【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
なるはやで更新していきます。
だって休みだもの!やれることやらなくちゃ!!
ヒャッハー!(発狂)
「へぇ?いいじゃん、面白いじゃん?」
突如として聞こえたその声に、立香達はより一層の警戒をする。
周囲にはルシファーとの決戦を観戦していた堕天使達か、立香のサーヴァント達しかおらず、声の主は一向に見つからない。
「一体、どこに────」
「ッ!!危ない立香っ!」
背中に来る重い衝撃と共に、立香は何かに突き飛ばされたかのように甲板を転げる。
しかしすぐさま起き上がり顔を見上げると、堕天使兵の一人が、その手に持つ草刈り鎌に似た短剣でベルフェゴールの腹を突き刺していた。
「ベルフェゴール!?」
「大丈夫……ッ。まさかここで仕掛けてくるなんてね、アザゼル……!!」
睨み付けるように、兜で目元を隠した堕天使兵の一人見る。
だが、その兵士はまるで面白いものを見たかのように口元を吊り上げ、せせら笑うかのような笑みを見せる。
「ンフフフ。いやぁ、守られちゃあバレるよねぇ、っと」
「ぐぁっ!」
ベルフェゴールを蹴り飛ばして短剣を引き抜く。刺された腹を抑えながら甲板に転がされるベルフェゴール。
次第に堕天使兵の姿が、以前見たパズルピースが砕けるように崩れていき、白黒の道化師に似た仮面を着けている悪魔──アザゼルの姿へと変貌する。
「まさかルシるし君が、こんなあっさりと倒されるなんて思ってもみなかったなぁ~。しかも暗殺に失敗とかボクびぃっくり~」
ケラケラと笑うアザゼル。本来ならば、その口から発せられたことはかなりの大事のはずだが、当のアザゼルはまるで何の焦りも痛様も見せることはない。
そう、なぜならば────、
「ま、全部時間稼ぎの為だったしねぇ。あ、オフレコだヨ?」
全て、時間稼ぎ。アザゼルはそうのたまう。
では、一体何のために。その場にいる立香を始めとした全員と、立香のデバイスから全て聞いているダヴィンチ達はそう思っていた。
「あー、今何のために?とかって思ったでしょ~?」
愉快そうな声で立香達の内心を当ててくるアザゼル。どことなく苛立ちを感じさせるような口調で、既に一部の者達の血管が浮き出始めていた。
そんな様子にアザゼルは、まるで頭の足りない者の相手をするかのように嘆息する。
「確かに?ボクらの目的は地上の支配サ。でもそれは二の次なワケ。そもそも本当にそれだけなら、空想樹だとか煉獄だとか、そういうの必要ないワケ」
まるで風船のように翔び、艦橋の出っ張りに腰かけるアザゼル。そこから、侮蔑的な態度で説明を続けていく。
「ボクらの本当の目的は『全人類史の神代からのリセット』。つまるところ、全ての歴史をまっさらに描き直すのさ」
『なっ!?だ、だがそれでは、異星の神やクリプター共と同じではないか!?』
アザゼルの発言に、通信を挟んではあるが、驚きながらに噛みつくゴルドルフ所長。
そんなゴルドルフ所長に対して、またしてもどうしようもない相手を見るかのような憐憫を込めた目で見返す。
「あれはさァ~、ただ自分のエゴで自分好みにしようとしてるだけだし~。ボクらはこの世界を、
「「『はぁっ!?』」」
今度こそ全員が驚きの声を挙げる。神も魔術も元から存在しない世界。それは、ある意味ではまさしく人理の崩壊であり、ある意味では神や魔術による被害を無くすということでもある。
そして何よりも、神も魔術も存在しないのでは、自ら消えるも同等であり、本末転倒なのではと誰もが思い至っていた。
『そんなことをすれば君たちも────』
「消えるね。でもさ~?────それがどうしたってハナシよ?」
無関心。ホームズの問いたことに対して、アザゼルが返したのは、自他共に無関心と言わざるを得ない答えだった。
あまりに常軌を逸した答えに、ホームズは絶句したかのように黙りこくってしまう。そんなことを気にした風もなく、アザゼルは語り続ける。
「大体さぁ~、この世界がここまでグッチャグチャになってるのも、全部神サマだとか魔術だとかが存在してるからこうなるんジャン?」
そう言われては誰も反論することができない。異星の神、人類悪、サーヴァント。そう言った者達が存在しているのは、神や魔術が存在するという"証明された神秘"があるからである。
では、それがなければ?もし魔術といったものが始めから存在していなければ?全ての魔術は確率された方法でなく、妄言にも等しき空想のおとぎ話だと言うのなら?
「だからボクらは、この"魔術世界という人理"をぶっ壊すのサ。彼と、ボクとでネ」
「……彼?」
しぼり出すような立香の質問。仮面越しではあるが、アザゼルの笑みが深くなっているのを、立香は感じとっていた。
だが次の瞬間、立香を含めたこの場の、より正確にはこの世界が恐怖するかのような重圧が襲いかかってくる。悲鳴、恐怖、畏怖、悲壮、絶望。汗が止まらなくなるほどの威圧感が、アザゼルの隣に開いた渦より現れる。
────それは、今までに出会ったあらゆる存在よりも、最も恐怖を感じた存在であった。
「──遅い。遅すぎるぞ、『
「ごめんごめん、ちょちょいっと長話しすぎたみたいだわ~。"サァタン"」
紅蓮の焔のような、圧倒的絶望が顕現した。
真打、登場。
これより佳境に入っていきます。