「ママ…」
「大丈夫よ…リレンクス」
これで…本当に良かったのか。多くの民衆やサーゼクスやアジュカを支援する貴族達と共に日本に亡命した貴族悪魔の青年が自問自答していた。
青年の名前はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主であり、元老院のトップであるゼクラム・バアルの末裔に当たるのだ。彼はリアスやサーゼクスの従兄弟であるが、人間と変わらない程の魔力しか持てなかった男だ。しかし、彼は己の肉体を鍛えまくり…NARUTO -ナルト-で例えれば体術で上忍に成ったガイ先生のような人物である。
彼は自分とその眷属、そしてバアル家から追放された母親と共に一族を裏切って日本に亡命したのだ。だが、サーゼクス達に着いていく事にした貴族はほんの僅か。
力なき民衆の大半はサーゼクス達と共に、明日を見る為に日本に亡命した。だが、貴族の有名処と言えばサイラオーグの友人でありアガレス家の嫡子 シーグヴァイラ、ベリアル家、フェニックス家、そして元魔王の家族など僅かな所しか無かったのだ。
「後悔したとしても、それはお前が選んだ結末だ。ならば受け入れるしか無いだろう」
その声が聞こえ、サイラオーグは声の方を見る。そこには2人の悪魔が居た。1人は黒い髪の男性であり、もう1人は褐色肌の女性だ。
男はクルゼレイ・アスモデウス。初代アスモデウスの孫であり、言わば悪魔の皇族と言える存在だ。女性はカテレア・レヴィアタン。初代レヴィアタンの孫であり、此方も皇族と言えるだろう。しかし、2人は過去…初代魔王が死んだ事を良いことにゼクラム率いる元老院達が引き起こしたクーデター(成功したので革命)で悪魔領土を追われ、追放されたのだ。
だが、彼等もサーゼクス達の誘いに乗ったのだ。元々、彼等はゼクラムやファルビウムの行いを良く思っておらず、テロ組織に入ってまで悪魔政権を打倒するつもりだったのだ。しかし、勝てる算段は勿論、なく…玉砕するつもりだったが悪魔の今後の為にもサーゼクス達に協力する事にしたのである。
「カテレアさん、クルゼレイさん。皇族で協力してくれるのは貴方達だけか?」
「そうだ…残念ながらな」
悪魔の皇族としてはベルゼブブとルシファーの家も有る。だが、彼等はクルゼレイやカテレアと違い手を差し伸べなかった。
「ベルゼブブとルシファーは道を違えたわ。ベルゼブブは元老院とファルビウムと共に歩む道を選び、ルシファーは消息を掴めなかったわ」
カテレアが申し訳なさそうにそう言う。初代ベルゼブブの末裔は元老院やファルビウムに協力する事にしたのである。恐らくは今頃、新たな魔王に成っているのだろう。
「皆!!聞いてくれ!!」
そんな声が聞こえ、その場に居た全員が声の方を見る。そこには大慌てでやって来たのか、肩で呼吸するサーゼクスの姿が有ったのだ。
「勝ったんだ…勝ったんだ!!私達は勝ったんだ!!元老院とファルビウムに勝ったんだ!!人と…手を取り合っていける未来を歩んで良いんだ!!」
サーゼクスの言葉を聞いて、その場に居た悪魔が歓喜に湧いた。そう…さっきまで冥界の悪魔領土では元老院+ファルビウム率いる悪魔政府VSエンマの戦争が行われており、その戦いにエンマは勝ったのだ。
「まあ、向こう100年は放射能の影響で日本暮らしが確定だけどな」
すると、サーゼクスの隣に飛雷神でエンマが現れた。
では…その半日の戦争をご覧頂こう。見事にエンマははっちゃけてくれました(笑)
悪魔領土は地獄と成っていた。先ず、パルキアの力で転移による逃走は不可能。転移もパルキアの力かエンマの飛雷神でしか出来ず、悪魔領土に陣取っていた悪魔達は逃げる事が出来なくなった。その上、ファルビウムと元老院派で現代を縄張りとしていた悪魔の皆様も、パルキアの力で悪魔領土に強制召喚。逃げる事は許さず、此処で皆殺しにするつもりである。
「ふざけるな!!」
