久遠寺イナバ単独襲撃事件。現代技術の賜物であるドローンと飛雷神、瞬身の術をフルに使い、更には写輪眼で魔術結界の欠陥を付く事で侵入したイナバの影分身達がミレニア城で一悶着を起こした事件は終息した。
いや、終息はしていない。何故なら、イナバが本格的に本気を出すのはこれからなのだ。何故なら黒の陣営は黒のアーチャーのマスター以外のマスターとぶっちゃけ黒の陣営ではない一誠に飛雷神のマーキングが施されたのだ。
飛雷神のマーキングは絶対に消えない。試しにダーニックがマーキングが施された部分の皮膚を取り、治癒魔術で治療したが治療されて新しい皮が出来た所にも飛雷神のマーキングが有ったのだ。腕の飛雷神は最悪、腕を切除すれば良いがそれだと魔術は使えない。
正に黒の陣営はプロローグから絶望的状況に立たされたのだ。
「非常に不味い事態と成った」
ダーニックと黒のランサーは会議室に黒の陣営を全員召集し、緊急会議を行っていた。
車椅子の少女で歳は現代では恐らく琥珀さんと同年代だと思われる美少女 フィオレとそのサーヴァント 黒のアーチャー ヘラクレス。
フィオレの弟で眼鏡を掛けた少年カウレス。そしてカウレスのサーヴァントであり、黒のバーサーカー フランケンシュタイン(何故か女の子)
メタボなおっさんことゴルド。ゴルドのサーヴァントであり東欧の大英雄 黒のセイバーことジークフリート。
妖美な雰囲気を出す妙齢の女性セレニケと彼女のサーヴァントであり、イナバと同じく顔が女の子な男の娘 アストルフォ。クラスはライダーだそうだ。
そして小学生程の年齢のロシェという最年少と彼のサーヴァントであり、彼の師匠である黒のキャスター アヴィケブロン。
彼等はダーニックと同じく黒の陣営だが、フィオレと各サーヴァント以外は共通してる物が有る。それは体の何処かに飛雷神のマーキングを施されたのだ。勿論、それは何故か協力者と認定された一誠も同じである。
「フィオレ。お前が一番あの写輪眼を知っているだろ?」
「そうですね…」
ゴルドに言われ、フィオレは考える。確かにフィオレにとって久遠寺イナバとは時計塔で共に行動していた。いや諸事情で行動を共にさせられていたと言っても良いだろう。
「あの子は優しい子ですね。ただ…色んな意味で神様のような子です」
神様のような子。フィオレはそう言った。
「無邪気で残酷。人の話も兎に角聞かず、時計塔では私とロード・エルメロイ、そして一部の友達の話しか聞かない。いえ、先生の中でも話を録に聞かない場合が多々有ります。
神様が誰かの人生を狂わして殺すように、あの子もストッパーが居なければ同じような事をするでしょう」
フィオレの言葉を聞いて、一誠は成る程と小さな声で頷き納得した。
コンティニューする前では万華鏡写輪眼の幻術でショック死したり、今回は問答無用に飛雷神のマーキングを仕掛けまくる。時計塔ではフィオレという保護者件ストッパーが居たから特に問題は起きなかったが、今回はフィオレというストッパーは居ない。赤のバーサーカーではまだイナバのストッパーには成り得ず、イナバは色々と問題を起こすだろう。
「神様が実際に現代で産まれたような子供。育て方を間違えれば一瞬で世界を滅ぼしかねない子供、それが久遠寺イナバです」
――ですよねぇぇぇええええ!!
一誠は嘆くように叫んだ。三咲町の実家ではエンマやアリスという保護者ストッパー、現代では鈴仙というストッパー、時計塔ではフィオレというストッパーが居た。だが、今では聖杯大戦中なのでストッパーは居ない。その為に、無邪気な神様のような性格をしたイナバは問答無用に様々な問題を起こしてくるだろう。
「今頃…赤のバーサーカーは自分のストッパーとしての力不足を痛感し、胃潰瘍に向かって直進している頃でしょう」
赤のバーサーカー 半神トール。胃潰瘍ルートを進むことに成る。
「そうか…所で、このマーキングはなんだ?」
「飛雷神。瞬間的に転移可能な時空間忍術のマーキングです。イナバはそれをなんの苦労も無く使えますわ。恐らく、彼が本気ならばこの場の私以外のマスターは全員死んでます」
余りの事実を言われ唖然とするフィオレ以外の黒のマスターの皆様。
「カウレスはNARUTO -ナルト-を読んだことは?」
「姉ちゃん。俺、マガジン派なんだよ」
「そう。因みにイナバはサーヴァントの力を使わず、トリファスを塵に変えることが出来ます。マスター殺しも、イナバは飛雷神で逃げる上に影分身で誤魔化すのでオススメ出来ません。というか、本体が日本に居る可能性だって有ります。
逃げなくても瞬間的にスサノオを展開し、此方の攻撃は大半を無力化します。嘘だと言うのなら、動画サイトで完成体スサノオと検索して下さい。彼はそれを実行できます」
――ですよねーー
一誠以外は信じられないような顔をするが、事実なのだからしょうがない。
「話がそれました。何より恐ろしいのは飛雷神は物も飛ばせる事です。
イナバがもし、起爆寸前の爆弾を飛雷神で飛ばし、それが私達の所にやって来た瞬間に起爆します。勿論、魔術障壁を貼る暇も有りません。寧ろ、爆発に気付かないで私達は消し飛びます」
そう、飛雷神は物も飛ばせる。
フィオレがそんな事を言った為か、突如としてダーニックの目の前に大量の缶詰が転移してきた。その缶詰はまるで爆発寸前にパンパンに膨れ上がり、缶詰には『シュールストレミング』と書かれていた。
「アーチャー!!私を連れて逃げて!!速く!!」
「フィオレ!?分かった、行くぞ」
フィオレが叫び、黒のアーチャー ヘラクレスはフィオレを抱えて部屋から一瞬で脱出する。イナバを知ってる彼女だからこそ、シュールストレミングの恐ろしさは知ってるのだ。
「逃げるんだよぉぉおおおおお!!」
当然、エンマに振り回されまくりな一誠もシュールストレミングの恐ろしさは知っている。だから、彼は迷わずに会議室から脱出した。
「なっ!?シュールストレミングだと!?」
「マジかよ!?逃げるぞ!バーサーカー!!」
料理が得意なゴルド、ニコ生等のサブカルチャー知識も有るカウレスは自分達のサーヴァントを連れて逃走する。
「えっ?ちょっと!皆、待ってよ!!」
アストルフォも彼に続いて脱出し、その場にはロシェ&キャスター、セレニケ、ダーニックと黒のランサーが残された。
その瞬間。シュールストレミングの缶詰は爆発し、会議室は激臭が漂い。会議室は2度と使用禁止、残されたダーニック達は心に大きな傷を負ったのだった。
「ロシェとキャスター、セレニケとダーニックおじ様は暫く寝込むそうです」
「シュールストレミング恐ろし!!」
シュールストレミング恐るべし。その後、一誠はVR訓練をセーブして中断し、ログアウトした。
次回!VR訓練を中断した一誠はエンマに問う。
「本当の所、誰が生き残ったんですか?」
「会いたいか?そうだな、何人かは来るぞ」