魔獣創造がはっちゃけた   作:静かなるモアイ

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今まで、こんなコカビエルの倒し方が有っただろうか?


さよなら…コカビエル

NARUTO -ナルト-に出てくる上忍が纏う忍装束に身を包み、背中に『千手』と書かれた羽織りを羽織ったエンマが駒王学園の中央にやって来ていた。

 

既に駒王の町から人の気配をエンマは感じない。何故ならコカビエルとの戦いで巻き込まれないようにパルキアの力で強制転移してもらった為である。その強制転移された中には駒王の管理者であるリアス・グレモリーとその眷属、もう一組の魔王の妹眷属も含まれている。

最初は転移させる際、リアス達は駄々を捏ねていた。力を持つ者ならば町を守るのは当然だと、しかし…コカビエルの狙いはリアス達なので問答無用に転移させられてしまったのだ。

 

「やれやれ…自衛隊さんも心配性だな」

 

写輪眼を用いて辺りを見るエンマ。周囲には自衛隊の無人ドローンが偵察しており、エンマは勿論のことこれから襲来するコカビエルを撮影するのだろう。最悪は、エンマが勝てないと判断すれば空襲も行うのかも知れない。とは言え、コカビエル相手にそれは意味が無いだろう、なにせ…トップクラスに強いコカビエル相手に空襲は無意味であり、もしそれで倒せるならドイツでコカビエルは死んでいるのだから。

 

「来たか…」

 

前から創造していた魔剣スパーダを持ち、エンマは上空を見上げる。そこには100を越える堕天使を引き連れたコカビエルと愉快な仲間達が此方に向かってやって来ているのだ。

 

「ふはははは!!!さあ…行くぞ!!この日本よ!まさか、俺の相手が第6の魔法使いとはな!!ハハハ!「木遁 大槍樹の術」なっ!?」

 

カッコ良く、空から現れたコカビエル達であったが残念ながら多くの配下は地面から生えた細長い巨木の槍に貫かれて絶命した。なんとかコカビエルは自身の経験と直感で大槍樹を避けることが出来たが、これで80以上の部下を失った。

 

「貴様!!」

 

だが、コカビエルは知らない。この大槍樹には飛雷神のマーキングが仕掛けられており、エンマは飛雷神で消える。次の瞬間、大槍樹の直撃をまぬがれたコカビエルの配下は全員、真っ二つに斬られて血の雨が降り注いだのだ。

 

「バカな…奴は神器を使ってない…それなのに消えたように…そう…まるで消えたように……ふざけるな!」

 

大槍樹の側面にへばりつくように垂直で立つエンマ。その右手にはスパーダが握られているが、スパーダの刀身は血でべっとりと汚れている。

 

認めない…認められない…俺は堕天使だ、人間よりも超常の存在だ。コカビエルは自分に言い聞かせ、指先をエンマに向ける。そして、ビームを放った。ビームは光速でエンマに向かって直進するが、エンマは飛雷神で飛び…ビームの直撃を回避する。エンマに当たらず、まっすぐ大槍樹を貫いたビームだったが、突如としてコカビエルの両足の感覚が太股から下が無くなり…太股の上半分に激痛が走る。

 

「ぐぁぁぁあ!?俺の足が!!!」

 

コカビエルの感覚が無くなった所は切断されており、次に翼、左腕、右腕と次々と切断されていく。

エンマの姿を捉えようにもエンマは飛雷神で転移して、コカビエルを切り裂き、更に転移してはコカビエルを攻撃してるのでコカビエルは目で追うことが出来ない。

 

全ての翼をもがれ、コカビエルは地面に落下して転がる。彼が転がった先には大きな銅像が立っており、その銅像が誰をモチーフにしたのかはコカビエルは知っている。

 

その人物はゼクラム・バアル。始まりのバアルと呼ばれており、魔王以上の権力を持っていると言われている。そもそも、駒王学園は優秀な人間を悪魔に勧誘させる為にゼクラム達が作った物であり…駒王に他の高等学校が無いのはゼクラム達がお金の力で潰した為である。

 

「「「コカビエル様!!」」」

 

