【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
「オラオラオラァッ!!」
身の丈もある巨大な槍を、さも自らの腕であるかのように自在に扱い、目前の敵に向かって振り回す。
「よっ、ほっ、ぉうぇっ!?」
対する相手はその手に持つ歪な
重く空を切る音を鳴らしながら振るわれる豪槍を、危なげながらも避けていくアンリマユ。
とは言え、流石の立香も見ているだけではなく、ベルゼビュートへと立ち向かうべく戦ってはいるものの、その矛先はアンリマユへと固定されたまま変わらない。
「オレは忘れねぇぞクソヤロォォ……」
「うへぇっ!?なに!?」
槍を振り回しながら呪詛のような呟きを放つベルゼビュートに、アンリマユは避けながら何事かと聞き返す。
うつむきがちになっていた顔を上げるベルゼビュート。そこには――――――これ以上ないというほどの憤怒の表情がはりつけられていた。
「テメェ!忘れたとは言わせねぇぞ!?今までオレに散々してきたことをよォ!!」
その怒りのまま、恐らくは今の今まで溜めてきたであろう鬱憤を吐き出していく。
「あれは忘れもしねぇ………。初めて会った日、いきなり『あー、ハエの王サマかぁ~』なんて言いやがったことをォ……」
「えぇ……だって事実じゃん……」
アンリマユが面倒臭そうに返すも、それにキッとにらみつけるようにしてまくしたて始めるベルゼビュート。
「それだけじゃねぇ!その後も何の嫌味か、オレの家の前に◯ンコ置いていきやがったり、さらにはハエの集る腐った
「「「「えぇ……」」」」
絶叫するかのようにアンリマユの所業を明かしていくベルゼビュートに、立香達は同情の念が耐えず、アンリマユには軽蔑の目を向けていた。
ちなみに当のアンリマユは口笛を吹きながら素知らぬ顔をしている。
「まだあるぞ!?テメェが他のやつに散々ちょっかいかけてきやがるせいで、オレのとこに知らねぇやつが乗り込んでくる始末ときた!それもこれもあって遂にはオレは『最低最悪の魔王』だなんて言われた!もうやってらんねぇんだよコンチクショオォアァァァッ!!」
あまりあまった怒りのままに槍を地面に叩きつける。その勢いが強すぎるがためにバウンドして宙に舞う巨槍。
こだまする声に怒りと虚しさとなんとも言えない哀しさがあったために、立香達は閉口するしかなかった。
自由落下で回転しながら落ちてくる槍を片腕を伸ばして掴み取り、その矛先をアンリマユへと向ける。
「だから……殺す」
底冷えするような声音と共に、膨大な殺意をぶつけるベルゼビュート。
行き先はアンリマユだったが、その膨大さに立香らにも殺意がわずかばかりとは言え、身の毛もよだつ程の圧を受ける。
「い、いやぁ……オレってば最弱だからすぐ死んじゃ────」
「ウソ
「おぉう即バレしちまったぜ……」
とぼけるアンリマユに、淡々とした口調で返すベルゼビュート。冷や水をかけるような台詞の中に聞き捨てならない言葉があり、思わず立香は聞き直す。
「ちょ、ちょっと待って。アンリが煉獄じゃ死なないってどういうこと?」
「あァ?……あー、コイツが元は人だげ"そうあれ"と殺されたっつーのは知ってンだろ?」
危うく殺意を向けかけたベルゼビュートだったが、寸手のところで収めつつ、頭を掻きながら困ったように説明していく。
立香はそれを固唾をのんで聞き耳を立てる。
「コイツはな、死んで
「んー、まぁつまり場所限定の無限ライフ持ちなんだわー」
ベルゼビュートから告げられたものに、アンリマユが降参といった風に補足する。
アンリマユは煉獄に存在が定着している。それはつまり、ここで消えるということはありえないということ、そう立香は理解する。
「よォし、理解が早くて助かるぜ。
──────ってとこでシネ」
「どひぇっ!?脈絡なさすぎじゃね!?」
立香の理解に良かったと言わんばかりの笑みを浮かべるも、次の瞬間アンリマユに向かってその槍で一閃する。
完全に油断していたアンリマユは、慌ててその一撃を避け、すぐさま距離を取る。
「うるせぇ!テメェのせいでこっちは大迷惑だコラ!いっぺん死んで詫びろクズ!──────あ、お前らちと離れとけ。おいオッサン!」
「うえっ!?そこでオジサン呼ぶ!?────あー、立香君、だっけ?危ないからこっちこっち」
手で払うようにして退かすベルゼビュートと、呼ばれて慌てて安全圏へと立香らを連れていくアガリアレプト。
立香達が安全圏へと待避したのを見届けると、向きはそのままで同じく逃げようとしているアンリマユに忠告を下す。
「オイコラ逃げんな」
「あ、バレた?」
イタズラがバレた子供のような顔で誤魔化そうとするアンリマユ。それに笑顔を浮かべながら振り返るベルゼビュート。
その笑顔に嫌なものを感じたアンリマユは思った。──あっ、オレ終わったわ──。
「千切れて吹き飛べ────、穿て!『
ベルゼビュートが逆手に持った槍を、アンリマユに向かって投擲する。それは黒き風をまといながら豪速で飛び────、直後、途方もない破壊力を持つ巨大な竜巻が起こる。
解説:
ベルゼビュートにとって『ハエの王』と呼ばれることは侮辱にも等しく、なおかつ『糞山の王』というのは最大級にバカにした呼び方となります。
バウンドする槍
→言わずもがなこのすばの超角度石鹸。風呂場で日頃の鬱憤と共に投げてみよう!同情されて話を聞いてくれる人が来るゾ!