とある悪魔が嘆く。徴兵として召集する筈だった民衆はパルキアの力で逃がされ、男の手元には戦える駒は僅か。その上…敵は未だ遠方に居るが、此処からでも充分大きく…まるで山のように見える。
「グゥゥゥゴォォオオオオ!!」
その敵の名前はゴジラ。外見と内面をハリウッドゴジラを参考にし、戦闘能力を最強クラスと言えるアニメゴジラに設定したエンマの切札であり…グレート・スピリッツの力で受肉させた最強の怪獣王である。
因みに内面をハリウッド仕様にした訳は…人間と共存を一応は可能にする為である。
悪魔達も山を一撃で吹き飛ばす程の攻撃をゴジラに与えるが、一切ダメージを与えることが出来ない。いや、ダメージは与えているが微々たる物であり回復が遥かにダメージを上回っているのだ。
「こんなの…どうしろって……」
それが悪魔の最後の言葉と成った。ゴジラの背鰭が激しく発光し…ゴジラが大きな口を開ける。ゴジラの口から放たれた光線は亜光速の爆光となって…前方の悪魔達を一撃で此の世から消し飛ばした。だが、被害はこれだけで終らない。ゴジラのブレスの威力はヒマラヤ山脈を貫通する程は有り、更に被害を出し続け悪魔の1から6までの防衛ラインをあっという間に消し飛ばしたのだ。
だが、悪魔の悲劇は未だ終らない。もう一度言う、未だ終らない。
「ふざけるな!!俺はやっと…やっと魔王ベルゼブブに返り咲いたんだぞ!!!」
鬼太郎のような髪型をした悪魔、シャルバ・ベルゼブブは世界を憎んだ。彼はアジュカ達が魔王をクビになり、自分の先祖と同じく魔王ベルゼブブに成った事で受かれていた。彼は魔王として、悪魔の駒の生成に関わるアガレス領土に居たのだが……ある1人の戦士の手で終わりを迎えようとしていた。
「貴様等…ゆ゛る゛さ゛ん!!」
その人物は至って普通の人間の青年だった。外見では。
だが、彼は普通の青年ではない。彼の名前は南光太郎。エンマが最も大好きな特撮ヒーローであり、彼をグレート・スピリッツで受肉させる為に…エンマはレミリアちゃまを始めとした人外だが見た目は人間に近い女の子を3人グレート・スピリッツで作る事に成ったのだ。
「変身!!」
光太郎の腰に変身ベルトが出現し、光太郎は独特なポーズを決めると…バッタをモチーフとして紅い複眼を持つヒーローに変身した。
「俺は太陽の子!!仮面ライダーブラックRX!!」
今の彼は仮面ライダーブラックRX…全世代の仮面ライダーを含めて、最強の1人に数えられるバグキャラであり、どんな敵が現れても大真面目になんとかしてしまうスーパーヒーローである。
「多重影分身の術」
そして…RXが多重影分身を使い、100人に分身する。
デデーン!!てつをがいっぱい!!唯でさえ強い仮面ライダーブラックRXが100人に変身し、彼を知るクライシスやゴルゴムからすれば悪夢でしかない。
「「「いくぞ!!」」」
そこからは…圧倒的だった。1人のRXが物理攻撃無効で一方的に敵を倒せるバイオライダーに成り、とあるRXが機械のような姿で圧倒的防御力が特徴のロボライダーになり敵を銃で消し飛ばしていく。
「リボルクラッシュ!!」
「ぐぅぅわわわわ!!」
そしてシャルバも…RXの持つ杖 リボルケインに貫かれてエネルギーを注入させられ…大爆発を起こして此の世から消し飛んでしまった。
「状況はどうなっている!!」
「最終防衛ラインを突破されました!!」
「そんなバカな!!」
王の駒と呼ばれる特別な駒の恩恵を受けたアバドン家の男が拠点で嘆いた。無理もない、僅か数時間ちょっとで全ての防衛ラインを突破されたのだ。
この防衛ラインは天使や堕天使の軍勢でも突破出来ない代物であり、仮に突破されたとしても数ヶ月はかかる。
だが、現実は非情である。
「アバドン様!!」
1人の悪魔が窓の外を指差す。その悪魔に続いて悪魔も窓から外を覗き…空を見るとそこには胸にカラータイマーが有る赤と白の光の巨人が数人空を飛んでいたのだ。
「「「「ジュワ!!」」」」
