【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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ぐぬぬぬ……書けるうちに書いておかねば……



4-9 暴露、明かされる真実

「名を、『アザゼル』と言う」

「アザ、ゼル……って、誰?」

 

 立香の気の抜けた聞き返しに、ベルゼビュートはズルッと座ったままよろける。

 真面目な空気を返せと言わんばかりに大きなため息を吐きながら首を振る。気を取り直したかのように向き直って改めて口を開く。

 

「まぁ……知らねェだろうとは思ってたけどよ。とりあえず最初っから説明してくぞ?」

 

 一呼吸ついてからまた話し始めていく。

 

「長くなるが……まず、前提的な話として、奴の権能の話だ。奴の権能は『虚飾』、つまり他者を騙すことに特化してる」

 

 そう言いながらベルゼビュートが宙にまたしても何かを描く。すると今度は、不思議な仮面をつけた男の姿が浮かびあがってくる。

 

「こいつがアザゼルだ。見た目はキテレツだが中身はもっとヤベェ。こいつは他人に化けることができる上に、対象にそいつの記憶にある別の場所を違和感なく拡げることができる。そこの人ごとな」

「記憶にある別の場所………、……まさか」

 

 ベルゼビュートが告げたアザゼルの権能の効力から、立香はある一つの結論を見つける。

 だがそれは、本当にそうなのだとすれば、今まで自分は、自分たちは一体どこにいたのかという話になってしまうというようなものだった。

 

「そうだ坊主。テメェのいた"カルデア"はそこであって"そこ"じゃねぇ。よく思い出せ、テメェが居た場所はどこだ」

「僕の居た場所(カルデア)は………そうだ、僕がいたのは彷徨海にある『ノウム(・・・)・カルデア』…。でもあそこは、僕達の始まりの『フィニス(・・・・)・カルデア』だった!」

 

 立香の驚愕を含んだ理解に、ベルゼビュートは頷き返す。

 今の今までずっと"自分たちのカルデア"だと思っていた場所がまやかしであったことに、立香は愕然となる。

 そしてそれが意味すること、それ即ち────、

 

「そうだ。そして今、テメェは現在進行形でヤツに騙されてるってことになる。だからオレはこの話を聴かせなかったのさ」

 

 不敵な笑みを浮かべながら、この結界を張った理由を告げるベルゼビュート。

 しかし、立香の頭の中では困惑と疑問で一杯になっていた。

 

「で、でもサーヴァントの皆とはちゃんとパスが繋がってたし……」

サーヴァントは(・・・・・・・)本物だろうさ。けどな、あの場合はまるっきり偽物だ、そしてテメェはまだ惑わされている」

 

 立香を指差した後、おもむろに懐からコルクの蓋がされた小さなガラスのビンを取り出すと、その蓋を空ける。そこから一匹の小さな濃い紫の蝶が現れる。更に二匹に別れ、そのうち片方はどこかへと飛んでいき、片方は留まっていた。

 

「今中立を保ってるやつらに連絡した。ほんとならオレが全部話しちまいてぇんだが、生憎と時間が無ぇ」

 

 そして、ひらひらと自身の周囲を舞う残った一匹の蝶を指差す。

 

「だから、これを追って『中立派』のやつらのとこにいけ。そうすりゃオレが言えなかったことがわかる。あとその幻惑も解いてくれらァ」

「………なんで、そこまでしてくれるの?」

 

 ベルゼビュートの優しさに、立香は思わずといった風に聞く。

 しばらく困ったような顔をしてから、うなり声を上げながら髪をガシガシとかきむしり、渋い顔をして答える。

 

「まぁ、なんつゥか………オレ達の勝手なエゴでテメェに迷惑かけてるからな。ほんとはオレ達でやらにゃならんのだが………それの義理みてェなもんだ」

 

 今度は自嘲するような笑みになって返答するベルゼビュートに、立香は言いつのろうとした言葉を飲み込む。

 ──あぁ、この人はほんとにいい人なんだ──そう感じた立香は、薄く微笑みを浮かべてしまう。悪魔なのに悪魔らしからぬその姿に、優しさを感じるその姿に。

 

「──ありがとう、ベルゼビュート。その蝶を追えばいいんだね」

「おう。あと、テメェンとこの探偵もつれてけ。ただしそっちの人間とさっきの女の声した男はやめとけ。ありゃダメだ」

 

 ダヴィンチを男だと初見で、しかも声だけで判断できたことに驚く立香だったが、一瞬の間に我に返って「わかった」と答えた。

 それに満足そうにしたベルゼビュートは、手を叩き、空気を変える。

 

「さて、んじゃまぁ外の奴らにも説明しないとな。とはいえ、話せるのは黒幕と次の目的地ぐらい、か」

「そうだね……下手に話すと危ないんでしょ?」

 

 立香の問いに黙って頷くベルゼビュート。

 お互いの反応を確かめた後に、ベルゼビュートは結界を戻していく。その最中に、ベルゼビュートから"この結界は外と中を切り離しているから、この中でどれだけ話してても一瞬にしかならない"と立香に言っていた。

 そうして結界が縮む中、ベルゼビュートは立香の目をしっかりとミツメテ忠告をする。

 

「いいか、例えなにがあろうと、自分を揺らがすンじゃァねぇぞ。アザゼルの野郎もだが、『憤怒(ラース)』も忘れるな。あいつらは────手強いぞ」

「忘れない、気を付けるよ。必ず」

 

 強く頷き、その忠言を胸に納める。

 やがて結界は解け、先程ベルゼビュートから受けたものからアザゼルについての話題のみを割いた話を皆にしていく。それを皆は黙って聞いていた。

 





現在彼らの姿絵も同時進行で描いてるので、描き上がり次第それぞれのステータスページに載せようと思っている次第です。
ガンバル。
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