【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
走る、走る、走る。たまに角に隠れ、やりすごす。
しかしそれでも、やはりここでは見つかってしまう。
「居たぞ! こっちだ!」「逃がすな! 追え!」
監守達の怒号が廊下に響く。
立香達は息を切らしながら、ベルフェゴールと、潜伏していたロビンの案内の元、出口へと向かっていた。
目的地へと向かうために角を曲がり、直進し、また角を曲がる。
「──────あっ、あそこ! あれが"
「それよかおたくも走ってくれませんかねぇ!? いい加減きついんだけどね!」
ロビンに担がれたベルフェゴールが、出口へと続く近道である"
そこには数人の番人代わりの監守達がいた。だが、立香の影から飛び出た何者かに全員が倒れ伏す。
「クハハハハ! 緩い! この程度では、オレのマスターの執念は止められん!」
「むぅ! おかあさんの、邪魔っ!」
エドモンとジャックが一蹴した監守達を傍目に、立香達は禁忌区画を仕切る扉の中へと入っていく。
ここが出口への近道だということは、立香達はネビロスから聞いていた。だが、ここにはいない当のネビロス達は、
『残念ながら、我々はついていけません』
『これ以上は流石にマズイんですよぉ……』
と共に来ることを断っていた。申し訳程度の情報からここへと向かうことになった立香達。
そんな彼らに対して、なおも懐疑的なBBや沖田ら。
「彼らは本当に信用できるんですかねぇ、悪魔ですし」
「大丈夫、少将なら、ウソはつかない」
まるで確信を持っているかのように言うベルフェゴールに、「ならいいんですケド」と鼻を鳴らすBB。
なおも止まることなく禁忌区画の中を走り続ける立香達。うめき声が聞こえる中、立香はある牢の前で立ち止まってしまう。
「──────……何者だ」
牢の中から問いかけられる。その中にいたのは年若い、美男子であっただろう擦れた姿の"天使"がいた。
立香はその男を呆然として見つめていると、男がまたしても口を開く。
「人間…………? なぜ…………そうか、お前達が…………」
一人納得したかのような雰囲気を見せると、その鋭い眼光を立香に向け、一方的に語りかける。
「……人間、忠告しておこう…………。"道化師"に気を付けろ。奴は、
「君は…………」
立香が男に、何者か問いかけようとした時、
「マスターさん! なにやってるんですか! 早く!」
沖田の急かすような声が聞こえ、立香は後ろ髪を引かれる思いで仲間の元へと走っていく。
そんな立香の後ろから、遠退く男の声が自らの耳へと聞こえてくる。
「己を忘れるな……自らが居た場所を忘れるな……奴は、すぐそこにいる…………。あぁ……私の、名は……────」
「──────私は、『シェムハザ』だ……」
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何度か監守に遭遇したものの、誰も欠けることなく無事に脱出した立香らは、すぐさまシャドウ・ボーダーへと乗り込む。
『おかえりー、なーんて呑気にも言ってられないみたいだね』
「シャドウ・ボーダー緊急発進っ!」
「「「アイ、アイ、キャプテン!」」」
すぐさまキャプテンがエンジンをフルにかけてシャドウ・ボーダーを緊急発進させる。
みるみるうちに遠くなっていく監獄は、サーチライトの光が空高く昇っていた。一先ずは安全を知った立香らが、深いため息と共にその場に崩れ落ちる。
「ご、ごめんね…………でも、ありがとう」
「うん……どういたしまして」
申し訳なさそうにするベルフェゴールに、立香は疲れながらもはにかむような笑顔で返す。それにつられたベルフェゴールもまた照れたようにはにかむ。
つかの間の休息。ふと立香は、先程禁忌区画で会った男の言葉を思い出す。
『"道化師"に気を付けろ。奴は、
『己を忘れるな……自らが居た場所を忘れるな……奴は、すぐそこにいる…………』
どういう意味か、立香はさっぱりとわからなかった。だが、どこか聞き逃してはいけないものだと、心のどこかでそう直感する。
「ねぇ」と立香が全員に声をかけやうとしたその時、
「「「うわぁぁっ!?」」」
シャドウ・ボーダーが急停止し、中にいた全員が驚き、転げ回る。
一体どうしたのか────。そう思い、立香はコックピットのモニターを見る。するとそこには────。
『全く、二人も甘いものだね……とは言え、ボクもこういうことはしたくないけど』
『おじさん、荒事得意じゃァないんですがねぇ。"宰相"?』
二人の男性の姿をした悪魔が立ち塞がっていた。
ネ タ バ レ 確 定
勘のいい人やある程度知ってる人なら解ってしまう黒幕。はてさて一体誰なのだろうか。
延長延長ッ、9/3の朝で締め切るデス!