光の巨人…ウルトラマンとその義兄弟の手から光線が放たれ…拠点だったリリス城は蒸発した。しかし…ウルトラマンは活動時間が存在しており、ウルトラセブンを除いて帰っていった。
大王バアル城。そこは元老院の老人達とゼクラム・バアル及びサイラオーグを除いたバアル家の悪魔が潜んでいたが、彼等は気が狂いそうに成っていた。
当然だ。エンマ率いる良く分からない連中(日本人はだいたい分かる)の手で僅か数時間で悪魔政権は滅亡寸前に成っているのだから。
「なんで転移が出来ない!!」
「出してくれ!!この地獄から出してくれ!!」
転移を用いた脱出も出来ない。逃げ場はない。歩いて堕天使領土に逃げ込もうとすればパルキアの転移で悪魔領土に戻される。もう、どうしようも無いのだ。
「身の程を弁えぬ、奴隷となる人間の分際で!!」
それがゼクラムの最後の言葉だった。遠くが光り、亜光速で大出力のゴジラブレスが此方に向かって飛んできて…バアル城は跡形もなく消し飛び…ゼクラム率いる元老院とバアル家の悪魔は骨の一変も残らず消滅した。
「ふざけるな…ふざけるな!!」
戦況が不利だと理解した魔王ファルビウムは戦場から逃げ出そうとしていた。だが、この男が逃がさない…有言実行でファルビウムの集団に襲い掛かり、僅か数秒でファルビウムの眷属を全部抹殺。その男はファルビウムを見下すように空に浮いていた。
「悪いな…日本を守る影として、お前を倒す」
宙に浮かぶエンマ。しかし、彼の背部には大きなスラスターとスピリット・オブ・レインの両腕を模したパワーアームが装備されており、背部ユニットと連結されなキャノン砲が両肩に装備されていた。胸にはスピリット・オブ・レインの顔を模した胸当てが装備されており……魔力の流れを良く見ると見えないバリアーも生身の部分を保護していた。
「なんだ…それは?」
ファルビウムの疑問に答えよう。今、エンマはスピリット・オブ・レインの巨大なオーバーソウルを圧縮し、密度を限界まで上げた霊力の装甲を纏っていた。今の彼のようにオーバーソウルを圧縮して身に纏うオーバーソウルを甲縛式オーバーソウルと言い、エンマはスピリット・オブ・レインでそれを行っていた。
「甲縛式オーバーソウル、ワダツミさ」
甲縛式オーバーソウル ワダツミ。エンマが漫画シャーマンキングのラスボス ハオが原作で行っていた同じく五大精霊であるスピリット・オブ・ファイアでの甲縛式オーバーソウル 黒雛を参考に作り上げた。言うならばスピリット・オブ・レイン版の黒雛と言えるだろう。事実、大変良く黒雛に似ている。
「違う…そうじゃない…あの黒い破壊の限りを尽くす怪物(ゴジラ)、バッタ怪人(RX)、そしてその精霊(スピリット・オブ・レイン)は魔獣じゃない…私には分かる。
姿や能力を同じにした魔獣ではなく、存在その物じゃないか!そんなの…あり得ない!!不可能だ!!受肉した生命を産み出すなんて、第三魔法や神でしか出来ない!」
「おう!俺がグレート・スピリッツで完全再現させた。魔獣ではなく、本人としてな!」
エンマはそう告げると、両目が写輪眼に変化する。
次の瞬間…ファルビウムの四肢が凍り付き、砕け散った。
「ぎゃーーー!!」
「トドメだ」
エンマは右のパワーアームの鋭利な指先でファルビウムを切り裂こうとする。しかし、ファルビウムの直ぐ側に丁度良い大きさの岩が有ったのだ。
「いや…お前はアンジェロの刑だな!!お前の嫌いな、人間の町で永遠に生き続けろ!!お前が望んでも誰もお前を殺さない!!お前の政策で、奴隷にされた人々に懺悔しながら永遠にな!!クレイジーダイヤモンド!!」
『ドラドラララ!!』
「ひっ…ひぎゃぁぁぁぁあ!!」
その日…ファルビウムは無機物と完全に融合してしまい、後に駒王の名物と成るのだった。
次回!駒王の新名物ファルビウム岩!?待ち合わせスポットや恋人の聖地になる!?と、裏側が明らかに成ってからの駒王学園の話し。