【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
〈カルデア内 食堂〉
「やぁやぁさっきの見てたよー。随分とやるみたいだねぇ」
「うぇっ? あ、う、うん……そ、そうかな?」
ダヴィンチの褒めに照れるベルフェゴール。
食堂内ではベルフェゴールの歓迎会のようなものが開かれていた。そこでは様々なサーヴァント、特にキャスター系のサーヴァント達から質問攻めになっていた。
「ちょっと、戦闘記録見たわよ。何あれ、何で無詠唱であんなのできるのよ」
「ふむ、確かに。見たところルーンも使っていないようだが?」
メディア、スカディと、どんどん多くの魔術師達に囲まれるベルフェゴール。
あたふたとしながらも質問に対して一つずつ丁寧に答えていく。
「え、えっとね……、まず、僕が使うのは、『原始魔術』って言う、魔法と魔術が別れる前のものなんだ」
「ほう」
スカディが前のめりになって聞く。
ベルフェゴールは説明しながら氷の彫像を形作っていく。それはまるで水晶でできたスカディであった。
「こんな風に、細かいこともできるんだ。あっ、僕に合うのは氷と、あと軽い時空系、です……」
「具体的に何が出来るんだい?」
そんな光景を立香は微笑ましく見ていた。そこへマシュがお茶を運んでくる。
「先輩、お茶をどうぞ」
「ん、ありがとうマシュ」
ズズズとお茶をすする立香。落ち着きながら監獄で会った男のことを考えていた。
一体、彼は何を伝えたかったのか。ボーッとしながら考えにふけっていた。
「先輩?」
そんな立香の様子をみかねたマシュが声をかける。半分ボーッとしていた立香はその声で我に帰る。
「え? あ、ごめんマシュ。ちょっと、考え事してた」
「考え事、ですか?」
首をかしげていぶかしげな仕草をとる。どう説明したものかと首をひねるが、なかなかいい言葉が思い浮かばず、とりあえず流すことにした立香。
そこへ丁度グレイを連れたエルメロイⅡ世が通りかかる。
「あっ、エルメロイ先生」
「……Ⅱ世をつけてくれマスター。それで、何用かね」
立香に呼び止められたエルメロイⅡ世が苦言を言いながら立香の元へと来る。
グレイと一緒に席につき、立香の話を聞く態度をとる。
「お茶持ってきますね」とマシュは席を外していく。
「で?呼んだからには何かあるのだろう?」
「はい、実は──────」
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「ふむ……"道化師"、か……それに『シェムハザ』か……」
「わかるんですか?」
一通りの話を聞いたエルメロイⅡ世が、立香の話に出てきた重要語句であろう言葉を繰り返して呟く。
グレイは頭に? マークを浮かべているが、エルメロイⅡ世はそれよりも立香の質問に答えることを優先した。
「あぁ……そうだな。まずは"道化師"については何もわからない」
わからないと言われたことに、残念そうに肩を落とす立香。しかし、
「だが『己を見失うな』という言葉や『今いる場所を見失うな』というのは興味深い。なにかしらを示唆しているのだろう。マスターも気を付けたまえ」
「……はい」
そう、ここは悪魔達の本拠地であり、本来ならなにが起こってもおかしくはないのだ。立香はそれを再確認し、真剣な表情となる。
それを見たエルメロイⅡ世は軽く頷くと、話を続けようとする。
「さて……では肝心の『シェムハザ』という者についてだが──────」
何者かということを話そうとしていたエルメロイⅡ世。
だがその次の瞬間、カルデア中に強烈な衝撃が走る。
「うわぁ!?」「なによぉ!?」「「なんじゃぁぁ!?」」
皆それぞれの反応を見せる中、ベルフェゴールが何かに気づいたかのような反応を見せる。
「この反応……まさか!?」
そういうと廊下へと駆け出していく。それを見かけた立香や他の面々もベルフェゴールにつらってついていく。
立香が廊下へ出ると、呆然と、しかし驚きに染まった顔をするベルフェゴールが窓の外を見ていた。
不思議に思った立香は、ベルフェゴールが見ている場所と同じ方向を見る。するとそこには────
「ベルゼ……ビュート……」
遥か先にてバイクにまたがりながらこちらを見るベルゼビュートの姿があった。
ふと、ベルゼビュートが片手を上げるとどこからともなく槍が手元に飛んで来て、回しながら穂先を下げる。
「なんで、ここに……」
「……槍を、投げたんだ……」
ベルフェゴールの絞り出すかのような声の内容に、驚愕の反応をする面々。
不意に立香がベルゼビュートを見直すと、ニッと笑みを浮かべ、来いと言わんばかりに手でクイッと招き、そのまま走り去っていく。
「…………宣戦布告……」
その声に反応できるものは、今はこの場にはいなかった。
はい、次章はお楽しみベルゼビュート編となります!
ヤー!楽しみだなぁ!(自らハードルを上げていく)