【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
今回→マステマ視点
素晴らしい、ボクはほんとにそう思うよ。よくぞあの逆境から、よくぞあの不利な状態から、ボクを討ち取れるところまできたものだ。ここが劇場ならスタンディング・オベーションしていただろう。
神父じみた格好の男が、黒鍵をもってボクに迫る。その口には聖句が語られ、まごうことなく信仰心の表れとボクにはわかる。あぁわかるとも。
「――――"
躰が切り裂かれる。素晴らしい、素晴らしい。やはりこうでなくては。信じるものこと救われるのだ。そうだ、その通りだとも。あぁ、だから――――、
「――『
「何っ」
聞こえるよ、聴こえているよ。君の、君たちの驚く声が。やはり面白い、君たちのその信仰は面白い。
けれども残念、今度こそ本当に――――時間切れだ。
「ぐぉっ!?」
「な、なんですかっ!?」
「なんだ、これは……っ!」
何かに吸い込まれるように、彼らの姿が歪んでいく。必死に耐えているけれど、無駄な足掻きというやつだろう。
あぁ残念だ。こういうことがあるから
「ごめんねぇ……もう少し遊んであげたかったけど、こっちもこっちで計画進めてるんだよね」
「計画……ですと……ッ!?」
歯を食い縛りながら耐える道化師みたいな格好の男。うーんなんだろう、きっと彼は『
まぁいいや、もう終わることだし。それに計画を知られたところでもう彼らは"彼"の術中で、どうすることもできやしない。
「そうだよぅ? ――――存在する空想樹全てを"
「「「!?」」」
どんどん次元の修正点に吸い込まれていく。どうせなら冥土の土産的な感じで教えてあげよう。どうせなにもできやしないし、戻ったら忘れてるだろうしね。
「空想樹を"厄災の大樹"に塗り替えることで、あらゆる時空の世界を書き換え、統一し、そこに住む全人類を排して新たな"楽園"を創る。そうすることによって"人類を救済する"のさ」
そう、これこそが『
『憤怒』が望む世界、彼が行う一大救済活動――――――、
「そう、これこそがボクらが今行ってる計画、その名も『人理帰葬』さ」
「人理、帰葬………だと!?」
そう、その顔さ! そのおぞましいような、信じられないものを見るかのようなその活動がボクは大好きなんだよ。
でも、絶望しなくていいのさ。何せ君たちが今知ったことは、どうせすぐにでも忘れてしまうのだから。
「さて、じゃあ異分子達はここでお別れだ。さぁ! 君たちの道行きに幸在らんことを!」
「ま、待て…ッ、貴様…ッ、――――――マステマァァァァッ!!!」
道化師の咆哮が響き渡るも、彼らは無情にも元の世界線へと引き戻されていく。
やれやれ、『色欲』達が設定した排除設定のせいで、楽しみがなくなってしまったよ。
「んー……そろそろかな?」
背伸びストレッチをしながらどこか遠く、『色欲』達が住まう館があるであろう方へと振り替える。そちらには、彼の『カルデア』なる者達が向かっているはず。いや、もう既に着いた頃だろうか? まぁ、自分には関係ないのだが。
「さてさて……ここがなくなったら、あっちにでも行ってみようかねぇ?」
ボクは新たな愉しみを想いはせながら、心のままにランラン気分で帰り道につく。
と、思っていたけれど、
「ややや、珍しいね『
「…………遊びすぎだ、たわけ」
少し離れたところで、腕を組みながら厳つい顔で佇む『憤怒』がいた。珍しいこともあったものだ。まさか彼直々にこっちを見に来るとはね。
ふと、ひょっこりとその後ろから『虚飾』も顔を出してくる。これには流石のボクも驚いた。
「やっほー、計画が順調に進んできたから、次にいこっかなーって」
「あぁ成る程、もうそこまできたんだねぇ」
ようやくボクの仕事が終わるみたい。はぁ全く、愉しみも物語も途中でお預けだなんて、今日は散々だよ。
そうしてボクらは、
「ふふふ、この盗ってきた"空想樹"も、あの"魔神柱"も、そしてこの"厄災の枝木"も、だいぶいい具合だねぇ」
そうしてボクらの眼前に広がる世界には――――黒く変色し、より樹木のように生々しくそびえ立つ"空想樹モドキ"があった。
これからやってくる物語に、ボクは本当にワクワクが隠せないよ。ただ残念なのは――――最後まで見切れないっていうことかなぁ……。
重大案件の発覚。
・この世界には『空想樹』があり、しかも『黒く変色している』。
・『色欲』と何か通じていた……?
・彼らが目指す『人理帰葬』とは一体!?
改めて一言。
ヤベェコイツら。