ある日のこと、外務省の自室で珍しく我らが問題児エンマがデスクワークを行っていた。いや、厳密にはデスクワークではない。エンマ宛に届いた書類や手紙の整理を行っていた。
「やれやれ…この手の手紙、多すぎだろ」
大きな溜め息を吐き出して、手紙を整理するエンマ。彼が嘆くのも無理は無い。裏側の事実が公にされてから世界は大きく変わった。日本の政治体制は変わってないが、エンマ宛には様々な手紙が届く。
内容は大きく分けて二種類。1つは他国からの引抜き要請の手紙だ。エンマは言わば人類最強…第6魔法と一般的に言われているグレート・スピリッツ(全知全能、なんでも出来ちゃう)のオーバーソウルでサブカルチャーの存在を本人として受肉させたり、死者を甦らせる事が出来るのだ。それだけではない、魔獣創造がもたらす圧倒的な力。それを求めて、大国はエンマを欲しがるのだ。だが、エンマはその全てを断っている。中には軍事的圧力をかける国も有るが、そう言う国は「そっちがそう来るなら、俺が出るけど?」と脅せば大人しく引き下がる。
「引抜きは脅せば問題はないが…問題は此方だな。いい加減にしろよ…確かに俺はチビの頃から憧れたRXを受肉させたい思いで、その試作として3人の少女を受肉させたが…俺は彼女達を物扱いするつもりは無いんだよ!」
ふんぬ!と叫び、何枚もの手紙を破く。その破れた手紙の中には様々なサブカルチャーの女の子の名前が書かれていたが、何れも共通して同じ言葉が書かれていた。
『二次嫁を創造して、俺に下さい』
と共通している。二次嫁…皆さんも居るかもしれない。所謂漫画やアニメに出てくる女の子を自分の心の嫁にしてる事だ。だが、普通に魔獣創造で作れば時間経過で消える上に、エンマの命令に忠実に動く。それでは少女の姿形、能力を同じとする魔獣でしかないのだ。だから、本人その物として受肉させる為にはグレート・スピリッツを禁手で呼び出し、グレート・スピリッツの全知全能の力で創造するしかない。
エンマは南光太郎こと仮面ライダーブラックRXを受肉させる前段階として、3人の少女をグレート・スピリッツの力で受肉させた。先ず、第一段階として人でありながら人外…東方projectのレミリア・スカーレットを選び、グレート・スピリッツで受肉させた。
これで、人でも人外ならば受肉させる事が分かり、次に魂が人間の存在が受肉出来るのかを選ぶ事にした。エンマが第二段階として選んだのはソードアートオンラインのユウキだ。HIVで若くして亡くなる彼女だが、エンマはユウキの肉体としてゲームの中の姿…アルヴヘイム・オンラインでのアカウント、インプとしての彼女を受肉。結果は成功で魂が人間でも問題なく受肉出来た。
最終段階でエンマは元人間を選ぶ事にした。御存知、最強てつをこと仮面ライダーブラックはゴルゴムに身体を改造されており、最終段階として元人間を選ぶ。彼が選んだのは艦隊これくしょんだ。艦これの様々な作品の中には、艦娘が元人間の物も有り…エンマはそれをベースに瑞鶴を選んだ。結果は成功であり、瑞鶴も無事に受肉。
そして…レミリアちゃま、ユウキ、瑞鶴から得られたデータを元に南光太郎はこの世界に舞い降りたのである。
勿論、この4人を含め…エンマがグレート・スピリッツの力で受肉させた存在は本人その物。自我があり、心も有り、当然ながら感情は有る。
無論、戸籍も用意しており…4人は三咲町で生活をしており、レミリア、瑞鶴、ユウキは今と成ってはエンマの娘同然だ。
いや…他人の嫁にしたいから二次嫁を!という願いが間違っている。
「嫁ぐらい。頑張って見付けろ、俺も人の事を言えないがな」
千手エンマ…彼女居ない歴=年齢。顔付きは柱間様に似ていて整っているが、残念ながら今まで恋人は居ない。そんな彼は『二次嫁を下さい』関連の手紙を全てシュレッダーで粉砕したのだった。
「あと…まだのは…む?」
エンマは新しい手紙を1枚見付ける。そこには…
『ユウキさんを僕に下さい!彼女は僕の嫁なんです!
