【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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『嫉妬』&『色欲』編

そしてほんへ。



第五章 『嫉妬』に狂い、『色欲』に溺れ
5-1 向かうは淫らな館〈前〉


 不気味なまでな静けさと赤々と燃える大地の上を、波を裂くような音と海を走るかのような軽快さで進むレヴィアタン。

 そのレヴィアタンの上で、視線を目的地があるであろう場所へと向け続けるリリス。表情を見せないリリスに、立香はその内に思ったことを問う。

 

「……なんで、手助けしてくれるの?」

「? ……あぁ、突然何言うのかと思ったら……」

 

 キョトンとした顔で振り返ってから、無知な相手を見るかのような呆れた笑みを浮かばせるリリス。

 その背にたなびく髪を払いながら、リリスは立香の問いに答える。

 

「別に、手助けしてるわけじゃないわ。ただ、気に入らない相手がいるっていうだけよ」

「気に入らない相手……」

 

 反芻する立香。後ろではまだアンデルセンが文句を言っていたり、カーマとキアラがにらみ合いをしていたりと騒がしいものであったが、考え込む立香には聞こえていなかった。

 そんな立香の横から始皇帝が口を出す。

 

「大方、元凶足り得る『虚飾』なる者であろ? 正直、朕も彼奴のやり口は気に食わん」

「あら、どうしてかしら?」

 

 リリスが悪戯っぽい微笑みを浮かべながら始皇帝に聞き返す。そんなリリスに、始皇帝は真剣な顔で、しかし少し悩むようにして自身の考えを述べていく。

 

「うむ……実のところ、些かトントン拍子に進みすぎではないかと思うてな。どこか作為的なものを感じるのだ」

「そう、かな……?」

 

 立香は始皇帝に言われて、今までのことを振り替える。

 まず、ロンドンのような場所で『強欲』──マモンと『暴食』──ベルゼビュートと相対した。その後、マモンの手によってこの煉獄はと皆と一緒に連れてこられ、マモン率いる軍勢とぶつかり──────、

 

「そう、そこである。朕が思うに、"わざわざこの世界に引き込んで、そして即座に叩き潰す"などという手間は必要なのであろうか?朕が思うに、既にこの世界に引き込んでいる手前、後の事などどうとでもなろうに」

「…………つまり、僕らを引き込んだのは"別のマモン"?」

 

 立香がたどり着いた結論に、始皇帝は静かに頷く。もし、そうだとするならば、あの時自分達を呼んだマモンは、その後に軍勢を引き連れてきたマモンと別人であり、別の存在であるということ。

 全くもって別の別、それが意味することそれすなわち────

 

「引き込んだマモンは『虚飾』だった……?」

「あら、自力で正解に辿り着くなんて、なかなか見込みのあるボウヤね」

 

 微笑みを携えるリリスの答え合わせに、立香は驚きのあまり固まる。

 じゃああの時、ロンドンで偽物の聖杯を渡してきたマモンは? そしてどうやってカルデア内に入ってきたんだ? そんな疑問が立香の中で渦巻いていく。

 

「落ち着きなさいバカ」

 

 頭が叩かれる。振り返ると、メルトリリスが呆れた顔をしている。実際には袖ではたかれただけだが、立香の気を紛らわすのには充分だった。

 

「今考えても仕方ないでしょう? そもそも、その答えを聞くために乗せてもらってるもの、ね?」

「ええそうよ? というより、こんなとこでうだうだ悩んでいたら、レヴィアタンが怒っちゃうわよ?」

 

 リリスの、立香への茶化すような発言に、レヴィアタンがこっそり『そんなことで怒らないわよ……』と呟くのが聞こえる。

 気の抜けた顔をする立香だったが、ふと我に帰り、自分の頬を叩いて喝を入れる。その様子を遠い目で眺めるリリスに、気付く者は"親友"以外にはいなかった。

 

『無駄話は終わった? もうそろそろ着くわよ』

 

 そのレヴィアタンの声に、立香らは前を向く。

 そこには、巨大な洋館のようなものが、堂々と、しかし怪しい雰囲気をかもし出しながら建っていた。

 あそこに『色欲』がいて、そして────この世界の真実が語られる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〈??? 庭園〉

 

「もうそろそろかしら? おもてなしは大丈夫?」

「もうそろそろだな。何、抜かりないだろう」

 

 二人の男女が、庭園にあるテラスチェアに腰掛けながら語らう。そのそばには、幼くも年季の高さを示すかのような空気を放つ少女と、ぴっちりとした燕尾服を着て執事然としたメガネの青年が控えていた。

 

「さぁ、早くいらっしゃい。カルデア」

「さぁ、早く着たまえ。カルデア」

 

「「間もなくこの世界は真の姿を現すぞ(わ)」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〈??? 魔王の円卓〉

 

「……行くぞ」

「「「「イエス、ボス!!」」」」

 

 整然と並ぶ、黒光りする機銃を持ったスーツの男達。その先頭に立つは、二丁の長銃をその手に持ち、激情を瞳の奥に燻らせる男。

 向かう先には黒白の六翼を持つ端正な青年と、白黒(モノクロ)の道化師のような仮面をつけた怪しげな青年。

 

「……"方舟"は問題ない」

「向こうは僕が行こうかい? "分身"もそろそろ引き上げないとだしね~♪」

 

 一言告げれば問題ないとばかりに口を閉ざす翼の男と、ケラケラ笑う仮面の男。

 そんな二人に対して、『ボス』と呼ばれた者は、静かに、冷徹に指示を下す。

 

「……『虚飾(ヴァニティ)』は奴らを襲え、部隊は貸す。『傲慢(プライド)』は俺と共に来い」

「へーい」「……あぁ」

 

 互いに了承し、二人は長銃を持つ男の隣に歩む。男の名は『憤怒』────真名を、『サタン』。

 神へ人への怒りをその身に纏い、終局の幕が開く。

 

 





『憤怒』の真名バレ。もうここまでくれば嫌でもわかるヤバいやつら。
ここからが本編です。さぁ、メチャクチャやっちゃいましょう(ニタァ)
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