神仏、神話の実在は瞬く間に世界に衝撃を与えた。神話が実在しており、その上で神々の降臨。それでも人々は何時も通り、今日を明日を生きるしか無いのだ。
そして…コカビエル事件から数日の日時が流れた。北欧やギリシャ等は世界的にもトップレベルの知名度を誇る神々の降臨で未だに混乱している。しかし、日本は至って普通だ。それは日本人というサブカルチャーに明るく感受性が高い民族性が関係指しているのかもしれない。なにせ、クトゥルフの神も可愛い女の子に変換してしまう程の民族だ仕方無いかも知れない。
それに…日本神話の主神であり女神である天照大御神が降臨したさいだが、天照大御神はこんな神託を残しているのだ。
『今は人の時代だ。他の国がどうあれ、今の日ノ本は人の手で統治せよ。我等は親、日ノ本の民は子。既に子は親離れしており自分の足で歩いていける。
我等が手を差し伸べるのは本当に必要な時だけ。我が子を信じる親心に人の子に託すのだ』
神託を託し、これまで通りに人の手で未来を切り開く事に成ったのだ。
日本はこうだが、アメリカ等は異なる。アメリカ等の国は大国だが、同時に大統領に就任する時に神に誓うのだ。その為か、ミカエル等の大天使達はアメリカのバックに付くことにしたのである。丁度、アメリカの現大統領は一神教の熱心な信者であり、快くミカエル達を迎え入れているのだ。
「確かに…我が国日本は第二次世界大戦後から、三大勢力の支援を行ってきた。悪魔や聖堂協会に土地や金銭を手渡し、代わりにその土地を護って貰ってきた。
だが、それももう終わりにしてもらう。勿論、留学で来ている悪魔等の子供達も居る。彼等は勉学に来てるので喜んで学んでいってほしい。だが…私は人間だろうと人外だろうと、私は人として扱う。故に悪魔や堕天使、天使だとしても人として接しよう。
今後は人としての法律も三大勢力の人に適応される事に成るだろう。故に、日本に滞在してる悪魔の方々は指定する期日迄に書類を提出してもらいたい」
1人の世間的には若い男が記者会見を行っていた。男の名前は神津 快。今年で37歳の若き日本の指導者 総理大臣であり、彼は歴代の総理と異なりペコペコと三大勢力に媚を売らず…対等に接する事を宣言したのだ。
「日本にも戦える人材は多い。三大勢力の方々、治安維持の方はもう大丈夫だ。我々は自分の足で歩いていける。事実、日本の今まで裏側だった自衛力は軽く日本全土を守れる程は有る。もし、疑うのならばその証拠も見せよう」
神津の言っている事は正しい。事実、三大勢力に頼らずとも日本は裏側の驚異から自分達を守ることは出来るのだ。
古来より日本を守護してきた五大宗家。神々に遣えその遣いとして活動してきた妖怪達や陰陽師。日本政府の指示を受ける神器保有者の人間達…これはジャネットや一誠達だ。そして、我等が問題児こと千手エンマと彼がグレート・スピリッツの手で受肉させた空想上の存在達である。
「総理!コカビエルの事件の後、堕天使は何か言ってましたか?」
1人の女性キャスターが神津に質問する。彼女は勇気が有るだろう。なにせ、堕天使も天使も悪魔も人間を超越した恐ろしい力を秘めているのだ。だから恐く、他の人は三大勢力に関する質問を出来なかったのだ。
「堕天使の長アザゼル氏はコカビエルの独断だと、書類で返事が来ました。ですが、我々は断固納得出来ません。
その上、天使と悪魔、堕天使の三大勢力は5日後首脳会談を開くそうです。その場に我々も参加します。その後、本当にコカビエルの独断だったのか、違うのかは分かるでしょう」
悪魔、天使、堕天使、そして日本の首脳会談。この会談が大きく歴史を動かすことに成ることを誰も知らない。
記者会見が終わり、神津総理は控え室に待機していた。そこには護衛と首脳会談の打ち合わせの為に、エンマの本体が側に控えている。
「三大勢力からの要求だが、首脳会談の場に赤龍帝である兵藤君を連れてこいとの事だ。特に堕天使が」
「ふーん…まあ、三大勢力らしいな」
一誠、三大勢力と日本の首脳会談に強制参加が確定。もし、本人がこの場に居たら「ふざけんじゃねぇ!バッキャローー!!」とツッコミながら叫んでいたに違いない。しかし、今…ツッコミ役の一誠は学校に通ってる時間帯なので残念ながらこの場に居ない。その為に、ツッコミ役不在で話しは進んでいくのだ。
そして5日後。
