【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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大雪による交通麻痺でやることもなく自宅待機でござったので暇つぶしな更新。

今回は趣向を変えて事後談です。
(やっべ編集し忘れてた……)


6-幕外 〈事後〉魔王教室 by『傲慢』

 ノウム・カルデアの廊下を走る人影。それはただ一つの部屋を目指していた。そこは誰もが集まる食堂兼談話室。走る人影──立香はそこである約束のために走っていた。

 

 

 

 ・

 

 ・

 

 

「──む。随分と遅い到着だな、人の子(マスター)よ」

「こ、これでも走ってきたんだけど……」

 

 息も絶え絶えな立香の目の前に、腕を組みながら無慈悲な言葉を投げ掛ける、黒白の翼を背に持つ青年──立香のサーヴァントたるルシファーが立っていた

 しかしそこにはルシファーだけでなく、立香のサーヴァント達を始めとして、ベルゼビュート、ベルフェゴール

 等といった、煉獄にて共に戦ったサーヴァント達。

 更にはサタン、アザゼルといった当時の敵もまた出席していた。

 

「では、事静かに傾聴せよ。これより講義を行う。議題は──ふむ……"真性悪魔と大罪魔王について"といこう」

「「よろしくお願いします!」」

 

 先に着いていたマシュと立香の声が重なる。それにルシファーは薄く微笑みを浮かべて解説を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず、人の子よ。お前は悪魔についてどれほど理解している?」

 

 唐突に聞かれた質問に、うなりながら考える立香。

 うんうんとうなり、出た答えを口にする。

 

「えっと……ごめん、わかんないや」

「まぁ、仕方あるまい。では一から説明しよう。聞き逃すなよ?」

 

 そういうとルシファーは、ホワイトボードをどこからともなく出現させて、なにやら書き込んでいく。

 

「では始めに、真性悪魔について語ろう。

 

 ──真性悪魔の定義とは、人の世では"荒唐無稽にして人知無能"、"人の願いに執り憑き、破滅させるもの"といったものが通例だな。だが、魔界では少し違うのだよ」

「と、言うのは?」

 

 マシュの理解を示すような頷きから、ルシファーの反論にキョトンとした顔をする。

 ルシファーはそれに構わず、ホワイトボードに色々と書き込んでいく。

 

「うむ、我々魔界に住まう者からすれば真性悪魔とは、極論を言えば"自由を求めた者"だ」

「自由を、求めた?」

 

 立香の復唱に軽く頷き、話を続けていく。

 

「本来の真性悪魔とは、己が心にのみ従い、己が目的の為にのみ動く利己主義者よ。ただ己の求めるもののためにのみ、全ての行動を行う。それだけが目的の者だ」

 

 ルシファーの結論に、他の大罪魔王達がその通りだと言わんばかりに頷く。

 

「そして俗世でいうところの真性悪魔だが、これは言ってしまえば、『気ままに過ごしていたところを無理矢理に喚ばれたからぶちギレた』状態故に、自己破滅を招いてしまうのだ。人の喚び方は不完全でな、我らの機嫌の酔いしれときならば問題はないが、不機嫌であるときは最も危険であるということをよく覚えておけ」

 

 生唾を飲む音が響く。アザゼルのジャグリングによる風切り音が鳴る。

 

「……話を戻すぞ。つまるところ真性悪魔とは、"自由過ぎるが故に、残忍で融通が効かない存在"なのだ。とは言え、一部例外はいるがな」

「そうなんだ。知らなかった」

「はい、新しい発見でした」

 

 驚いた顔で納得する立香とマシュ。二人は単純に新たな知識による発見に驚くばかりであった。

 真性悪魔についての、今までとは全く違うかのような価値観に嘆息する二人。一呼吸置いてから、ルシファーは再び話し始める。

 

「では次に我ら『大罪魔王』ないしは『大罪悪魔』について語るとしよう」

「「お願いします!!」」

 

 

 

 

「──『大罪悪魔』というのは、真性悪魔にとって爵位という強さ以上に畏れ、敬われる存在だ。有名なものであるならば我ら『七大罪』、そこのふざけているアザゼルのような『八大枢要罪』のようなものだな」

「ん~?呼んだ~?」

 

 先程までの一般的なジャグリングから、前後から背後まで、自由自在な投げ方をしていたアザゼルが、気の抜けたような反応をする。

 ジト目を向けながら嘆息し、無視を決め込むことにしたルシファーだった。

 

「はぁ……。まぁ、なんだ。あんな奴ではあるが、その実力は折り紙付きだということは、一度でも敵対していたお前達ならばわかることだろう」

「うん、ビックリするぐらい強かった」

 

 煉獄で味わったアザゼルの強さを思い出しながら、立香はルシファーの問いに同意する。

 

「そして『大罪魔王』だが、これは先程の『大罪悪魔』から何百年と年月を経て強さを得てして成った、総ての魔を統べる存在だな。その中でも、そこにいる『憤怒(ラース)』ことサタンは、癪ではあるが別格であろうな」

 

 名指しされたサタンは、鼻を鳴らして興味なさげにまた目を瞑る。

 そんなサタンを置いて、話は続けられる。

 

「『大罪魔王』は私やそこのベルゼビュートのように、俗世においても名だたる名持ちが成っていることが多い。とは言え、『大罪悪魔』から魔王になれるのは、そこにいるアザゼルともう一人の下衆以外には居らんだろうな」

 

 そう言って話を区切るようにすると、ホワイトボード『総評』と書き込む。

 

「さて、ではまとめよう。まず『真性悪魔』とは、"自由なる暴虐の化身"であり、『大罪悪魔』とはそれらの中でも遥かに高い力を持つ者である。最後に、『大罪魔王』とは、それらを束ねる魔界最大にして最強の存在である。と、いうことだな」

「す、すごいお話でしたね……」

「う、うん。覚えきれるかな……」

 

 あまりの情報量に唖然としつつも、その膨大さに不安がる二人。

 そんな二人に、堕天したとはいえ天使らしい柔らかな微笑みを浮かべて肩を叩く。

 

「何、案ずるな。我らはお前のサーヴァント。わからな事があれば再び聞くが良い。だが、まともに答えるものがいるかどうかは保証しかねるがな」

 

 フッと頬を軽く釣り上げるような笑みを浮かべ、立香達を激励する。それを受けて、立香は志を新たにする。

 

 

 

 

 

「そうだ、それで良い。総ては主の思し召し故に、な」

 

 

 





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