【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
黒幕が現れるとかいう終わりに近い展開。
そらそうだ、だって他のやつらみーんなカルデア側だもん。まっ、是非もないヨネ!
燃えるような眼、長身ながらにがっしりとした体つき、かつての亜種特異点・新宿にて傍目で見たマフィアの重鎮のような格好。その手には二丁の、刃と
だが、そんな見た目よりもその人物が放つ強烈なまでの絶望の波動は、その場にいる誰もが勝てないと思わせるに充分だった。
「……あれが人類最後となり、人理の修復を担う存在か」
「そだよ~。キミから見てどうなのサ?」
サタン。そう呼ばれた男性の双眸が、立香を睨む。その瞬間立香は、蛇に睨まれた蛙のように、滝のような汗が流れるばかりでどうすることもできなくなってしまった。
焔のように燃え、氷のように冷たいその目線に見つめられること数瞬。興味をなくしたかのように視線を外す。
「ふん…………期待外れ、だ。足元にも及ばん虫ケラだな」
「アッハハ~!酷評~」
吐き捨てるかのようなサタンの判定と、嘲笑うかのようなアザゼルの茶々。
そして周りなぞどうでもいいと言わんばかりに、その場で語らい始めていく二人。
「アレはどうだ、すぐに動かせるか」
「んー、問題ナシ!もうやっちゃう?やっちゃう?」
アザゼルは愉しそうな声でサタンに可否を問う。それに対しサタンはただ一言のみ。
「やれ」
「あいっさー!」
元気の良い返事と共に、虚空に手を伸ばすアザゼル。だが、次第に周囲にいくつもの魔法陣が現れ、その全て、一部分ずつが何かの機能を模しているかのごとく動いていく。
「煉獄内魔力充填開始、及び補填器偽装解除。充填回路終着点、バベル天空搭内部。魔力充填率、規定値第一段階突破。これにより、以下を以て告げる。────
──空想樹『パンドラ』、起動」
煉獄が、揺れる。地の底からの叫び声のような地鳴り音を鳴らして、世界が揺れていく。ふと、立香が甲板から地上を見ると、遠目に見えていたソドムがあるであろう地点にあった空想樹が、破片となって崩れていた。
それと共に、さらに遠くに巨大な搭のようなものが見え、その頂からおぞましい色合いの空想樹の根が伸びているのが見えた。
「なっ……!空想樹は、ソドムにあったはずなのに……ッ」
「ソドムにあるは紛い物。あれこそが、我らが手掛けし魔の空想樹、『パンドラ』である」
胎動するかのような瘴気の脈動を打ち鳴らし、ついに現れた煉獄の空想樹。それは、見るもの全てに絶望を与えるかのようなおざましさに満ちていた。
異星の神やクリプター達が手掛ける空想樹と違い、寒気がするほどに生物じみた脈動は、例え搭の壁越しであったとしても恐怖を掻き立てるには充分であった。
「びっくりした?びっくりした?実はねぇ、あれねぇ?ボクらの魔力で造った『魔の聖杯』を埋め込んであるのサ~!」
『魔の、聖杯だって……?』
絞り出すかのようなダヴィンチの声。遠く離れていても、その異様さは目に見えているらしく、声は震え、恐ろしささえにじみでていた。
「そそ。普通の聖杯だと~、手にした人間の願いを叶える願望機で~。反転しても悪意ある叶え方でしょ?でも、ボクらが造った『魔の聖杯』は違うのだー!」
クルクルと軽業師のように宙を舞いながら説明していくアザゼル。
「な、な、なんと!『魔の聖杯』は所有者が破滅、絶望、恐怖といった負の結末を願えば願うほどに力を増す"
「そん、な……聖杯が、終末、装置……」
あまりのことに膝から崩れおちるマシュ。ルシファーとの戦闘での疲れもあっただろうが、オルテナウスのゴーグルが独りでにずり落ち、重い音を鳴らす。
甲板にいる者達が各々の絶望を感じる中、サタンはつまらなさげに口を開く。
「もうよかろう、よく足掻いた。だが、総て終わりである。故に────」
片方の長銃が立香に向けられる。その銃口は重く輝き、まさしく死を幻視させた。
「ただ、去ね」
轟く射撃音。流れる時間がスローモーションに見える。マシュが駆け寄ってくる姿が見える。だが、届かない。空気を裂きながら、立香目掛けて一直線に向かってくる、魔力を帯びた必死の弾丸。
もう、これまでなのか──立香は歯を食い縛り、無念を抱く。
「────させませんッ!!」
金属がぶつかり合うような反響音が、無我の意識へと飛んでいた立香の頭を叩く。目の前にはワルキューレの一人であるスルーズが、強い力で弾かれたかのように胴を見せていた。
そして、立香の脇から二人の影が躍り出る。それは同じくしてワルキューレのヒルデとオルトリンデであった。
「魔力回路、複合接続。もう手出しはさせません」
「ごめん、マスター。もう油断なんてしないから」
二人の覚悟の決まった視線は、訝しげに目を細めるサタンへと向けられていた。
だが立香は、今自分が死にそうであったことよりも、まず気になったことを二人に問いかける。
「な、なんで三人ともいるの?魔力の消費激しいって言ってたはずなのに、なんともないし……」
「──それは私から説明しましょう」
そう言って、立香の背後に現れるスーツ姿の男性。サングラスをかけ、周りにはなぜか巨大な計器類が現れているその人物を、立香は
それは────
「マックスウェル!?」
「正確にはマクスウェルの悪魔ですよ。お久しぶりですね、お元気でした?」
サングラスをかけ直し、気さくそうに語りかけるマックスウェルの悪魔が、ついに盤上に姿を表すのであった。
マクスウェルキター(゚∀゚*)
悪魔だし出そうかなぁと考えていたので出しました。
やったね立香!これで魔力量の心配いらないよ!ブラックだね!!