厳重な防御結界が張り巡らされた駒王学園。そこをぐるりと囲うように、無数の悪魔の軍勢が囲っていたのだ。その軍勢は少なく見積もっても大隊程の規模は有り、その様子を唖然としながら日本の報道陣は見詰めていた。この事から、未だ堕天使と天使は会場に到着してないのだろう。
「凄い数だな…」
「そうだよな…悪魔が本当に存在してたなんて改めて感じるよ」
産まれて初めて見る悪魔の軍勢。今まで映画等の世界でしか見ることの無かった異次元の存在。
「戦争とか…起きませんよね?ここに堕天使や天使の軍勢も来るんでしょ?」
「もし起きたら…ヤヴァイよな?一応、総理の護衛としてコカビエルを倒した凄い人が着いてるけど…」
報道陣は既に中に入っている神津総理と、その護衛であるエンマ。そして三大勢力の希望として強制参加させられた一誠の3人は駒王学園の廊下を歩いていた。
恐らくは西暦史上初。神話の存在である首脳達と日本の総理大臣が行う首脳会談、それを行う為に彼等は会談が行われる会議室に向かっているのだ。
「なんで…俺まで?」
「堕天使が赤龍帝のライバルである白龍皇を連れてくるんだと。赤龍帝と白龍皇は歴代で何度も殺しあいを繰り広げてな…」
一誠の疑問に答えるようにエンマがそう言った。一誠のように赤龍帝の籠手を宿した人物が赤龍帝と呼ばれるように、同じく神滅具にカテゴリーされる神器 白龍皇の光翼を宿した人物は白龍皇と呼ばれるのだ。
白龍皇と赤龍帝は歴代で何度も殺しあいをしており、その因縁は長谷川さんことドライグが肉体を持っていた時に遡る。長谷川さんと白い龍はライバルの関係で、殺しあいを初めて…理由を忘れても殺し合い、それは神器に封じられて今に至っても続いているのだ。
「完全に長谷川さんの責任じゃないか!!そんなもん常識に考えても時効だろうが!!このマダオ!!」
『うぉぉぉぉーん!マダオじゃないもん!まるでダメな大人じゃないもん!倍加とか色々出来る凄いドラゴンだもーーん!』
「でも、エンマさんと戦えば肉体有りでも負けるんだろ?マダオじゃないか」
『俺とこんなイレギュラーと一緒にするな!!』
廊下に長谷川さんの声が響いた。そうこうしてると、彼等は会談が行われる会議室の前に到着した。先ず、エンマが三回扉を叩き、扉を開けて中の安全を確認する。それから神津総理が入って後からエンマと一誠が入った。
「やあ…待ってたよ。此度の活躍は聞いてるよ。第6の魔法使い 千手エンマ君」
「エンマ君と神津くんだね?私はセラフォルー・レヴィアタン!宜しくね!☆!」
「未だ堕天使と天使は来てないが、座ってくれ」
中には既に悪魔の首脳と付き添いの人物が揃っていた。
紅い髪の優男は魔王サーゼクス・グレモリー。最強の悪魔と言われており、その力は神さえも滅ぼす事が出来るそうだ。
ツインテールでそこそこ大きな胸の少女はセラフォルー・レヴィアタン。女性最強の悪魔であり、外見年齢は一誠達と変わらない。最近、日本の魔法少女と日朝のプリキュアにはまっている。
緑色の髪を持つ青年はアジュカ・ベルゼブブ。サーゼクスに並ぶ実力を持った魔王であり、同じく神を滅ぼせる実力を持つ。そして、悪魔の駒を製作した悪魔でもあるのだ。
その3人は円卓のテーブルの椅子に座っており、椅子は残り3つ存在する。後は日本の総理大臣、堕天使、天使の席だ。
「ああ。そうさせて貰うよ。それじゃあ、先に日本と悪魔で話すとしますか。其方も堕天使や天使に聞かれたら不味い事も有るでしょうし」
神津はそう言うと空席に座り、一先ず悪魔と日本だけで話が始まることに成った。
「先ず。単刀直入に言わせてもらう。日本で悪魔の駒を使用する場合は制限を着けさせてもらいたい。
今までの歴代総理は見て見ぬふりをしてきたが、私はしない。あれでは今後も強制的に転生される人が続出し、はぐれ悪魔問題が加速する。我々は悪魔に治安維持を任せていた筈だが、その悪魔がはぐれ悪魔という驚異を持ち込めば意味がない」
悪魔の駒。確かにてっとり早く悪魔の人口を増やせる便利な代物だ。しかし、難点も存在する。それは全ての悪魔が人口増加目的ではなく、奴隷を増やす為に使っているのだ。
更に奴隷として酷使された転生悪魔は逃げ出し、はぐれ悪魔の烙印を押される。そして、賞金首として処理されるのだ。いや、人として死ねるなら未だマシだろう。何故なら、はぐれ悪魔の大半はどういう訳か醜い怪物に変質してしまうためだ。
「開発者として言わせてもらう。俺は全然構わん。それに…本来、悪魔の駒とは俺が妻と添い遂げる為に開発した代物だからだ」
