【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
A,時間の合間ぬって必死こいて描いてます。間に合うかは知らぬ。
Q,話飛びすぎでは?
A,まだ前座ですし、おすし。
Q,ラップ回まだー?
A,ラップ難しいんです許してつかぁさい……。下手したら完結後かもです……。
影は遠く離れ、あの賑やかな
「しっかしまぁ……アイツもメチャクチャするもんだわ……」
こんな事態を起こしたあのクソ
それに対してあの坊主は、本当に、小気味がいいぐらいに純粋で気持ちのいいやつだった。将来仕えるマスターがいるなら、あいつでもいいかもしれないと思うほどに。
「……スゥー…………ふぅ…」
懐からタバコを取り出し、一服する。今改めて思うと、あいつほど気分のいいやつは、昔以来かもしれない。そう感じたオレは何の気なしに昔を思い出していた──────────。
遠い昔、オレは神の一柱──それも豊穣神として崇められていた。とは言え、崇めるっつっても、オレは普通に下界に降りてよく手伝いとかしてたし、今みたいに粗野な口調でもなかった。
そこのやつらは本当に気のいいやつらで、オレが何か手伝う度に、
「あ、ありがとうごさいます!"バアル"様!」「"バアル"様これなんて如何でしょう!」「"バアル"様働きすぎです!あとは我らにお任せ下さい」
……あー、まぁお察しかも知れねぇが、オレのの名が『バアル』なんだわ。たまーに、ほんとたまーに"魔神柱"とかいうのと間違われるが全くの別物だということを知ってほしい。
というか、オレが何かしようとする度に止めてくるのはやめてほしい。オレだって手伝いてェんだが……。
「バアル様!こんなに一杯獲れましたよ!」「バアルさまバアルさま!見て見て!これきれいでしょー!」
「うんうんそうだね、ありがとう。
あ?言葉使いが違う?そりゃそうだ、何せ今と昔じゃ180゜違いすぎるしな。
とまぁそんなこんなで平和で暢気で、それでいて微笑ましい日々を過ごしていたんだわ。
────けど、その日は違った。
「見よ!この者共は異教徒である!」
「異教徒は殺し、排するべきなのだ!」
「奴らを殺せ!」
虐殺にも程があった。何のいわれもない罪のない子供達ですら、年老いて抗うことさえできぬ老人達にすら容赦なく剣を振り上げ、斬り裂いていく。
────やめろ、やめてくれ。もうそれ以上命を奪わないでくれ。何度願い、幾度となく手を伸ばして助けようとした。けれど、伸ばした腕はすれ違いに迸る血潮を浴び、救おうとした命は目の前で消えていく。
「あれなるは悪神。否、異教徒共の崇める悪魔なり!」
「悪魔を討て!悪を伐て!」
なぜだ、私が何をした。ただ、人々の平穏を願っただけなのに。もはやすでに問答は意味を成さず、愛した人々は奪われ、蔑まれて殺され、手元に残るはその者達の血潮のみ。
私は怒り狂った。なぜ手を取り合わない。無情なまでに続く、血で血を洗う醜いケダモノ達のぶつかり合い。私は体に深い傷を負いながらも、次々に敵を屠っていく。
「──もう、いいんです……。貴方だけでも…、いきて、ください……我らの優しい、神…さま………」
最後に生き残った巫女だった者が死に、周りに残るは屍のみ。敵ははらわたから引き裂かれ、食い破られたかのような姿であった。
そこは、私がかつて愛した豊穣と笑顔の地ではなく、殺伐とした死と荒れ果てた大地と、悪魔が独り佇む世界。嘆く声も、もはや誰にも聴かれることはなく、虚空に空しく響くのみ。
────それからしばらくして、おれは神の座を即座に放棄し、この"煉獄"へと堕ちてきた。もはや地上にオレの知る地はなく、オレの愛した人々はいない、と。
殺意と悪意に満ちていたが、この程度はもう慣れた。だが、まだ昔のオレの善さが抜けきっていなかったらしい。
「アニキ、一生ついていきやす!」「自分もっス!」「この恩は、必ず返すんです!」
ある堕天して悪魔になっていたやつを、何の気の迷いか助けたことにより、次々と舎弟になるやつが増えていき、気づけばこの煉獄の三大勢力として数えられるほどのデカさになった。
けど、これも悪くねぇとは思ってる。おれ達は今まで以上に自由で、そして──────オレ自身も楽しいんだよ。
「アニキ!こんなのやってみたっス!」
「へぇ、やるじゃねェか。いいデザインだ、やっぱりお前の腕は本物だな」
毎日仲間達とバカやって、笑いやって、時には悪ふざけして。そんな能天気な毎日が、今はとても楽しい。
もう、かつて抱いていた吐き戻しそうで満たされない餓えはない。だがそれでも、おれの背に乗った罪は未だ多い。だからこそ"私"は"オレ"として生きていく。
────これは懐古であり、訣別。オレの全てはアイツらに託した。アイツらならきっと、悪魔でさえも受け入れる。あとはオレ達の度胸次第────。
「────昔のことでも思い出してました?」
「……あァ、
いつの間にか隣に来て、共にタバコを吸うアガリアレプト。思えばこいつとも長い付き合いだった。
元々は精霊であった六人の変生悪魔達。オレと『傲慢』と、あともう一人の問題児の三人で面倒を見てやった息子のような奴ら。そこまで思い返してふと思う。
「……お前、アイツらと一緒に行ったんじゃねェのか?」
「ギクッ………いやぁ、自分にはなんのことだか……」
やれやれ、仕方のねぇやつだ。思わず失笑してしまうほどのものだったが、やっぱりこいつはこいつのままでいいと思い、また遠くをみる。
オレは悪魔だ、それは変わりようがねぇ。けど、もしあいつらがオレでも受け入れてくれるのなら、いつか────、
「────いつか、勒を並べて笑いてぇなァ……」
おれの自嘲じみたこの台詞は、あの時と同じように虚空へと消えていく。
あの時は『空虚』だったこの感覚。けれど今度は、いつか叶う、叶ってほしい『願い』であると、黒い空に幻視する人々の笑顔が告げていた────。
設定上大罪悪魔の中ではかなり悲痛な運命を辿ってきたやつの一人。
他?察しのいい人なら自ずとわかる、かも?