【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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オレの説明会part,2



5-6 空の樹と魔の柱

 立香は気付くのが遅れていたが、大半の者達、そのさらに一部の者達はこの空想樹の異常に気がついていた。

 幹はいくつか紺や紫が混じった鈍黒に変色し、今までの空想樹と違っていっそ禍々しく感じられる空気が流れていた。そして考え付く。これは、ただ奪っただけではないな──と。

 

「それを含めて説明しよう。故に、落ち着きたまえ」

「元とは言え君達は魔神柱なんだから、それは無理は話じゃないかな?」

 

 ダヴィンチがデールの発言に返すも、その声音には明らかに警戒心が入っていた。

 皮肉げな、そして自嘲するかのような笑みを浮かべながら、デールは肩をすくめる。

 

「尤もだな。では、まずは私について教えるとしよう。

 

 

 

 

 

 まず知っておいて欲しいのだが、私と彼女──アシュリーは元々は別個体であるのだよ。私が諸君らに敗北し、虚空を放浪していたところ、『ゲーティア』の中ではなく、人々の概念的思想によって確立された彼女(アスモデウス)と出会ってね。

 その時の私の中には、バエルのような憎悪でもなく、フラウロスのような粘着質な悪意でもなく、人々への希望を視ていたのだよ。それ故、私自身改めて己の狭量さ、そして視野の狭さに気づき、私は無念に打ちひしかれていたのだ。

 言い得て妙な話だが、私は彼女と同一化することによって一命をとりとめ、今はこうして真性悪魔として顕界できているのだよ。

 

 

 さて、当の空想樹だが。実のところ、あれは奪ったというより、どこぞで撒き散らしていた種子の一つを拝借して、汚染させられながら育てられたのだよ。無論、主犯は『虚飾』だとも。

 あれは今や空想樹ではなく"厄災の樹"──俗称で"クリフォト"と呼ばれる悪魔の樹と化している。『憤怒』らはあれを起点として各世界に根付く空想樹を侵食し、世界を破壊していく。そうして新たな世界のための礎となるためにあれは育てられているのだ。

 

 とは言え、流石に『憤怒』は我らを無視し過ぎたのでな。意趣返しと言うべきか、私の魔神柱としての力を使って塗り替えてある。故に、我らが倒されぬ限りあれが『憤怒』らに渡ることはないのだよ。

 

 

 と、まぁそういうわけだ」

 

 スケールが大きく難しい話なために、立香を始めとして頭の弱い者達は頭上にハテナマークを浮かばせていた。

 だが、一部の賢い者は察していた。それがどれほどの恐ろしさとスケールの大きさなのかということを。

 

「……ふっ、さて、では話を戻そうか。無論、残りの悪魔と今後についてだが。

 

 

 

 残りの『憤怒』と、例外たる『虚飾』、『憂鬱』について語ろうか。

 とは言え、『憂鬱』──『マステマ』については無視していいだろう。何せ、奴は諸君ら以外の侵入者、つまり異星の神と呼ばれるマヌケ側の手下を退けるためだけに徘徊しており、諸君らと遭遇しても特になにもしないであろうな。

 

 だが、最後の二人は別だ。奴らは言うなれば犯罪における主犯格。あの二人を倒さずしてこの世界から出ることは叶わぬ。

 諸君らは既知かはこちらは知らんが、『虚飾』はかつて大天使らによる人々の監視部隊、"エグリゴリ"副長だったにも関わらず彼らを裏切った悪魔『アザゼル』。全てを欺き、全てを騙し、全てを偽る狂った道化師。奴を知らぬ悪魔はおらんだろうな。

 

 

 

 そして────」

 

 一呼吸置くデール。立香らは生唾を飲み込む。

 なぜならば、その顔には、先程とは比べ物にならないほどの真剣な顔かみあるからだ。

 

「甚だ不服ではあるが……我ら大罪悪魔の頂点『憤怒』。奴の真名を────『サタン』と言う」

「やはり、か…………」

 

 ホームズがデールの発した者について、苦い顔をしながら、さながら当たってほしくなかったと言わんばかりの表情で呟く。

 事態の重さについていけていない立香は呆然としていたが、その横からシャドウ・ボーダーから降りてきたばかりのマシュが手を挙げる。

 

「あの!その『サ──……」

「その名を語るな。憑き殺されても知らんぞ」

 

 今までにない眼光の鋭さでマシュの質問は抑えられ、あまりの気迫に圧し黙る。

 

「奴は、始まりにして終わりの魔王。我らの中で唯一『魔皇』とかたることを許された存在。諸君ら人間社会において最も狂信的な絶対視観を宿らせる者。だがそれは、一般人、魔術師問わず市井の中でのこと。奴を知り、奴の本当の姿を識る者は皆、奴をこう呼ぶ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────其は終わりにして究極の『平等』、

ビースト7=サタナエル────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────と」

 

「ビースト…………7……」

「なっ……彼の大悪魔がビースト7、なのか……っ!?」

 

 告げられたその異名に、立香はおろか、あのホームズでさえも愕然とする。

 全ての『獣』の終わりにして始まり、下位番を無視して顕れた『平等の獣』──ビースト7。

 そして、その『獣』と従える『道化師』は、間違いなく立香へと、その魔手を伸ばしつつあるのであった──。

 

 





キーパーソンを出していくゥ。
設定諸々気になっているだろうなので、ボチボチ設定話を出そうかなと考えております。

話はたまにめっちゃ長くなったり、前話より短くなってたりとするので、長い方がいいならいいと言ってくだちい(露骨なコメ稼ぎ乙)。
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