今年で28歳の会社員』
と書かれていた。
「俺と戦い、俺に片膝を着かせるか…真数千手+スサノオを突破してから言え」
勿論、シュレッダー行きである。
28歳の会社員さんから送られた手紙をシュレッダーで処分したエンマ。すると、自室の扉が三回叩かれて…日本政府のメンバーと成ったアジュカ・ベルゼブブ改めアジュカ・アスタロトが入ってきた。
「おっ!アジュカか。なにか飲み物でも飲むか?コーヒー位しかないけどな」
「ああ、貰おう」
アジュカがやって来て、一先ず小休憩を取ることにしたエンマ。コーヒーを一口飲み、一息着いた頃だろうか。アジュカが口を開いた。
「所でエンマ。君は北欧の主神 オーディンのインタビューを聞いたか?」
「オーディンのインタビュー?アレか、てっきり神話の事やサブカルチャーでの自分の意見かと思ったが、レーティングゲームをやってほしいって奴だろ?」
エンマの言葉を聞いてアジュカは無言で頷いた。先日、オーディンは欧州のテレビに出演し、そこでインタビューを受けていた。
そこでオーディンは予想外な事に、レーティングゲームの試合を観たいと言ったのだ。オーディンがレーティングゲームのファンなのは有名な話だが、残念ながら元老院+ファルビウム率いる悪魔政府は完全消滅。元悪魔の国民現日本人も新しい日常を楽しんでおり、レーティングゲームは直ぐには始められない。
「俺は別に構わないと思っていてな。だが、あれは元老院がパンとサーカス目的に産み出した物だ。
システム等は過去にハッキングして理解してるが、あれでは平等制の糞もない。やるにしても、悪魔の駒制ではなく、登録制にする予定だ」
レーティングゲームは本来、悪魔の駒で役割を決めていた。しかし、もう悪魔の駒は殆んど役目を失い…悪魔の駒で役割を決めるなら他の人物は出れない。だが、登録制にするなら悪魔以外でも出れるのだ。
「因みに北欧はオーディンの意向で、国技になろうとしてるそうだ」
「他の国の神様、政治とかに介入しすぎじゃね?」
「それ…なんだが、オーディンが新しいルール等を旧政権を滅ぼしたからという理由でな…全部日本に丸投げし、あろうことかその試作遊戯で日本が何処かと戦えと言ってるんだ」
アジュカが大きな溜め息を吐き出した。確かに日本(実質エンマ1人)が旧政権を滅ぼしたとは言え、レーティングゲームの新しいルール作りは無理が有る。
「俺に話を持ってきた…という事はオーディンは俺に出ろと?」
「ああ…君以外に兵藤くんにも出ろと言っている。既に新しいレーティングゲームの基礎は纏めている。基本的な役割の他に、使い魔やサーヴァントを出すサーヴァント枠も有るぞ。元のレーティングゲームなら、強い使い魔は禁止だったからな」
アジュカはそう言うと、オーディンの無茶振りから急遽作成したレーティングゲームの新しい資料をエンマに手渡す。エンマはそれをぺらりぺらりとページを捲りながら一通り読むと、資料を閉じて笑みを浮かべた。
「ふふふ…日本人なめるなよ?」
後に伝説と成る、現実世界初の火影率いる日本代表チーム始動の瞬間であった。
一方その頃、一誠は家でスマホに届いたメッセージを読んでプルプルと震えていた。
「また…また首脳会談かよ!!」
日にちは夏休み前。駒王学園で行われるオープンスクール兼保護者参観が行われた後日に行われる首脳会談の案内だった。
その首脳会談だが、日本政府と天使に堕天使の首脳会談であり、今回はコカビエル事件に関する物ではなく大真面目な首脳会談で天使と堕天使から日本政府に打診された物だ。
『兵藤君。この際告げるが、君は今後も平凡には生きられないと思った方がいい。神仏の実在が証明され、君はあの千手エンマの弟子で赤龍帝だ。
君や君の家族は世界でも嫌と言うほどに注目を集める。今後は堕天使や天使は勿論、他の神話も君を注目する。
私とアジュカ、エンマさんも総理の護衛として参加するが…堕天使と天使からの要求で君も来るようにと言われている』
と…サーゼクスからメッセージが届いて頭を抱える一誠であった。
「サーゼクスさーーん!俺が平凡に生きられないってどういうこと!てか、なんで俺がエンマさんの弟子に成ってるの!!成った覚えは一ミリも無いんですけど!」
兵藤一誠。後の日本代表チームの兵士は嘆いた。
次回!オープンスクール…一誠のツッコミの嵐が巻き起こる