【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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1-3 混沌の始まり

――――〈カルデア内 ???〉

カルデア内の薄暗く、誰も立ち寄らないような場所。そこに二つの影があった。

 

「おや、おやおや、おやおやおやおやおやおやぁ?珍しい御方がいらっしゃいますねぇ?召喚ですか?降臨ですか?はたまたいつもの突飛な登場ですかぁ?」

 

そう言ってハイテンションで捲し立てるのは〈キャスター〉、『メフィストフィレス』。彼の前には、白黒のピエロのような仮面をつけた青年―――――『虚飾(ヴァニティ)』がいた。

 

「ん~、残念っ、召喚はされてないし降臨もしてないよン。ただ遊びに来ただ~け」

「おやおやおやまぁまぁまぁまぁ!そうでございましたか。ではでは此方へ、そして私に何用で?」

 

まるで古い付き合いであるかのように楽しそうに語らう二人。青年はケラケラと笑い、メフィストは演劇の支配人のように振る舞い、しかしおぞましい『悪魔』としての気配を漂わせて談笑する。

 

「今日はねぇ~、メフィっちにお願いしたいことがあって、ねぇ……?」

 

そう言ってヴァニティは妖しい気配をその場に満ちさせる。ヴァニティの目を見たメフィストはさらに笑みを深め、口が裂けんばかりの笑みを見せる。

 

「フ、フフ……ヒヒ…ヒャハハハハ!成る程成る程なぁるほどぅ!このメフィスト委細承知ですよぉ?」

 

二人はお互いに見合って頷き合い、そしてニタリと笑う。ヴァニティの姿は次第にメフィストとそっくりになっていき、ついには瓜二つとなる。

悪意に満ち満ちた談笑をする二人。青年もメフィストも、ニヤニヤケラケラと嗤い合う――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈カルデア内 食堂〉

 

『あーあー、えー、藤丸立香クン、藤丸立香クン。至急管制室まで来てくれたまえ』

 

立香達が食堂にてエミヤの作ったホットケーキを食べていると、突然放送で指名して呼ばれる立香。

放送の声は少女然としていたがダ・ヴィンチのものであり、何事だろうと席を立つ。

 

「ごめんエミヤ、ちょっと行ってくるね」

「それは構わんが………食べ残しを漁られても私は何も言えないぞ?」

 

そうやってエミヤがチラリと視線を向けた方向を見ると、メルトリリスと〈バーサーカー〉『茨木童子』が、立香の残したホットケーキを狙っているのが見える。

茨木は言わずもがな狙ってますよと言わんばかりに仰視し、メルトリリスは我関せずと言った風にしているが、視線が立香のホットケーキの方をよく見ている。

 

「あはは………まぁ残すのも悪いからね…」

「ふむ……マスターがそういうのならばいいのだがね。引き留めて悪かった、早く行くといい」

 

微笑みを携えたエミヤは、そう言うと立香のホットケーキを持って厨房へと戻っていく。その行く先を仁王立ちして防ごうとする茨木に、エミヤは片手にステンレスのお盆を出して、気持ちのいい音を響かせる。

うずくまる茨木に立香は苦笑してから管制室へと向かう。

 

 

 

 

〈カルデア内 管制室〉

 

「お待たせしました!」

「お?来たねー」

 

立香が管制室へと入ると、さも何か話し合っていたかのように人が集まっていた。立香はその集まっている方向へと向かって行く。

 

「先輩、お疲れ様です」

「お疲れ様、マシュ。それでどうしたんですか?」

 

立香がマシュにあいさつしながらダ・ヴィンチに聞くと、ダ・ヴィンチは「慌てない慌てない」と言いながら近くのボタンを押す。

すると、管制室の画面に不思議な光景が写し出される。

 

「あの………これは?」

 

そう立香が問うと、ホームズが歩み寄ってきて、画面について説明していく。

 

「藤丸君、実は先程極小の、けれどどうしても見過ごせないズレを確認したのだよ。私達は、これを仮称『異空点』とした」

「『異空点』……?」

 

立香が困惑したかのように首をひねると、ホームズに続きダ・ヴィンチが続ける

 

「そう、『異空点』。特異点でも異聞帯でもないナニカ。でも放っておけば人理が危ういという結論が出たのさ。ちなみにシバでも同じように出たよ」

 

その言葉を聞いて立香は驚く。特異点でも異聞帯でもないナニカが人理を侵そうとしている、という事実に立香は驚いていた。

しかし、彼はかつて人類最後のマスターとして戦い抜いた程の胆力がある。故に――――、

 

「行きます。どうなってるのか調べて解決しましょう」

 

その言葉にダ・ヴィンチやホームズ達を始め、管制室内にいる者達が半ば納得しているかのような反応を見せる。

その様子に立香が困惑していると、

 

「皆さん、先輩ならそう言うって判ってたんですよ」

「そうそう、お前ならこういうのは見過ごさないだろうしな」

 

と、マシュに続き、職員達が口々に賛同していく。自分が何を言うか見透かされていたことに、立香は少し照れながらも、どこか嬉しい気持ちもあった。

その様子を見ながらダ・ヴィンチはシバを操作していく。

 

「ほらほら、喋ってないで早く準備しておいでー。あと、今回は何が起こるかわからないからサーヴァントも連れてくこと。いいね?」

「はい!ありがとう、ダ・ヴィンチちゃん!」

 

ダ・ヴィンチはシバの準備をしながら立香に大事なことを伝え、戻りを待つ。

座標位置は"十九世紀のロンドン"。奇しくも第四特異点と同じ場所であった――――――――――。

 




小ネタ
・立香のホットケーキには程よくハチミツがかかり、アイスクリームが乗っかってる甘くて美味しいやつ。ぶっちゃけ美味い。
・メルトが狙ってた理由は間接キス狙い。ただ恥ずかしいのとプライドで板挟みになってて堂々と狙えなかった。
・実は他にも数名立香の食べ掛けを狙ってた人がいるのはお察し。
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