魔獣創造がはっちゃけた   作:静かなるモアイ

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さあ…がっぽりと絞ろう!!


お金は大事です

堕天使総督アザゼルは今代の白龍皇…銀髪で一誠と同年代の少年を連れて登場し、大天使ミカエルは付人として配下の天使を連れてやって来た。

 

「おっ!俺達が最後か。悪魔と日本は早いな」

「えぇ、本当に」

 

悪魔と日本に遅れること30分。やって来た天使の長と堕天使の総督は空いている空席に座った。

 

「おや…私はてっきり、神様が来ると思ったのですが。ミカエルさんが代行ですか」

 

座るミカエルを見て神津がそう言う。と言うのも天界は表向きには神様は生きている事にしており、死んでいる事を知っている裏側の人間は限られる。勿論、神津も神様が死んでいる事を知っては居るが、あえてそう言ったのだ。

 

「えっええ…色々と有りまして」

 

しかし、神様が死んでいる事が広まれば聖書全体の地位は著しく下がってしまう。悪魔の国?滅べよ、あとで作り直すからと考えるアジュカとサーゼクスは別に良いかも知れないが、聖書の地位を下げたくないミカエルとアザゼルはその事を広めてほしくないのだ。

 

「始めようか…時間が惜しい」

 

サーゼクスがそう言い、会談が始まる。とは言え、悪魔と日本は話し合う事は話し合ったので、此処からはぶっちゃけ日本にコカビエルという核兵器並みの驚異を持ち込んでくれた堕天使と天使への尋問とも言えるだろう。

 

「さて、アザゼル総督。貴方はコカビエルの独断という事を説明しましたが、それは事実ですか?」

「当たり前だろ?」

「では…どうして日本は勿論、悪魔にも伝えてなかったのですか?もし、あの時…エンマが居なければコカビエルの襲撃を受けて駒王は壊滅。最悪、日本は大打撃を受けてました。貴方にとって、日本はその程度…という事ですね」

 

そう…アザゼルは悪魔は勿論、日本や天使にも一切報告を入れなかったのだ。お陰で日本と悪魔がコカビエル襲来を知ったのは、コカビエルがニュース番組を乗っ取り、暴露宣言を行ったあの瞬間である。もし、あの暴露宣言が無ければ…コカビエルの手で魔王の妹は拉致され、逃げる暇もなく駒王の町は壊滅。エンマが駆け付けた時には手遅れという事もあったのだ。

 

「いや…そう言う訳では」

「ウツセミ機関の時もそうでしたね。豪華客船の沈没、貴方達は一切報告なし。もし、あの場にエンマがたまたま乗り合わせて居なかったら数えきれない程の犠牲者が出ましたよ」

 

ウツセミ機関。数年前、日本等で暴れまわった裏側のテロ組織である。色々とやってくれたが、その首謀者達はエンマの手で死ぬよりも悲惨な目に合っている。

 

「うっ!?いや…それは…」

「あと…今回の件と、貴殿方が暗殺した及び拉致した犠牲者の賠償金込みで……この金額で示談としましょう。エンマ」

「アイサー」

 

エンマはアザゼルの前に移動し、1枚の紙を置いた。

 

暗殺及び拉致被害…5億。ウツセミ事件の賠償金…8億。コカビエル事件の賠償金…20億。

 

「合計33億!?払えるか!!」

「あっ?もし払えなかったら、シュールストレミング×300箱、阿部さん×50人、野獣先輩×30人、無知性巨人500体送り込むけど?それでも払わないのなら俺、青子、トビオで集金に行くから宜しく!」

 

我らが問題児エンマ、第5の魔法使い蒼崎青子、日本の懐刀で神滅具 黒刃の狗神の所有者 幾瀬鳶雄(トビオ)。

 

「お前ら…ヤクザか!?」

「これでも優しいぞ?真数千手ださないだけ。真数千手だしても良いけどな!あと、シュールストレミングの料金は代引きで!其方持ちな!」

「もはやオーバーキルだょぉおおおお!!てか、ニシンの料金ぐらい自分で払えぇぇえええええ!!」

 

やりたい放題なエンマに対し、一誠のツッコミが炸裂する。

 

「えっ?ダメか」

「ダメとか有り以前に、そう言うのは自分で払うもんでしょうが!!てか、それ以前に何で俺がこの場に居るの!?俺、唯の高校生よ!!堕天使総督さん!なんで俺を呼んだ!?呼ばなくても良かっただろ!!」

「なにって?俺にツッコミをいれる為だ」

「アンタ、ちょっと黙ってろ!!」

 

上官であり、世界すら滅ぼせる力を持つエンマに対し、バリバリにツッコミをいれる一誠。そんな彼を見て、アザゼルとミカエルは「マジか」と言いたげに一誠を見ていた。

 

「そりゃ…お前が世界を壊さないか…どうかだ」

 

世界を壊さないかどうか。アザゼルの言葉は勿論だ。神滅具を宿した人物の力は絶大であり、エンマを知る一誠からすればその通りかもと心の中で思う。

しかし、それはエンマというイレギュラーの話であり、一誠は宿してしまった元一般人。そんな事を言われても納得しないが、彼の代わりに神津が告げる。

 

