【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
物言わぬ屍と化した青年達の中を、鼻唄を歌いながら歩む"彼"。帰り血1つなく、その場に滴る血の1滴もなく眠っているかのように見える現場は、ここで屠殺があったことなどわかりもしないだろう。
"彼"は遺体を集めて並ばせ、何かしらの作業をしていく。さもオモチャを集めて作り直しているかのように、楽しげに作業をしていく。
ふと、背後の空間が歪み、一人の軍服をキッチリと着たいかにも厳格そうな男が現れる。
「────……召集が掛かりました故、お迎えに上がりました」
軍人を思わせるかのような綺麗な敬礼と、重みのあるバリトンボイスでそう告げる男に"彼"は、
「ん。ん~、ちょっと予定より時間掛かかったのかなぁ~? ま、いっか」
さもどうでもいいかの用に死体から雑に手を離し、男が現れた"穴"へと歩いていく。その間に、"彼"は自分の顔に手をかけ、なにかを引き剥がすように腕を引いていく。すると、紙を破り捨てるかの用な音が鳴り、今までの"彼"の姿が抜け殻のような薄っぺらいものになり、中から黒衣のトレンチコートに似たコートを着た青年が現れる。
「……御送り致します、『
「ん、ゴクローさん」
そう言って二人は"穴"を潜っていく。軍服の男は取り残された遺体に、指を打ち鳴らして燃やし上げる。なぜなら、その残された死体は全て表面の皮のみを剥がされていたのだから──────────。
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「『
少女の声が広間に響き渡り、重厚な扉が開かれる。すると、リズムを取るかの様に体を揺らしながら、モノクロのピエロを象った仮面をつけた青年が入ってくる。
広間の中心には円卓が置かれており、そこには九つの玉座にも似た椅子が置かれ、その内六つが埋まっていた。椅子の上にはそれぞれ紋章が描かれたボードが取り付けられていた。
『
「…………召集の声をかけたと言うのに、随分と遅かったな。虚飾」
始めに口を開いたのは青年の真正面左側、鋭利な眼光の、華美に描かれた眼の紋章が描かれた席に座る、眉目秀麗な男だった。その背には純白と漆黒の3対6翼の翼があった。
「あー、ごめんねぇ? ちょっと面白そうなのいたからそっちいってたんだよぅ~」
「ハッ、また途中で飽きてきたんじゃァねぇのか?」
そう言って鼻で笑ったのは先ほどの者と対になる右側、大きく口を開くハエの紋章が描かれた席に座る男だった。その頭はリーゼントじみた、どこかトサカを想起させる程鋭く整えられた緑髪である。
────あれどうやってセットしてるんだろなぁ……────そんな風に関係性のないことを思いながら、
「ぶー、だってしょうがないじゃーん? 思ったより根性なかったんだもん」
と、拗ねたように言い返す。
「どうでもいいけど、早く要件言ってくれない? アタシお肌のケアしなくちゃいけないんだけど?」
「私も。忙しいから半身で来たから早く帰りたいのよね」
まるでどうでもいいかの様に一連の流れに口を出す二人の女性。片方は水着のように際どい格好をして、剣に絡まる蛇の紋章の席に座っている。
もう片方は前者よりも露出は少ないが、返って色気を放出している、ハートマークを絡み合わせたような紋章の席に座っている。
そんな中狐が口を開けたような紋章の席に座る、
「ンなことより早く要件をいいやがれってんだ! オレも兄貴もヒマじゃねぇンだぞ!」
拳を円卓に振り下ろし不機嫌そうに前のめりになって催促する彼に、ヴァニティと呼ばれた彼は呆れたように首を振り、仕方ないとばかりに本題を言い始める。
「やれやれ、皆せっかちだねぇ。ま、いいや。今回皆を呼んだのはさぁ──────、────『
「────………………聞かせろ」
「「「「ッ!!?」」」」
その声に、翼の男とヴァニティを除き、一堂が驚き見る。その視線の先には、火を吹く狼と龍の紋章がかたどられた席に座る男が居た。
「『
「兄貴が興味持ったンなら自分も聞くっス。オラ、早く話せや」
「…………ねぇ? 『
「……そうね、私も興味あるわ」
各々の反応を見てヴァニティは嗤う。これから起こるであろう出来事に、楽しみを隠せずに口元をニヤけさせる──────────。
これにて序幕は終わりです。次章から本編、行きます。
読みにくいよって人は言って下さいです(汗)