【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
3-1 祝勝
〈煉獄 ??? 〉
円卓に備え付けられた九つある椅子。そこに今は二人しかいないが、対面するようにして座っている。対象的なピエロの紋章と、火を吹く狼龍の紋章の席。ただその二つのみに人影がある。
「────ん~、そっかぁ。『
さもゲーム感覚であるかのような声の伸びで会話を切り出す青年──────『
そして視線は自ずと、上座に座る男の方へと向く。
「…………下らん。末席たる彼奴の勝敗なぞ、気にする価値もない」
憮然とした態度で語る男。つばの広いビーバーハットのような帽子の下からは、まるで興味がないかのような空気が漂う。
ふと、その意識が『
「それよりも、例のものに怠りはなかろうな」
「もちモッチ~。仕込みは上々よン」
そう言って懐から一つの
笑いを深める道化師と、ただ静かに佇む黒衣。二人の謀略は今なお深まっていく────────。
〈カルデア内 食堂〉
「さーて、まずは祝・マモン撃破ってとこかな?」
ダ・ヴィンチの茶化すかのような口調が、微笑みを携えて立香に向けられる。
その周りでは先の戦いで活躍し者達が、皆口々に談笑していたり、さらなる作戦を起てていたりしていた。
「まだ安心できないけどね」
「うんうん、先を見据えるのはいいことだよ」
ダ・ヴィンチが頷きながら立香の言葉を肯定する。
そして、視線は立香の隣にて、机の上に座り込むベルフェゴールへと向けられる。
「さて……マモンが言ってくれなかった件、君も言えないんだろ?」
「う、うん……ごめん……」
申し訳なさげに眉を下げるベルフェゴール。マモンが去る前に言っていた黒幕について、そして彼らの目的について。立香達が各々の考えをまとめていた。
しかし、そのどれもが確証を得られず立ち往生にも近かった。
「ま、この件はキミを檻から出してから。ってことかな」
「はい、まずは救出。そうすればベルフェゴールさんは私達の手助けをしてくれる、ですね」
マシュの発言に、ベルフェゴールはおずおずと頷く。
ベルフェゴールのいる監獄についてはマモンから教えられ、ついぞ先程帰って来た先見隊からそれが事実であったことが告げられた。
「で、でも、監獄の外だと、本体のリンクが切れて、えっと……わかんないです……」
口ごもるように言葉が尻すぼみになっていくベルフェゴール。つまるところ、監獄の外に出ると、本体の方のベルフェゴールと連絡がつかなくなるということであった。
「なら、余計に心配だよ。ダ・ヴィンチちゃん、すぐに行こう」
「はいはい焦らない焦らない。でもそういう君の大胆なとこ嫌いじゃないぜ?」
そう言って席を立つダ・ヴィンチ。職員たちに声をかけていく姿を見送り、立香はベルフェゴールへと向き直る。
「大丈夫、きっと助けるよ」
「はい、先輩とならきっと、ベルフェゴールさんも無事に脱出できます!」
「う、うん……ごめんね、うん、ごめん……ありがと」
マシュの勢いを腰が引いたようになったベルフェゴール。その後申し訳なさそうにしつつも柔らかく微笑む。
その様子を傍目に、立香は顔を上げて天を見上げる。そこには天井しかないが、立香には目指すべき場所を見据えてるような感覚を覚えていた。