「世界を壊さないか?導く事を選ばす、エンマという前例の為に殺すことを選びましたか」

「そうだ。まあ、未遂に終わったけどな。そこの魔獣創造を宿したヤツのお陰でな。まあ、これは別に良いだろ…」

「エンマ」

「OK、取り合えず堕天使には明らかに殺意をもって暗殺してるという、言質が取れたので…賠償金+1000万で!あっ、$の方な。コカビエルを放置し、色々と放置してね……まあ、断ったら俺がゴジラを派遣するけど」

 

ゴジラを派遣する。そう告げたエンマだったが…アザゼルの行動は…土下座だった。

 

「ゴジラは辞めてくれ!!」

「じゃあ、ウルトラマン」

「賠償金払います!!」

 

アザゼル…1000万$+33億を日本に支払う事に成るのだった。

 

「うわわ…容赦ねぇぇよ、この人」

 

そして…次は天使なのだが…

 

「可能な限り要求は呑みますので!!シュールストレミングは辞めて下さい!!臭いが取れるまで、1週間かかったんです!!」

 

頭を抱えて、ミカエルは嘆いた。

 

「エンマさん…ミカエルって人、本気でトラウマに成ってますよ」

「じゃあ、次は臭いじゃなくて辛いにするか。ハバネロよりも辛い唐辛子をミックスして…粉末状にしてばら蒔くか」

「アンタ、いい加減にしろよ!!ミカエルさんは充分にトラウマに成ってるだろ!!もう充分じゃないか!!」

 

そんなミカエルへの要求だが…

 

「草薙の剣の即時返却。天之尾羽張を神器に改造した際の賠償金、これは日本神話へですが。後は死ぬと分かってて戦地に送り込んだイリナとゼノヴィア、悪魔への生け贄にしたアーシアへの賠償金ですね…これは個人に払ってもらいます…3人とも既に日本国民ですので。後は…聖剣計画で被害を受けた子供達への賠償です、此方はジャネット以外は一度亡くなってる訳ですから、賠償金も大きいですよ」

「もし…断ったら、再びシュールストレミングの刑になりまーーーーす!!」

 

――キェェエエエエエエエエエエエ!!

 

余程、シュールストレミングがトラウマに成ったのだろう。ミカエルは発狂するように声を上げて、その場に倒れてしまった。

 

「倒れた!?倒れちゃいましたよ!!エンマさん!!総理!!どうするんですか!!」

「む…まあ、沈黙は肯定って事で」

「アンタ、マジで血も涙もないな!!」

 

すると…恐る恐るミカエルの付人が手を上げてしまった。

 

「あの……草薙の剣は折れてしまって…まだ直せてないんです」

「借り物折っちゃったよ!!折っちゃったよ!!マジでどうするんですか!!天使のお姉さん!!この人、本当に血も涙も無いから、ヤヴァイ事に成っちゃうよ!!」

 

なんということでしょう。天界は日本の三種の神器を壊してしまったのです。

 

「とっとと、直せ。出来なかったら阿部さん送り込んでホモの楽園にすんぞ」

「堕天はしないかもしれないけど…天国が色んな意味で地獄に変わっちゃうから、辞めてあげて!!」

 

こうして、初の首脳会談は終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

5日後。

 

政党本部で神津総理は書類作業を行っていた。

 

「へー…人と悪魔が平等ね。やってくれるじゃないか」

 

その声が聞こえ、総理は前を見る。そこにはハゲ…スキンヘッドでちょび髭を生やした悪魔が立っていた。神津はその人物を知っている。悪魔の王の一人、ファルビウム・アスモデウスだ。

 

「来るならば事前にアポイントを取ってもらおうか?」

 

神津はそう言うと大きな溜め息を吐き出し、ペンを置いた。しかし…突如として神津の胸から鮮血が飛び散り、口から血が吹き出す。

 

「ふぁが!?うっぐ…」

 

薄れようと意識が無くなりそうになるが、激痛で意識は逆にはっきりしてくる。胸に強い痛み…特に心臓に感じて前を見ると…ファルビウムが神津の心臓に抜き手を放ち、心臓を鷲掴みにしていたのだ。

 

「悪魔の駒の制限だって?ハハハ…ハハハ!!言わしてもらうよ。頭にウジでも湧いてるのかな?」

 

普通は死ぬ筈だが、死ねない。どうやらファルビウムは治療の魔術もかけており、簡単には死なせてくれないようだ。

 

「どういう…事だ?」

「なにって?ああ、君は知らないか。もうあの3人は魔王じゃないよ?元老院全員と僕の意見で満場一致、魔王をクビになったのさ」

 

なんという事でしょう。アジュカ、サーゼクス、セラフォルーは魔王をクビにされたのだ。

 

「君達人間は…弱小国の神話と国は黙って悪魔に従えば良いんだよ。身の程を知れってもんさ」

 

ファルビウムはそう告げると、神津の心臓を握り潰して神津を殺し、その場から転移で消えた。

 

しかし…神津の遺体はぽふん!と煙と共に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エンマ…作戦開始だ」

「アイサー!総理、手加減は?」

「いらん!ゴジラでもウルトラマンでも派遣しろ!」

 

ノリノリなエンマと、日本を……そして日本で受け入れる悪魔の民を守るために、情けを捨てる本物の神津。

 

「「「あっ元老院とファルビウム終わった」」」

 

そんな2人を見て、元魔王の3人はそう言った。

 

 

 

その半日後。国としての悪魔は終わり、ファルビウムは死にたくても死ねない事に成る。




次回!元老院とファルビウム終了のお知らせ!

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