見つけたときはほんっと楽しそうだなぁって思ったんだ~。だってぇ、中々に上物な魂で殺した時の絶望感が堪らなそうだったんだもん、でも蓋を開けてみればこの通り。つまんないったらありゃしないよ~」

 

 コロコロと笑う"彼"に、少年は恐怖を覚える。────違う、彼じゃない。これは、彼をマネした"ナニカ"だ、と。

 少年は必死に、そして懸命に逃げる方法を考える。どうにかしてあのバケモノから逃げなくては。だが、それを呼んだかのように、唐突に"彼"が振り替える。

 

「無駄だよ~。ボクの"劇場"からは誰も逃げられないのサ♪ まぁそもそも、逃げ道なんてあってないようなものだしねぇ~。……さてと、じゃそろそろ幕引き《カーテンコール》と行きましょ~」

 

 そう言って"彼"は少年に向き直り、ゆっくりゆっくりと歩いて距離を詰めていく。

 

「ヒッ! く、くるなっ! やめろっ! こないでっ!」

 

 コツコツと歩み寄る恐怖が目の前を染めていく。1つ2つと近付き、もう数歩で少年に触れるというところで、突如、"彼"に異変が起こる。

 

「ッ! グゥゥ……ッ! まだ……生きてたのね…………っ

 」

「っ、な、なんだ……?」

 

 少年は突然のことに驚き、固まる。すると、苦悶に歪んでいるが、いつもの彼の顔が戻り、少年に向かって声を上げる。

 

「くっ…………、逃げ、ろ…………。長くは、持たない、ぞ…………っ」

「っ! き、君なのか!?」

 

 少年が驚き、駆け寄ろうとする。だが、それを彼はにらみつけ、近付けさせないよえにする。

 

「おれのことはいい…………っ、早く、逃げろ…………っ!」

「で、でも…………」

「いいから……っ、いけ、っ!!」

 

 少年はその気迫に圧され、すぐさま広間の出口へと走っていく。走って逃げて、そうしてもうすぐ出られる────────

 

「────なぁんちゃって」

 

 そんな声が聞こえ、視界が反転する。そうして少年の意識は次第に消えていこうとしていた。が、そこへ"彼"がやってきて、

 

「ねぇ? これが戻ってきたとでも思ったぁ? 助かったとでも思ったぁ? 残念だったねぇ? ぜーんぶ、ウッソ♪ だってさぁ、言ったじゃん? 誰も逃げられないって────────」

 

 そう言われ、少年は悲しみと悔しさをかみしめ、暗転する意識の中、無力感と絶望感に襲われていった。




誤字脱字や意味のわからないなどありましたらご報告下さい。出来る限り直したり説明したりします(汗)
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