【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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今日はちょっと趣向を変えてお昼に投稿してみました。

今話では、やったことある人なら懐かしいと思うかもしれない、もうちょい書けやと思うかもしれないfate作品を混ぜたお話。

アンリマユ VS アザゼル

開闘。



7-8・裏 Dimension crown

 黒と紫が交差する。互いに短剣なれども、片や歪さを極めた漆黒の刃。片や凶悪さを微塵も隠さない凶刃。

 遠くの戦闘音を背景に、ただ二人だけのこの場所で剣撃の音が鳴り響き、互角の戦いを繰り広げているかのように見えた。

 

「ン~、だいぶ無理してるんじゃない?」

「あ、やっぱバレる?まぁオレ一人じゃ結構キツイって話ですわ」

 

 軽薄な態度で言葉を返すアンリマユ。その間も剣撃が止むことはなく、油断のならない攻防が続いていた。

 消えては現れる敵の群れ(・・)に、内心辟易しながら攻撃を避け続け、決定打にならないながらも反撃していく。

 

「最弱ってのも考えようだけど、舐めてたら痛い目見るぜ?」

「ンフフッ、別に舐めてなんかないさ。ただ──キミだけは、ここで潰さないとってネ?」

 

 雰囲気が変わる。先程までの楽天的なものから、殺意まじりの真剣な空気がひしひしと伝わる。

 

「そりゃキミの宝具は危険だよ。瀕死でも生きてるなら倍返しされちゃうんだからサ。でも────一発で死ぬなら関係ないよネ?」

「は?──うげっ、マジかよそういうことか!?大人げねぇ!!」

 

 敵──アザゼルの分身に気を取られ過ぎて、彼が何をしていたかを今確認したアンリマユは、顔をしかめて罵る。

 しかしアザゼルの行動は素早く、腕を広げると共にアザゼルを中心として、赤いカーテンのようなものが二人を覆っていく。

 完全に覆われきったそれは、外から見れば、まるでサーカステントのようどもあった。

 

「サァ、とっとと終わらせようか──────宝具解放、欺心闇疑、死神遊戯(デストリック・フェスティバル)

 

 そして、死神の遊び場が今、開かれる────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アンリマユが目を覚ますと、自分は高い屋根の上で寝転がっていた。空には()が出ており、静かな風が吹いていた。

 慌てて飛び上がり、辺りを見回す。見慣れた形の尖塔、懐かしいと言える町並み、空気、そして────小高い丘の上の教会(・・・・・・・・・)

 そう、彼が今見ている景色はまさしく、かつて喚ばれた地、『冬木市』であった。

 

「どう、なってんだ、こりゃ……夢?」

「────いつまで寝惚けているつもりですかこの駄犬(アヴェンジャー)

 

 背後から掛けられた、遠い思い出の声に振り向く。

 そこにいたのは────

 

「──────」

「なんです?私の身体に欲情しているのですか?駄犬がケダモノにでもなりましたか?」

 

 あの頃の、あの時の姿のままのドS修──「あいて!?」

 

「ふしだらな考えを感知しました」

「お前さん心読める能力あったか!?」

 

 痛みがある、まぎれもない現実。唖然としたいが、それはそれでまた向こうの機嫌を損ねる。

 カレン・オルテンシア。あの偽物の聖杯戦争で、監督役を勤め、何より最も苦手としていた相手でもある。

 

「……ま、いいか」

 

 そう小さく呟き、また横にな────ろうとしたところを、カレンの持つ礼装、『マグダラの聖骸布』によって絡め取られる。

 

「私の前で二度寝とは、いい度胸をしていますね」

「えー、あのー、カレンさん?カレンさーん?」

 

 抵抗すらできないまま、どこへともなく引きずられていくアンリマユ。

 それからしばらく、あちらこちらへと連れていかれ、遠い記憶が甦っていく。とは言え、時折しばかれてはいるが。

 

「アヴェンジャー」

「いっててて……はいはい?なんです────なんですかね」

 

