【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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fate/ZEROのチェイスBGM(セルフで)聞きながらをオススメ




4-2 追え!疾風のイリーガルライダー

 選抜で決まった面々と共に、アキレウスの戦車に乗りながらベルゼビュートの行方を追う立香。流れる景色は、ほぼ全て黒みを帯びた赤褐色の大地。

 世界が、死んでいる──────。そんな風に、虚しさを覚えながら、立香は風を感じていた。

 

「────見つけたぞマスター!」

 

 アキレウスが声を上げる。それにつられて立香が前を見ると、黒いコートをたなびかせて遥か先を駆ける者がいた。

 遠く離れていても聞こえてくるその爆音は、まさしく自らの居場所をあからさまに示しているかのようだった。

 

「────ゥゥグゥルルル」

「随分と舐めてくれてんジャン?」

 

 隣から、獣のようなうなり声と、陽気な声が聞こえる。アキレウスと並走していた金時とロボは、自身の敵たるものを前に見据えていた。

 

「それよりも、だ」

 

 立香の後ろに、バイクで走りながらも控えるようにしていたアルトリア・オルタが、遠く前を走るベルゼビュートを睨む。

 

「マスターの部屋を掃除し終わった瞬間に散らかしてきたアイツを私は許せん。とりあえずぶっ飛ばす」

 

 地味に殺意を高めながら、手元のハンドルにかける力が増していく。その姿に、ロボ以外が苦笑いをしていた。

 ふと、上空から一騎のサーヴァントが降りてくる。

 

「ねぇ、いつまでこうしているのかしら。私としては早く仕掛けた方がいいと思うわ。あれ、気づかれてるわよ」

 

 低空飛行しながら立香に告げるサーヴァント────メカエリチャンが追跡しているベルゼビュートを指さす。

 確かに、距離はだいぶ近づき、いつ気付かれてもおかしくはなかった。だが、まだ何の動きもなかったがために立香達も動かなかったのだ。

 だが、不意に先を走るベルゼビュートが、それこそ何の脈絡もなく唐突にドリフトを切り始めた。

 

「!?回避だっ!」

 

 アキレウスが慌てて叫び、進路を帰る。それと同時にベルゼビュートがどこからともなく大槍を取り出して地面に叩きつける。

 すると、大地が砕け、凹凸のあるメチャクチャなフィールドが広がっていく。それは、上空から見たならば、まるでサーキットのように見えただろう。

 

「くそっ、仕掛けてきやがった!マスター!」

「各自散開っ!」

「「「了解!」」」「ゥゥガゥッ!」

 

 全員が一度バラバラになって隆起してくる大地を避けながらも追いかけていく。

 そんな中、メカエリチャンがついに仕掛ける。

 

「スカートフレア、発射!」

 

 メカエリチャンのスカートから無数のフレアが飛び出していく。その行き先はベルゼビュートの元。

 ベルゼビュートは一度チラリと見たかと思うと、巧みなテクニックで着弾していくフレアを次々と避けていく。

 その横から、いつの間にかベルゼビュートと、崖のように隆起した場所の上から並走していたヘシアンが襲いかかる。

 

「オォゥガァァルルッ!!」

「おぉっとォ、甘ェんだよ犬っころ!」

 

 機体をスライディングさせ、ロボの攻撃を避けるベルゼビュート。だが、ロボの上に跨がっていたヘシアンからの追撃がかかる。

 

緩い(ぬるい)ッ!」

 

 だがその追撃でさえも、槍を一回しするだけで全て弾いてしまう。

 体勢を戻したベルゼビュートは、さらにアクセルをかけて立香らを引き離さんとばかりに加速する。しかし、それでもなお追随する一つの戦車────アキレウスはなおも離れずにいた。

 

「クサントス!バリオス!ペーダソス!まだ行けるな!」

 

 アキレウスの呼び掛けに三頭の愛馬がいなないて答える。時に段差を飛び越え、疾駆するバイクを追いかけていく。

 しかし、追随するのはアキレウスだけではなかった。その頭一つ抜き出た先、ベルゼビュートのほぼ背後にしっかりと一騎、赤い閃光の尾を曳く漆黒がいた。

 

「へぇ…………やるじゃねぇか。なら──────」

 

 ベルゼビュートが姿勢を前に倒す。すると、ハンドルもまた可動し、先程までの寄りかかるような体勢から前倒しになる。

 それに伴ってバイクの形状も変化し、向かい風すら切り裂いていく。

 

「纏え、『暴風の大公(バアル・ゼブル)』。────さぁ、死ぬ気で付いてこいッ!!」

 

 ベルゼビュートが風を帯びると同時にバイクの後部に取り付けられているブースターが火を吹く。

 更なる加速を得たバイクは、ソニックブームを鳴らして更に先へと走っていく。

 

「おぉう、バイクでソニックブームとかマジかよ!?」

 

 想像を絶するスピードで、それでいて超高度な運転技術で障害物にぶつかることなく差を開いていく。

 それに触発されたオルトリアとアキレウス。各々の目にそれぞれの闘志を宿らせる。

 

「あまり私を────舐めるなよ!」

「負けちゃいらんねぇなぁ!」

 

 メイドオルタは『風王結界』を張って風の抵抗を無くし、アキレウスは更にスピードを上げ、光の軌跡を描いていく。

 だが、それよりも早くベルゼビュートに追い付いたのは────、

 

「そぉら!」

「ッ、ハッ!やるじゃねぇか!」

 

 ベルゼビュートの横からいつの間にか立香らを抜かしていた金時が並走する。

 並ぶ横一線。背後からはオルトリアとアキレウスが迫り、上空にはメカエリチャンが隙を伺っていた。

 かつてないほど沸き上がる高揚に、ベルゼビュートは思わず笑みを浮かべてしまう。それほどにまで彼らは白熱していた。

 




ベルゼビュートのバイクはイメージとしては、
キバの『ブロンブースター』×アルトリアの『風王結界』(完全上位互換ver)だと思って下さい。

ぶっちゃけマッハ行ってます。
アルトリア・オルタは水着(コートver)のやつです。以後メイドオルタと表記しますが、基本同名のは霊基替えできるものとお考え下さい。
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