【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
アキレウス回。
なんでこんな活躍してるのか知らないけど……。
ジャブ、ジャブ、そしてストレート。よろめく足に踏ん張り、重い右ストレートで返す。殴られた勢いを利用して円運動からの腹部へのアッパー。腹の空気が勢いよく戻り、声とともに吐き出す。
「ごはっ!」
「ふんッ!!」
追撃は止まず、頭部に相手からのアームハンマーをモロに食らう。なんとかして脚に力を入れて踏ん張りきる。
お返しにとばかりに左の拳で、腹部に力一杯の拳を殴り込む。
「ぐぉっ」
「せらぁ!」
そのままアッパーカットで吹き飛ばす。綺麗な海老反りで跳ぶも、バックステップの要領で威力を殺していたからか、綺麗な回転と共に着地し、駆ける勢いで顔面にストレートを決める。
「ぬぐぁっ」
「はっ、はァ……やるじゃねぇか、まさかここまで楽しめるたァな」
口の中に溜まる唾を吐き捨てながら、そう賛辞を送るベルゼビュート。殴られた勢いで転がっていたアキレウスはなんとかして起き上がり、未だ闘志潰えぬ眼を向けている。
「はぁ、はぁ……人間でも、やるときはやるもんだぜ……?」
息切れしながらも言葉を返す。一見すれば互いに消耗しているかのように見える二人。だがしかし、ダメージの総量としては残念ながらアキレウスの方が大きかった。
いくら"
「はぁ、はぁ……ったく、なんつぅ力だよ……」
思わず毒を一人ごちる。立ち上がったはいいものの、こちらは脚に限界が近い。対して向こうはまだまだ健在。
圧倒的不利なのは目に見えてわかること。しかし、それでもアキレウスには諦めるという選択はなかった。
「スゥー…………」
「────オォルァ!」
目を閉じ、すっと深呼吸するアキレウス。そこへベルゼビュートの軽い助走を付けた拳が迫る。
しかし、当たる寸前その腕を掴み、相手の勢いを利用して投げ飛ばす。
「ごはっ!?」
突然ひっくり返った上に、背中に重い衝撃が走り声を吐くベルゼビュート。そこへさらに猛追するために拳を振り下ろさんとするアキレウス。
だが、バウンドしたところで素早く地面に手を着き、落ちる反動を利用して飛び上がる。そのままアキレウスの頭を両足で挟みながら投げる。
「んにっ────ぐぁっ!?」
「オレ式ヘッドシザース、なんつってな」
鈍い音が鳴るほどの勢いで投げ飛ばされたアキレウス。軽くうめき声を上げながらも、なんとかかといった風に立ち上がる。
「チッ、流石は英雄ってとこか。生半可なやつじゃァ決めらンねぇな」
「おうともよ……。こちとら先生仕込みだぞ、簡単にやられるか──よッ!」
吐き捨てるように言うと、鋭く息を吐くように相手に逼迫する。そのまま目の前で跳び、連続して蹴りを入れる。
しかし最後の一蹴りを捕まれ、そのまま投げ飛ばされる。
「ぐはッ!」
「────オォルァッ!」
ヤクザキックのような蹴り方でアキレウスに向かって蹴り入れるベルゼビュート。
間一髪でよけるが、その後ろの客席部には巨大なヒビが入っていく。その威力の大きさに冷や汗が出るが、己を奮起させ、空いた隙に殴り込む。
「ぬん!」
「ぐっ────!?」
モロに食らうもすぐさま反撃に転じる。左右交互にジャブをかまし、右ストレートを放つも、アキレウスは全てを見切りかわしていく。
右ストレートをかわされた勢いのまま倒立をするかのように地面に手をついて倒れ、柔らかな股関節をもって回転蹴りをくらわせる。
「おらよォ!」
全て防ぎきったかのように見えたが、相手が体勢を元に戻した瞬間に残った勢いで放った回し蹴りを防ぎきれず、蹴り飛ばされてしまう。
とは言えただでやられるはずもなく、体の軸を戻しながら腹部に強烈なパンチを入れる。
「ぐほァッ」
「まだまだァッ!!」
そのまま数度パンチを入れるが、放った拳を捕まれるアキレウス。
そして捕まれた腕を引き、顔面に強烈な拳を決め込む。それだけに留まらず、拳を手放しかかと落としを肩に決める。更にはダメ押しとばかりに右回し蹴りで蹴り飛ばす。
「────ほぉ?これでもまだ立てンのかよ」
「────ったりめぇだ……」
しかし、すでにその身体は悲鳴を上げており、脚にもダメージが色濃く出ていた。しかし、それでもなお負けじと立ち上がる姿は、まさしく英雄の姿であった。
「こんな……とこで……負けらんねぇ、よなぁ……」
「……そうか。なら手向けとして一撃で沈めてやるよ」
腰を低く落とし、腕を腰元に水平に構える。それはまるで正拳突きを放つ構えのようだった。
たとえ脚がふらつこうとも、ベルゼビュートへ向かって駆け出し、気合いの込めた一撃を放たんとする。
「──おぉぉぉォォォッ!!」
「────墜とせ、『
────決着。ズルリと体を落とすアキレウス。その拳は、ベルゼビュートの顔面に紙一重で届かなかった。
「──寝てろ英雄、誰も殺しゃしねェよ。だから……寝てろ、起きれば全部終わってる」
ベルゼビュートの足をあのも掴んでいたその手は、彼の言葉を聞いてようやくその力を抜く。
アキレウスの張った宝具の結界が解け、向こう側が明らかになっていく。ベルゼビュートは、マスターである立香に、何を言おうかと考えていたその時────、
「──────ッ!!テメェ……アンリィィッ!!」
「うげっ、ベルゼビュートじゃん!?」
立香の近くでだらしなく座っていたアンリ・マユに、驚きと喜びと不機嫌さを混ぜ合わせた声を上げた。
超つっよいベルゼビュートさん。
実はこれでも軽度の潔癖症。
回転蹴りはワンピースのサンジのアレを参考に。
下手すると更新ちょくちょく遅れるかも知れませんので、どうか気長にお待ち下さい。
終わるまで失踪する気はないので(ケツイガンギマリ)