【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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『エキドナ』
ギリシャ神話におけるティアマト的存在。ただしこちらは魔獣の母であり、向こうは神々の母。
ネメアの獅子、ケルベロス、ヒュドラといった有名な怪物達の母。蛇の胴体を持ち、翼を生やした美女。ラミアとは似て非なるものであり、どちらかと言うと〈竜〉の分類。
神話における死後、煉獄にて過ごす。ゲーム上でのクラスは〈ライダー〉。




7-2 The crazing friend

 

 血走った、まるで自我がないかのような目をする巨大な蛇の女性に、リリスの目は愕然と見開かれていた。

 この巨大な敵の正体を知ってるであろう反応をするリリス。だが、ここは戦地であり、茫然としているリリスを、立香は我に返すことを含めて大声を上げる。

 

「リリス!」

「──ッ!」

 

 立香の上げた大声に、体を小さく跳ねさせて我に返るリリス。

 だが、そんな彼女を撥ね飛ばすかのように、その巨体から放たれる薙ぎ払う尾が迫り来る。

 

「■■■■■■ー!!」

 

 当たる寸前、ヘラクレスがリリスの前に立ち、その尾を石斧で受け止める。多少下がりはしたものの、その場に留まり攻撃を防ぎきる。

 唖然とするリリスに、ヘラクレスは顔を少し向けると、小さく頷く。ハッとするリリスは、すぐさまその目を鋭くし、かつての狂える友を見据える。

 

「エキドナ、ですか……。その名、久々に耳にしましたね」

「■■■■……」

 

 いつもの優しげな顔を引っ込め、真剣に、そして完全に臨戦体勢に入っているケイローン。そして眉を寄せながら、その巨体を見上げるヘラクレス。

 

『Aaaaaaaaarrrrrrrr────―!!』

 

「これが、あのエキドナですか……。当時より随分とヒステリックになっていますね」

「おかしい……。私が居た頃よりも随分と狂化している」

 

 同じく怪物として恐れられたメデューサとゴルゴーンが、エキドナの違和感に気付く。彼女達の認識では、エキドナは確かにヒステリックを起こしやすくはあったが、それも子を殺され続ければを考えれば妥当なところ。

 しかし、今目の前にいるエキドナは、まるで復讐に狂っているかのようで、何かに恐れているようにも見てとれる。

 

「────おっ?そこに気付く辺り、流石はギリシャ神話の怪物さん達だネェ?」

「「ッ!?」」

 

 この混沌とした場に似つかわしくない、朗らかな声が背後より聞こえる。咄嗟に手に持つ鎌と蠢く蛇をもってして背後を裂く。

 しかしヒラリと避けられ、曲芸師のような見事な空中捻り回転を決めたのは、白黒のピエロのような仮面の男────アザゼルであった。

 

「ひゃぁー、怖い怖い。もうちょっと穏便に行こうよー」

「どの口がいいますか外道」

 

 油断なく鎖鎌を構えるメデューサと、蛇の鎌首をアザゼルに向け続けて威嚇させているゴルゴーン。更にはアザゼルの登場に気付いた面々が、警戒態勢を限にまで上げていた。

 それでもなおおどけるようにフラフラとするアザゼル。それはまるで挑発しているようであり、ふざけているようでもあり、嘲笑っているかのようでもあった。

 

「ンッフフー、やだねぇヤダヤダ。怖い人ばーっか。せっかくイイコト教えてあげようと思ったのに~」

「……何の用だ」

 

 鋭い目線でアザゼルを睨む立香。今まで出会ったいかなる敵よりも悪辣で、猟奇的で、快楽主義者であるということを、立香は今まだの行動から解っていた。

 アザゼルは、その仮面の中の口角を、笑みを浮かべるかのように引き吊り上がらせ、その濁った瞳孔に恍惚を滲ませながらに口を開く。

 

「彼女にはネェ~……キミ達への憎悪をたぁーっぷり入れ込んだのサ。それこそ、魂が崩壊するほどに、ネ」

「なっ!?そんなことをしたらエキドナは!!」

 

 驚き、そして何とおぞましいものを見るかのように、声を上げて叫ぶリリス。その声を聞いたアザゼルは、愉悦感たっぶりにクスクスと嗤う。

 まるでそれは、他人の魂を、存在を、オモチャであるかのように容易く弄り、壊し、いらなくなれば棄てる。まさしく外道の如き所業であった。

 

「アハァ♪ま、せいぜい楽しんで殺し合って(遊んでいって)ネ~。こっちはこっちで用事あるから。ほーんじゃ」

 

 言うだけ言って転移して去っていくアザゼル。残されたのは未だ気が狂ったように暴れ続けるエキドナと、何かすることもなく、去るのを見つめていた立香達のみ。

 遠方では、未だに悪魔の軍勢とぶつかり合う仲間達。立香はただ俯いて、歯を食い縛るだけしかできなった。

 

「先輩……」

 

 心配そうに声をかけてくるマシュの声。どうにか声を上げようとする立香。

 そんな立香の肩に手がのせられる。それにつられて顔を向けると、立香を落ち着かせるような穏やかな表情のケイローンがいた。

 

「あっ、先生……」

「マスター、彼のことは後回しです。そして、エキドナのことは我々にお任せを」

 

 そう言うケイローンの後ろには、ヘラクレスを始めとして、アキレウス、アタランテ、メデューサ、ゴルゴーンなどと言った、ギリシャに謂れのあるサーヴァント達が集っていた。

 

「我々ならばエキドナのことを知っていますので、幾ばくかの対処はできます。なので、その間にマスターは元凶の元へと向かって下さい」

「でも……っ」

 

 立香は思うように言葉が出ず、詰まらせてしまう。

 それに優しく微笑み、立香の目を見てケイローンは語る。

 

「いいですかマスター。エキドナは本来我々ギリシャの者達が生んだもの。であれば、我々がその相手をすることは道理に敵っているのです。何より、同郷のものがこうなっているというのに、それに何もしないのは我々としても心苦しいのです。ですからお願いです、マスター」

「…………解った。ここを、エキドナをお願いします。ケイローン先生、皆」

 

 その立香の返答に、ケイローン達はただ静かに、しかし力強く頷き返す。

 そして、立香はマシュや同行する者達を連れてバベルの街へと入っていく。リリスはそれに追随し、ケイローンとすれ違う瞬間、目線で意思を伝え、対して黙って頷くケイローン。

 

「さて、では行きますよ、皆さん」

「「「おう(はい)!」」」

 

 





アザゼルは愉悦部。


Q,アザゼル君は何したのー?
A,煉獄内に渦巻く怨念やら憎悪やらを、エキドナの魂に入☆魂し続けたのー。さらに耳元でエキドナさんのトラウマを刺激し続けて精神も破☆壊したのー。
正直言ってゲスいやり方なのー☆

【修正版】サタンvs◯◯!!エンディングに見たいのは! 【主土下座】

  • 正義を夢見た守護者
  • ただ一度の為の魔神剣
  • 獣を追い続けた聖剣使い
  • 不遜なる薔薇の皇帝
  • 監獄より這い出た復讐者

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