【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
〈カルデア内 管制室隣接会議室〉
「くちゅんっ。す、すいません、大事なお話の最中で……」
マシュ・キリエライトは、気恥ずかしさで顔を赤くして、申し訳なさそうに頭を下げる。そんな姿に引き詰まった緊張感の漂っていた会議室の空気は少しだけ緩み、室内に居る者達に一息のゆとりを生まれさせる。
「はいはーい。可愛らしいくしゃみに惚けてないで、話を戻していくよー」
ダ・ヴィンチが乾いた音を出しながら手を叩き、意識を戻させる。ただ一人、マシュだけは照れたようにしていたが。
そんな姿に少し鼻の下を伸ばす職員達に「はいそこ、鼻の下伸ばさない」と注意するダ・ヴィンチ。再び空気が程よく引き締まるのを見て口を開く。
「さてと、このズレは一体何なのか、ねぇ……。特異点でもなければ異聞帯でもない。でも確かにある歴史の"黒点"のようなもの……。どう見る? 探偵クン」
そう言ってダ・ヴィンチは向かい側に立ち、黙考し続けていた〈名探偵〉『シャーロック・ホームズ』に問いかける。
ホームズはなお黙考し続け、そしてふと組んでいた腕を解き、パイプを吹かして口を開く。
「……ふむ。これは私の頭脳を持っても解らないな。今まで3つの異聞帯を巡ってきたわけだが、そのどれもと性質が違う。ましてや特異点でもないときた。さて……これは一体何であるのだろうかね」
そこから解説をするかのように自分達が今までに辿ってきた道筋を改めて確認していく。しかし、そのどれもがこの異常事態に関連付くわけではなかった。
「……幸い、この異常地点は現時点ではまだ何の影響もない。が、私が予測するに放っておけば恐ろしいことが起こるだろう」
そう言って話を締めくくるホームズ。つまるところ彼の言うには『原因不明』ということである。過去を振り返り、該当する案件を探しても見つからず、会議室内の者達は途方に暮れていた。
ふと、そんな空気の中で手を挙げる者がいる。マシュ・キリエライトである。
「あの、どうしてホームズさんはそう思うんですか?」
「どうして、か…………正直、その質問はすぐ来ると思っていたのだが」
そんな風に言いながら肩を竦めるホームズ。一息つくようにパイプを吹かし、マシュに向き直りつつ説明し始める。
「まず、この異常は微小ながらも少しずつ拡大している。さらに特異点ても異聞帯とも違うというのが大きいね。……そして、これは私の直感だが──────この異常点は異聞帯並みの、人理を飲み込む"穴"になるだろう」
ホームズの発言に、その場に居る全ての者が息を飲む。人理を飲み込む"穴"。特異点でも異聞帯でもない異常点。成長する不可思議な"ズレ"。そのよあなものが発生しているということに皆が皆、戦慄する。
「これは……立香クンを呼んで共有した方がいい案件だねぇ…………」
そう呟いて、ダ・ヴィンチは管制室にある放送機器に向かい、館内放送をかける。
「あーあー。えー藤丸立香クン、藤丸立香クン、至急管制室まで来てくれたまえ」
そう言ってダ・ヴィンチはマイクを切りながらに思う。────これは
これでもまだルーズリーフ3枚目の表なんやで……暇なときにどんどん更新していきます。