やがて、遅れてコカビエルの人間の配下達が大勢駆け付けるが…その配下達の前にエンマが降臨する。

 

「オーバーソウル…スピリット・オブ・レイン」

 

エンマがそう言うと、コカビエルの人間の配下達は全員…絶対零度の冷気に当てられて物言わぬ氷のオブジェに変えられてしまった。

コカビエルはそんな配下達を人間だという理由で見下していたが、思うところは有った。そんな部下が神器とも魔術とも違う力で凍らされ、死んでしまったのだ。

 

「なんなんだ…なんなんだ…お前は…一体…」

「コカビエル。お前は見えないか…それじゃあ、見えやすいように実体化させてやるよ」

 

見えない、見えやすいように実体化…訳が分からない。もう次元が違いすぎる相手と戦い、理不尽な力の差を見せられたコカビエルだったが…これだけは理解する。自分は宣戦布告する相手を間違えたと。

 

そして…エンマの背後に水の全てを司る巨大な五大精霊 スピリット・オブ・レインが姿を現した。コカビエルもバラキエル(過去に五大精霊に追い掛けられた人)から話を聞いており、スピリット・オブ・レインがどのような存在かは知っていた。

しかし、20年前のスピリット・オブ・レインは魔獣創造で産み出された存在だ。やがて消え去る定めに有ったが、今のスピリット・オブ・レインは魔獣ではない…水の精霊そのもの…普通に神器で産み出された存在では無くなっていたのだ。

 

「そんな…バカな!!神器で産み出された魔獣ではなく、精霊そのものだと!?どうなってる!?」

「さあね…お前に語る理由はない。お前は日本を敵に回してしまったからな」

 

魔剣スパーダを鎌に変化させ、死神のようにコカビエルに近付く。だが…有ることを思い付いてしまったのか、エンマは魔剣スパーダを手放してニヤリと笑みを浮かべた。

 

「お前はアンジェロの刑から、カーズ様の刑だな!」

 

エンマの背後に…人の形をした何かが出現した。これは魔獣創造で再現した代物だが、名をクレイジーダイヤモンドと言う。

クレイジーダイヤモンドはジョジョの奇妙な冒険の第四部に出てきたスタンドであり、殴った物を修復させる事が出来るのだ。しかし、無機物と人を合体させる事も可能であり…エンマは…

 

「お前はこの銅像と合体してもらう。拒否権はない!」

『ドラララ!!』

 

クレイジーダイヤモンドの拳が放たれ…コカビエルはゼクラム・バアルの銅像とどんどん融合していく。

 

「やっやめてくれ!!」

 

無機物と融合していく…銅像が自分自身の肉体と合わさっていく恐怖。それを味わいながら…コカビエルはクレイジーダイヤモンドの拳を受け続け、やがてはゼクラム・バアルの銅像と見事に融合し…コカビエルは生物と鉱物の中間の存在に変わってしまった。

 

「そして…これを飛雷神で彼処に飛ばすと」

 

昔、飛雷神を修得したばかりのエンマは宇宙空間にゴミを捨てるために、地球の重力圏内を外れた所にパルキアの力でマーキングを施した時がある。

そこに向けて、コカビエルを飛雷神で飛ばしたのだ。結果、コカビエルは二度と地球に帰る事はなく…二度と戦う事は出来ないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――戻してくれ!!戻してくれ!!俺が何をしたって言うんだ!!戻してくれ!!助けてくれ!!助けてくれ!!

 

コカビエルは心の中で嘆く。コカビエルの視線の先には青い星地球が見えており、コカビエルが戦場に変えたかった星だ。しかし、地球はどんどん離れていき、銅像と合体させられたコカビエルにはどうする事も出来ない。

 

コカビエルは二度と地球へは戻れなかった。

 

コカビエルに許された自由は考える事だけだ。しかし、それは現実逃避でしかない。やがて、コカビエルは考えることを辞めた。




次回!明らかに成る裏側という存在、神器、魔術、魔法、そして人外の存在。それでも人は現実として受け入れて生きるしか無いのだ。

エンマ「ふぁ!?日本と三大勢力の首脳会談!?」

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