まさか…開発者であるアジュカが日本の要求を呑んだ為か、サーゼクスとセラフォルーは驚く。
「だが、言わせてほしい。俺やサーゼクス、セラフォルーがそれを認めても変わるのは難しい。
俺達は言わば強いだけで選ばれた傀儡政権としての魔王だ。権力ならば完全にゼクラム・バアル率いる元老院の方が上だし、元老院の9割と魔王1人が承認すれば俺達は魔王の座を奪われる事も有る」
「つまり…貴殿方の権力が剥奪され、其方の元老院の意向でそのままにされると?」
「そう言う事だ」
アジュカはそう言うと大きく溜め息を吐き出した。そう、今の魔王は強いだけで選ばれた傀儡政権のような状態であり、権力は遥かに元老院の方が高いのだ。その為に、アジュカ達が悪魔を変えようとしても変えることは出来ないのである。
「私やアジュカは戦争を未然に防ぐ為に、なんとか手を打ってきた。しかし、半数以上の貴族悪魔が転生悪魔を奴隷のように扱ってるのは事実。
なにせ、元老院は他の神話を見下しているからね。他の神話を代表する神仏が表に出てきても何も変わらないさ」
今度は嘆くようにサーゼクスもそう言った。
「この際だ。言い訳にしか聞こえないが、確かに私は悪魔の駒を開発した。だが、今の悪魔の駒……はぐれ悪魔になれば醜い怪物に変質してしまう悪魔の駒を開発したのは元老院と軍事責任者である魔王ファルビウム・アスモデウスだ。
あの変質してしまう機能は言わば、元老院とファルビウムが裏切り防止で着けた物だ。本来の機能じゃない。本来の機能は…能力も上がらず、悪魔に変えるだけだ。チェスの駒だがね」
アジュカはそう言うと立ち上がり、神津とエンマそして一誠の近くに移動する。そして…正座し、両手を前にて地面に着け…頭を下げた。
「ふぁ!?」
所謂土下座である。
「この会談が終わり次第。俺とサーゼクスは最善を尽くします。ですが、結果は恐らくは変わらない。このままでは悪魔は元老院とファルビウムのバカのせいで他国と戦争が起こり、必ず根絶やしにされる。
無垢な民と俺達をしたう人々に罪はない。お願いだ…俺はどうなっても構わん!!ただ戦争が起きた時は…俺達の支持者と無垢な民衆、そしてサーゼクスとセラフォルーの家族を避難させてやってくれ。その場合、今の悪魔の国を滅ぼして構いません!!」
「ちょっとアジュカちゃん!?悪魔の国がどうなっても構わないの!?」
セラフォルーが叫ぶ。無理もない、彼女は外交担当だ。だから、未だ戦争は起きないと思ったのだろう。しかし
「だまれ!もう…時間は残されてないんだぞ!!俺達が未熟だったが故に、この有り様だ!!
このままでは必ず元老院とファルビウムのお陰で悪魔は戦争で敗北する。そうなれば罪の無い大勢の民が死ぬ…彼等にはなんにも罪は無い!そんな彼等を見捨てる事は俺には出来ない。
それに…国は人と指導者がいれば必ず復活する。国は土地ではない、人が居る所が国に成るんだ。その新しい悪魔の国はサーゼクスとセラフォルーで治めろ。妻と添い遂げたいが為に、悪魔の駒を作った俺は多くの人の幸せを奪った。そんな俺に王になる資格はない」
ゴホンと…咳払いを行う神津。
「分かりました。もしもの時は悪魔の民、そして貴殿方と家族、支持者を日本で保護しましょう。ですが、貴殿方にはエンマの木遁分身から作った発信器を呑んでもらいます。何時、救援に向かえば良いのか分かりませんからね。
勿論、アジュカさん。貴方にも生きていただく。生きて、不幸にした人の数だけ人を救ってください」
総理の言葉を聞いて、顔を上げるアジュカ。
「神仏の実在が証明された以上、人間も異種族も関係ない。皆、人なんだ。人は世界が変わっても生きるしかない…私も貴方達も今を…明日を生きるしかないんだ」
「まあ、有事の際は元老院とファルビウムは殺すけどな」
神津の言葉に続いてそう言ったエンマ。しかし、切り替えが早いのか…総理も。
「所でエンマ。堕天使と天使への損害賠償の準備は?」
「OKですぜ、総理。取り合えず堕天使からはたんまりと。天使はがっぽりと…序でにシュールストレミングの料金も」
「ニシンの塩漬けの料金はやめてあげて!!!」
天界と聖堂教会。コカビエル事件の際の、日本への嘗めた対応(ゼノヴィアとイリナ、アーシアへの賠償金等)+ニシンの塩漬けの料金を請求される。
次回!総理と問題児、堕天使と天使に追求しまくり、一誠のツッコミが響き渡る。