【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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幕間は一回置いといて……



4-10 平穏、そして混沌

『うーん、成る程……、まぁ事情はわかったよ』

 

 ダヴィンチのうなる声が聞こえる。このダヴィンチが偽物だと思うと、立香は複雑な気分になる。

 そう思っていると、ベルゼビュートがコッソリ耳打ちしに来る。

 

(おう坊主、さっきは信用できねぇとは言ったが、この男女については多分本物だから気兼ねすんな)

(え?あ、そうなの?)

 

 困ったようにうなり続けるダヴィンチを他所に、立香は思わず安堵する。

 何しろ今まで頼りにしてきたダヴィンチが偽物だとしたら、恐らく立香は本格的に疑心暗鬼に陥っていただろう。

 

 ────とは言え、まだ確証はできねぇんだがな──。誰にとも言わず、ただ一人ベルゼビュートはダヴィンチを改めて考察する。

 イマイチ掴み所のない言動、はっきりするところははだきりしているが、性別などあやふやなものを残し続ける不可思議さ。そういった点で、ベルゼビュートはダヴィンチを観察していた。

 

『ま、とりあえずはそっちにシャドウ・ボーダーを送らせるよ。でも付いてったサーヴァント達は一回休みね』

 

 サーヴァント達から不満の声が上がる。

 無理もない。いざ大罪悪魔を討伐せんと赴いたはいいものの、当のベルゼビュート戦においてはアキレウスとアンリマユの独壇場。やったことと言えばバイクチェイスをしたぐらいだ。

 

「あー、横から失礼、っと」

 

 立香がダヴィンチに返答しようとすると、横からひょっこりとアガリアレプトが顔を出す。

「あやっべ忘れてた」と小声で気まずそうに呟くベルゼビュート。それに泣きそうな顔をしながらも、アガリアレプトは通信に割り込む。

 

「とりあえずそっちはお迎えさんだけでいいぜ。行きは(やっこ)さんから来るそうだ」

『その相手が信頼できる可能性は?』

 

 今度はダヴィンチではなくホームズが返答する。

 それに関して、アガリアレプトは前もって用意していたかのような返事をする。

 

「そんなに心配ならアンタさんが見に来りゃいいだろ?ってぇのはともかく信頼できる筋なのは違ぇねぇぜ」

 

 手をひらひらと振りながら、気だるそうに言うアガリアレプト。"これ以上は疲れるからご免だ"とども言いたげな態度に、ホームズは考えて込んでしまう。

 

『んーじゃあこっちは迎えだけでいいのかな?』

「そういうことだねぇ」

 

 ダヴィンチが代わり、アガリアレプトはのほほんと返す。

 

『それじゃあそこのサーヴァント達の迎えと、追加の護衛達とプラスしてホームズ君も連れていくってことでいいのかな?』

「うん、お願いします」

 

 話の内容を再確認する声に、立香は理解を示す返答をする。

『おっけー』という声と共に通信が切れ、立香は緊張の糸を解く。

 

「おいおい……オレが近くに居ンのに、そんな油断してていいのかよ?」

「?でも、もう戦うつもりはないんでしょ?」

 

 そんな気の抜けた立香の言葉に、ベルゼビュートは思わずと言った風に絶句する。

 そこに休んでいたアキレウスが歩み寄り、ベルゼビュートの肩に手をかけながら、同情を含んだ声をかける

 

「懸念はわかるんだけどよ…これがうちのマスターなんだわ…」

「……なんつゥか…心配になるな、これは……」

 

 肩と目線を落として大きなため息をこぼすベルゼビュート。その様子を、立香は理解できず首をかしげる。

 

 

 

 

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 ────やがてしばらく経ち、遠くから走行音が聞こえてくる。恐らくはダヴィンチらシャドウ・ボーダーの音だろう。

 ちなみにベルゼビュートは手元の蝶と戯れていた。

 

『おっまたせ~!迎えと、中々濃いメンツだけど代わりの護衛を連れてきたよー』

 

 停車したシャドウ・ボーダーからダヴィンチの声が鳴り、中からホームズを先頭として交代の面々が現れる。が────、

 

「ふふふ、恐らく次は情欲の悪魔だろうと踏んで参りました。もちろん、護衛はしっかりと務めさせて頂きますとも、えぇ」

「はっ、どうだかな。貴様のことだ、情欲に溺れきって護衛のことなぞ頭から抜けるのではないか?兎も角、俺が呼ばれたことには悪意を感じるぞ」

 

 異様にソワソワしているキアラと、不貞腐れて機嫌が悪そうにしているアンデルセン。

 

「いまいち私が呼ばれる理由がわかってないんですが……この女と一緒にするってことは同じ情欲のくくりで見られてます?」

「煩いわね、私だってこんな簡素で粉っぽいところに来たくなかったわよ。こんなところじゃ、私の"魔剣(ヒール)"も上手く滑らないもの」

 

 同じく機嫌悪く文句をいい続けるカーマと、さらに不機嫌そうにしているメルトリリス。

 そして──────、

 

「なぜ朕が呼ばれたのかは知らんが、完璧に人選ミスを感じるぞ」

 

 始皇帝が遠い目をしながら腕を組んでいた。

 その時、立香とベルゼビュートは同時に思ったことを口にする。

 

「「いやなんで?(だよ……)」」

 

 




キアラ、カーマ、メルトリリス、アンデルセンは確定でした。「あと一人だれがいっかなー」と考えて、「んー……始皇帝でいっか!面白そうだし!」とぶっこみました。
反省も後悔もしていない。むしろ面白そうだ!
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