 しばかれた所を擦りながらカレンの呼び掛けに振り向く。相変わらず軽薄な態度を取ろうとして、止める。

 いつになく真剣な顔をしている彼女に、そんな態度で返すのは、何か違う。とは言え、いつもと変わらないような口調で返事を返す。

 

いつまで寝ているのですか(・・・・・・・・・・・・)アヴェンジャー、起きて早く敵を倒してきなさい」

「は?待て待てそりゃどういう──────あ?」

 

 突如告げられたおかしな言葉。それを問い質す間もなく、意識がブラックアウトしていく。

 最後に見たのは、薄い微笑みを浮かべて自身を眺める彼女であった。

 

 

 

 

 

 意識が覚醒し、はっと起き上がって彼女を探す。

 しかし、そこに彼女の姿はなく、代わりに────

 

「どうかしましたか?アヴェンジャー」

 

 毅然とした表情の、かつて戯れに命を救ってやったマスタ──バゼット・マクレミッツが、そこに立っていた。

 

「バゼット──?」

「聖杯戦争中ですよ、アヴェンジャー。寝惚けている場合ではありません」

 

 めぐるめく変わる現状に、アンリマユは先程までのが夢だったのかと思う。それとも、今が夢なのかと錯覚に陥る。

 呆然としつつも、遠い記憶を必死に思い出し、今があの四日間を繰り返しているのだと理解する。

 

「さぁ、次はセイバーが相手なのですから、油断してある暇はありませんよ」

「お、おう……──なぁあんた、ホントにバゼットか?」

 

 そう問い掛けるアンリマユに、バゼットは怪訝な顔をして首を傾げる。

 

「何をわけのわからないことを言っているのですか?」

「いや、なんでもねーよ。ほんじゃま、とっとといきますかねっと」

 

 そしてまたあの四日間が繰り返される。バゼットと共に歩む、再演される四日間の聖杯戦争。アンリマユの記憶は徐々に、カルデアに喚ばれたことをほとんど忘れかけていた。

 

 そうして同じ軌跡を辿って天の逆月を拝み、バゼットの慟哭を嗤い、在るべき場所へと帰る。その物語をもって終わろうとしていたところで、バゼットから声をかけられる。

 

「アヴェンジャー、最後に一つだけいいですか」

「珍しいな、あんたからそんなこと言うなんて。いいぜ」

 

 懐かしい軌跡、自分にしては珍しい行動の数々、虚無に還る前のいい思い出で、アンリマユはバゼットの声に耳を傾ける。

 

「では────アヴェンジャー、またいつか星を観ましょう(・・・・・・・)

「────。あぁいいぜ、今度はあんたと観てみたいもんだ。きっと、楽しいぜ?」

「えぇ、楽しみにしています。アヴェンジャー」

 

 そう言って二人は去る。片や、光の差す道へ。片や、永遠に続く虚無の道────ではなく、星々が瞬く希望の地へと。

 闇呑の幕に亀裂が走っていく。懐かしい記憶は遠く、新しい思い出は、今なお走り続ける。

 ならば立ち向かおう。あの勇者(愚者)が走るのならば、この世全ての悪を以て立ちふさがる悪を討ち果たそう。なにせオレは──────

 

「さぁて!いっちょやりますか!最低最弱のサーヴァント、ぱぱっと駆けつけるとしますかねぇ!」

 

 





アンリマユと言えばホロウアタラクシア。
駆け足気味なのは否定しない。あの二人から激励されるアンリマユ、これが書きたかった(真顔)

言うてほら、カレンさん実装するとは思わないじゃん……?ダメットさんも、待ってます。

【修正版】サタンvs◯◯!!エンディングに見たいのは! 【主土下座】

  • 正義を夢見た守護者
  • ただ一度の為の魔神剣
  • 獣を追い続けた聖剣使い
  • 不遜なる薔薇の皇帝
  • 監獄より這い出た復讐者
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