【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
以前までの平坦で静寂な荒野は、たった一人が振るった槍の衝撃で、サーキットコースのように起伏や湾曲に富んだフィールドとなっていた。
その荒れた大地で造られた
「クッソ、なんつぅ速さだ……っ!このオレが追い付けねぇなんて──っ!!」
縮まぬ差に
途中、メカエリチャンからの上空攻撃があったものの、悠々と、そして縦横無尽に独走するベルゼビュート。
「ハハハハハッ!甘ェ甘ェ!」
「ッ、頭にきたわ」
半ばムキになりながらも的確な狙いをつけ、武装を放つ。だが圧倒的なスピードとテクニックによりその全てを回避されていく。
そんな中、並走しながら追いかけていた金時とアルトリア・オルタは一瞬視線を合わせると、二手に別れて一気にベルゼビュートを追う。
「逃がすとでも思ったか──────エンジン、フルスロットルだ!」
「さぁて、かっ飛ばすぜ────ベアハウリング!『
メイドオルタは自身の騎乗するバイクのエンジンを全開にし、ギアを最大にまで上げていく。
一方の金時は宝具を完全に解放し、雷電をまとって雷の如き速度で追随する。
黒紅と黄金の閃光を牽きながら、ついにベルゼビュートの後ろへと張り付く二人。チラリと振り替えった顔には、驚愕と喜色の表情を浮かべていた。
「フッハハハハ!熱いねぇ……やっぱそうじゃねェなぁ!」
魅せるかのような巧みな運転技術で駆ける。それはまるで自らの身体の一部であるかのごとく自由自在に走り抜けていく。
それを追う二人もまた取り逃がすまいと猛追していく。その二人の間を、光の軌跡を残しながら猛スピードで駆け抜ける一騎の戦車────アキレウスであった。
「アキレウス大丈夫っ!?」
「あぁ、問題ねぇ!」
立香の礼装魔術によって強化されたアキレウスは、すぐさま先頭の真後ろに付く。
「ん? ──おォ!?マジかよ!?」
今の今まで気にも留めなかった相手が自身のすぐ背後にいるということに、ベルゼビュートはこれまで以上の驚愕を見せる。
「オレばっかりに気ぃとられてんじゃねえぞ!」
手綱を握るアキレウス。確かにその目線、その威は目前の相手に向けられていた。だが、その意識だけは別の場所へと向いていた。
突然、ベルゼビュートの死角から飛び出る影。それは、今まさにその牙を突き立て、噛み砕かんとばかりに口を開いたロボであった。
「ガァァルッ!」
「ッ!?しゃらくせぇッ!」
またしてもどこからともなく槍を出現させて横凪ぎに払う。その見た目と軽々しく扱うその様からは予想だにできない超重級の一撃がロボを襲う。
「キャィンッ!?」
「っ────!」
だが、ロボの牙は届かずとも、ヘシアンの一撃はベルゼビュートに届く。薙ぎとばされる寸前に振った刃は、その頬に一筋の線を刻んだ。
そこに生まれた不意を突き、アキレウスが追撃を仕掛ける。
「油断してんじゃねぇぞ!!」
「なワケねぇだろゥがァ!!」
アキレウスの槍をベルゼビュートの槍が迎え撃つ。鈍い金属音が鳴り響き、互いに互いが弾かれる。
弾かれた勢いを、機体を滑らせるように回転させながら横向きに急停止させる。それに合わせて他の面々もまた、自身が騎乗しているものを、相手と大きく距離をあけながら停める。
「──……やるじゃねぇか、流石はサーヴァントってとこだな」
「お前こそ、その速さ、その強さ共に比類ないものだろうさ」
頬の傷から染み出る血を、そっと触るように確認している。その鋭い眼光は立香を捉え、ついにベルゼビュートは自身の愛機から降りる。
気づくとそこは、おあつらえむきに整えられた
「追いかけっこは終わりな感じか?」
「ふん、年貢の納め時というやつだな」
霊基を変え、いつでも戦闘に入れるよう態勢をとるオルトリアと金時の二人。さらにはメカエリチャンも空から降り、ロボも駆け降りてくる。
風切り音を鳴らしながら槍を振り、圧倒的な威圧感を放ちながら、愛機から離れて歩み寄るベルゼビュート。それはまさしく、"魔王"と呼ぶに相応しい風格が漂っていた。
「うっし。────さて、ンじゃまぁ、ラウンド2ってことで……。闘ろうぜ、カルデア」
薄らとした余裕をかます笑みを浮かべ、王者との戦いが始まる────。
もしかしたら更新遅くなるかも………なんて。