【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

61 / 114
ふふふ、念のために予め投稿予約してあったのだよ、キミィ。



5-3 館の主

 フルーレティが扉に開け、立香はそれをくぐる。その先には、ガーデンチェアに座り、優雅そうに紅茶を飲む二人の男女がいた。

 片方は立香と同年代程に見えるが、よく育った肢体に薫る大人の色気を放つ女性。もう片方は、青年のようでありながら壮年であるかのような雰囲気を持つ男性。

 

「自己紹介が遅れたわね。私たちは『色欲』の『アスモデウス』。私はその片割れ、"アシュリー"とでも呼んで頂戴?」

「ふむ……では、私のことは"デール"とでも呼んでくれ」

 

 優しい笑みを浮かべる二人。その姿だけ見ればとても悪魔には見えず、物腰柔らかで優しげな印象を抱くことだろう。

 だが立香は、正確には立香のサーヴァント達は、ここに来るまでの惨状から、この二人がそんな存在ではないということを少なからず察していた。故に、ひっそりと、しかしてしっかりと立香を守れる態勢を整えていた。

 

「おーい、おれにもお茶くれよー。さっにから喉かわいて仕方ねぇよぉ」

「……あら、生きてたのねアンリマユ(ロクデナシ)。てっきり『暴食(グラトニー)』──ベルゼビュートにボコボコにされて消えてるんじゃないかと思ってたわ?」

 

 アンリマユが暢気な声を上げると共に、先ほどまでの柔和な雰囲気から、その手に持つカップにヒビが入りかねないほどの不機嫌さを露にする。

 それでも笑顔であることには変わりないために、余計に威圧感を増すが、アンリマユは気にした風もなく話続ける。

 

「いやされたよ?ボコボコに。そりゃあもうボロ雑巾にされるかってぐらいに」

ならそのまま消えなさいよ……

 

 小声でリリスが毒吐く。立香は改めて思う。──アンリマユって、悪魔(こっち)からも嫌われてるんだ──と。

 なおも食い下がろうとするアンリマユの後ろから、幼い少女が駆けながらアンリマユに飛び蹴りをかます。

 

「いい加減しつこいのッ!!」

「グホァッ!?」

 

 くの字に体を折り曲がらせて飛んで行くアンリマユ。そこからきりもみ三回半回転を決めるあたり、その強さが窺える。

 立香はその蹴り飛ばした少女を見ると、怒ったように頬を膨らませて、腰に手を宛ながら「フンス!」と鼻息を荒くしていた。

 

「ありがとう『サタナキア』。ほら、あんなすすゴミは放っておいて自己紹介なさい?」

「はい!皆様はじめまして、私は『サタナキア』なの。これでも『赤竜一派』の第二席、"大将"なの!」

「「「えぇ!?|君 (貴女)が!?」」」

 

 あまりの幼さ故に一部を除き、立香らは驚愕の声を上げる。

 見た目はまだ小学生ほどであろう少女が、あの『赤竜一派』の第二席ということに、立香らは愕然とする他なかった。

 開いた口が塞がらず、しばらくそのままになっていた立香らだったが、その内女性陣が何かに気付く者素振りを見せ、立香の前に警戒態勢で立つ。

 

「えっ、えっ、どうしたの皆」

「マスター、この者にお気をつけを」

「えぇ……有り得ないわ。この私が彼女を"可愛い"と思うだなんて」

 

 睨み付けるようにサタナキアを見る女性陣。当の本人はどうしたのかわからないと言った顔をしているが、その奥でアスモデウス──女性側であるアシュリーが笑みをもらす。

 

「ふふっ……敏いわねぇ。でも安心して?貴女達に何かするつもりはないわ?むしろ、それは彼女の"体質"なの」

「……?あっ、そうなの!私は『あらゆる女性を魅了する』っていうたいしつなの!」

 

 アシュリーの発言によって思い出したかのように声を上げるサタナキア。そこからすぐさま頭を下げて「ごめんなさいなの!」と謝る。

 その様子に毒気を抜かれた面々は、どうするべきかと顔を見合わせる。

 

「……レディ、君のそれは本当に体質なのかい?」

「そうなの!くわしくいうと、私のまりょくと合わさって体質みたいになってる、らしいの!」

「始めに言うけれど、私が教えたから彼女自身に自覚はないわよ?」

 

 微笑ましそうなものを見る目でサタナキアを見つめていたアシュリーが、サタナキアの答えに補足する。

 そこからまたしてもホームズが考えてはじめてしまう。と、"デール"と名乗った方のアスモデウスが立香らに歩み寄ってくる。その姿を見た立香は、どこかで会ったような気がしていた。

 

「久しいな、と言った方がよいかな、カルデアのマスター。────いや、人類最後のマスター、藤丸立香よ」

「っ!なぜそれを……っ」

 

 まだ自己紹介すらしていないのに、自らの名前と、自らにつけられた称号を言い当てられ、このえも言われぬ違和感と相増していつになく警戒する立香。

 デールは挑戦的な笑みを浮かべると、片手で何かに浮き上がるような合図を出す。すると──デールの周りから、かつて立香の前に立ち塞がった最大の敵、『魔神柱』が小さいながらもいくつか湧いて出る。

 

「魔神柱!?」

「そうだとも。改めて……元魔神柱、『観測所』の端末、アスモデウスである」

 

 静かにのたまうデール。そんな彼は、"魔神柱"と聞き一気に警戒した立香達に苦笑いしながら、

 

「今は最早、関わりの無いものであるがね」

 

 と肩をすくめるのであった。

 




主「他の魔神柱についてどうなん?」

デール「バルバトスとハーゲンティの扱いが酷いと思う。流石にあれは哀れだろう……」

アシュリー「興味ないわ~。あぁでも、ゼパルとか言うのの最後はなんとも言えないわね……」

デール&主「ゼパルゥ……(憐憫)」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。