【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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ちょっとした裏話程度に書いてみたものですはい。
今回は異界の神に仕えるサーヴァント+αで。


4-幕間-α 一方そのころ by異界神組

 

 不思議、不可思議、摩訶不思議。拙僧は今しがた役目を見届け、次なるインド異聞帯へと向かっていたはず。

 しかして如何なる異常か、違和感を感じてから目を開け申してみればこそ、この燃えゆる大地へと降りたっておりました。

 

「────ンンンン、これはまた……如何なる事でしょうか?」

 

 流石の拙僧でもこの事態は把握しかねます。時空の捻れならざるならばこそ、我が行く先の歪みにもあらず。はてさて如何したものか……────と、考えておりますれば、

 

「ンンンンン……おやおや奇遇ですねぇ」

「────む……この様な場所で会うとは」

 

 サーヴァント、ラスプーチン。拙僧の仲間(同僚)にして仲間(他人)。彼もこちらに来ているとはいよいよもって怪しき案件とお見受け致する。

 さらにしばらく待ちぼうけると、

 

「──うげげ、なんですかここ。タマモドン引きですわ~…」

 

 タマモヴィッチなる化生畜生めも来る始末。これはどうやら意図されて呼ばれているとみて相違ないと思われる。

 さてさて、辺りを改めて見渡してみれば、荒れ果てた大地に灼ヶと燃えゆる紅蓮。空は亡く、風もまた死したるものなれば。些か気味が悪く存じ上げる。

 

「はてさてここは──「ここはどうするべきなのでしょう、かい?」っ!?」

 

 唐突なる声に振り向きざまに跳び、距離を空ける。ふと見れば、いかでか近代市政の若者であるかのような服を着ている者が居た。

 なぜ斯様な地に斯様な者が──と思うまでもなく答はそこに現れる。

 

「うわぁ、なんなんですかそれ……礎体は人間と見れますけれど、流石の私もドン引き案件ですわ…」

「……成る程、"悪魔"か」

 

 現れるは、まともな者なればこそ吐き気を催す歪なる紫肉の塊。ふと塊に幾つかの亀裂が入るのを見ると、裂けて口となり、口腔覗き見ゆれば単眼輝く化物(ケモノ)であった。

 それは知る人が見れば、その元が『人』であることなぞすぐなわかろう代物であり、なおかつ元が『人』であることをほのめかすかのような醜悪なるもの。あぁ、なんと────

 

「──なんと醜きものなるか」

 

 流石の拙僧でもこれは度し難い。拙僧、人の悪性を宿し放つことはあろうにも、ここまで人を狂わせ、堕とし、かき混ぜたもの、此れはあまりにも美しく無い。

 

「えー?でもさでもさ?彼らは自業自得なんだぜ?」

 

 ニタニタと薄ら笑いを浮かべているこの男。しかし考えても見れば此奴は一体何者か。否、悪魔なのは判った。だが此の名は? 名が判らねば何ともすることはできぬ。

 

「だってこいつら────自分からこうなりに来たんだしさぁ」

 

 傍らの塊一体掴み、手のうちでもてあそぶ。自らの半身ほどもある大きさの塊を、まるで手玉のように遊ぶ姿に、かの畜生めもまた顔をしかめておる。

 

「それで……君は何者かな」

 

 黒鍵を抜き、その鋭き目で射抜くラスプーチンなれば琴峰殿。拙僧もまた陰形符(おんぎょうふ)を取り出し見定める。

 手玉を止めた男は、ニタリと嗤うと、

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだね、初めまして愚かなり魔の王を騙る者達よ。ボクは()八大枢要罪の『憂鬱(メランコリア)』、真名を『マステマ』と申し上げる。以後お見知りおきを、ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マステマ。異邦の地の言葉にて『敵意』なる意味を持つ者。そして────

 

「──ほう、"神への忠誠心を問う者"だとは……そんな者がなぜここに?」

 

 琴峰殿の問う言葉に、マステマと名乗りし悪魔は笑みを持つ。それは笑うというよりも、嗤うという方が正しかろう。

 さて、『神への忠誠心を問う者』とは。皮肉にも我らに適する者が現れ至ったものだ。我らが異星の神はの忠誠を問うか否か、どうするのであろうか。

 

「よく知ってるねぇ神父サン。そ、ボクは神サマに忠誠が誓えるか見定めるもの。そしてなおかつあまねく者達に天国へと向かってほしいと願うものさ」

 

 演説を説くかのように両腕を広げ、靴音を響かせながらにて歩み回る怪物(悪魔)。それは自らのことをさも選定者であるかのような振る舞いであり、こちらの方が吐き気を催した。

 だが、その愉悦じみた顔は次の瞬間にて一変する。

 

「けど、救いようのない愚か者もまた存在する」

 

 そう言うや否や、マステマなる者は自身の周りにいる、半身ほどもある塊を呼んで捕まえる。

 愛でるように、遊ぶように、それでいて嘲笑うように目の前の塊をいじくりまわす。

 

「こいつらは『ウィボス』って言ってねぇ……自ら救われることを放棄した奴らの末路さ。バカだよねぇ?こんなにも醜くなっても堕落したいだなんてさぁ」

 

 そしてネットリとした、そしてハイライトのない目を拙僧らを見つめてくる────否、見定めてくる。

 それはまるで品定めのようで、否応なく強い忌避感に駆られた。それは他の方々も同じようで、琴峰殿は黒鍵を揃え、畜生めは既に尾を出して警戒し始めている。

 

「あらら、もっと話したかったんだけど……まぁ、いっか。それじゃあ君達が君達の神サマに忠誠が誓えてるかどうか……────」

 

 拙僧らに向き直り、両腕を広げ、羽のようにゆっくりとはばたからせると、無数の塊共がこれでもかと現れてくる。

 それらは拙僧らを鳥肌立たせるに相応しい、まさしく異形と言わざるを得ない光景でありました。

 

「さて……貴方は(Do you)神を信じますか(believe in god)?」

 

 彼奴がそう問うと共に、圧倒的な質量の暴力が、我ら三騎を襲いに来たる──────。

 





『マステマ』
→ヘブライ語で「敵意」を意味し、神への忠誠心を問うとされている悪魔。
本作では非常にねじくれた性格をしており、『リンボとマーリンとBBを等分して掛け合わた』性格をしている。はっきり言ってクズ。
当人は『全ての清らかなる魂を天の国へと送る』という傍目から見れば崇高な理念があるが、その実それに見合わない所謂『堕ちた者』は「ウィボス」と呼ばれる悪霊紛いに変化する。
アザゼルと仲が良いでお察し。
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