成田空港。そこは今日も可笑しな来客がやって来る。ある人は普通に飛行機にのって来て、またある人は飛行機が面倒なのか転移で日本にやって来て税関で検査を受ける。
「はーい。お荷物チェックしますね。赤外線センサーで何やら不自然な影が見えましたので」
そんな成田空港は一度、今は亡きロキの手で無惨に壊されたが無事に復活しては賑やかに運営している。辺りを見渡せば人間、妖怪、悪魔と日本は勿論世界各地に暮らす様々な人種の人々が今日も税関を通り過ぎていく。
しかし、現実は非情であり…今日も1人の来客が税関で引っ掛かっていた。先ず、初めの犠牲者は台湾からやって来たお婆さんである。
「ちょっと!やめてよ!勝手に漁らないでよ!!」
荷物を簡易的に調べる赤外線センサーで、何やら怪しい影を発見した我らがジャネットさんは何時も通り、怪しいお婆さんの荷物を確認する。
すると、やはりジャネットさんの勘が囁いた通りであった。お婆さんの鞄の中からはラップに包まれた野菜に果物、更には魚まで入っていたのだ。
「お婆さん?申請書類は書いてないようですね。そもそも衛生上の問題で、生魚の持ち込みは禁止です。それと、寄生虫の問題などで食べ物の持ち込みは非常に厳しいです。残念ですが、此方は没収させていただきます」
お婆さんの果物や野菜、更には生魚は残念ながらジャネットさんの手で没収されてしまった。
「ちょっと!!何するのよ!!」
無論…怒るお婆さん。お婆さんからしてみれば、日本でも故郷の味を食べたいので持ち込んだのだ。だが、残念ながらこれ等の食べ物は持ち込み不可なのだ。カップ麺等の物は申請書類さえ書けば問題はないが、残念だが野菜等は不可能であり没収である。
「規則ですので。此方を返して頂きたい場合はお帰りの際に手数料を払っていただきます。手数料は此方に成りますが…」
ジャネットは手数料の料金をお婆さんに伝える。残念な事に、その手数料は台湾で持ち込んだ野菜や魚等を買った代金よりも高かったのだ。
「ふざけんじゃ無いわよ!!わかったわよ!!それはあげるわよ!!」
お婆さん。野菜と果物、生魚を諦めて無事に日本に入国する。
10分後。新しい来客が税関の所にやって来た。その人物は親子のようで、父親も太っちょ、息子は中学生程で有りながら太っちょな太っちょ親子だった。
「はい。パスポートとビザを拝見しますね」
ジャネットは太っちょ親子からパスポートとビザを見せてもらう。
父親のパスポートにはゴルド・ムジークと書かれており、息子のパスポートにはゴルドルフ・ムジークと書かれていた。そう、無事に聖杯大戦を生き延びたゴルドとその息子であり時計塔の学生 ゴルドルフ・ムジークである。
「ゴルド・ムジークさんとゴルドルフ・ムジークさんですね?パスポートとビザは正しいですね。今日はどうして日本に?」
税関は平和に事が進めば直ぐに終わる。その為か、よほど怪しくない時は軽い世間話も混ぜて、旅行客の緊張を解したり、良い観光スポットの話をしたりするのだ。
「うむ!旅行で来てな。養子の長男は関空で降りて、彼女と友人と共に伊勢神宮を巡ると言っていた」
「そうですか。ではゴルドさんは?」
持ち込み申請書類等をチェックしながら、ジャネットはゴルド親子と会話する。今の所、ゴルドの書類と手荷物には不備は見当たらない。
「関東から京都に向けて観光しようと思ってな!ホムンクルスの召し使い達はハワイに旅行してるし、私達はディズニーを楽しみ、そして京都等の世界遺産を巡るつもりだ!」
「それは良いですね。おや?ゴルドさん…魔術薬品は許可書に書いてませんね。神仏の実在が明らかに成ってからは、此方も許可書に書いて申請する必要が有りますよ」
そう、ジャネットの言う通りで魔術での調査や簡単な錬金術に使う薬品等は申請書類に書かないといけない。だが、これは神仏の実在が明らかに成り、裏側の真実が明らかに成って法改正がされてからである。
事実、過去。冬木市で行われた亜種聖杯戦争に参加したウェイバーは飛行機で魔術薬品を持ち込んで何もなかった。ゴルドもうっかりと書くのを忘れたのか、ビクッと震える。
「いや…その…息子…ゴルドルフに錬金術の指導をしようと」
ゴルドはゴルドルフに錬金術の指導を行う為に、錬金術の道具を持ってきたのだ。しかし、申請書類に書いてなかったのは書いてなかった。お決まりのアレである。
「御立派ですね。しかし、それとこれは別!!此方の魔術薬品は没収させて頂きます!!」
「なんじゃと!?」
ゴルド。錬金術に使う薬品を全て没収される。幸いにも普通の道具でも有る試験管、フラスコ、スポイト、等は没収される事は無かった。
「ダディ…だっせぇな」
魔術に使う薬品を没収されたゴルド。そんなゴルドを見て、中学生のゴルドルフはそう言った。彼が後に四代目火影のマブダチに成ることを我々は未だ知らない。
そしてゴルドはゴルドルフに背中をつつかれながら、税関を出ていき、日本観光に向かっていった。
次に出てきた旅行客は訳ありだった。何故なら、何処から見ても小学生な白髪の少女だった為である。それに、服装は立派であり一般家庭の出で立ちではない。服装から考えれば外国の貴族出身だと考えられる。
そんな貴族の娘が保護者も付き人も着けず、まさか1人で日本にやって来るとは考えられずジャネットは唖然とした。アーシアの時は兎も角、目の前の少女は明らかに小学生。普通は1人で日本に来るような子では無いのだ。
「はい。パスポートよ!早く終わらせてよね」
少女はジャネットに向けてパスポートとビザを見せてきた。
パスポートには『オルガマリー・アニムスフィア』と書かれており、アニムスフィアと言えば魔術協会でのかなりの地位を持つロード・アニムスフィアの家系である。
「えーと…オルガマリーさんですね?どうして日本に?親御さんは?」
「私は1人で来たのよ!!」
なんと言う事でしょう。オルガマリーちゃんは1人で日本にやって来たのだ。
「えっ?1人で?」
「そうよ!!あの日…聖杯大戦で大聖杯がぶっ壊れてから、お父様は私に関心を向けなくなったの。お父様に『お前はもう価値が無い』と告げられたのよ」
お父様と言うのはロード・アニムスフィアの事だろう。ジャネットの記憶が正しければ天体科のロードであり、中々の権力を持っていた筈だ。
しかし、あろうことかロード・アニムスフィアはオルガマリーへの関心を失いネグレクトしてしまったようだ。そんなネグレクトされたオルガマリーちゃんは単身で日本にやって来たようだ。
「えっ…でもどうして日本に?」
「最強の男 火影の弟子に成って、お父様を見返すのよ!!」
バーーン!!と何処から効果音が聞こえたような気がしたが、オルガマリーは高らかにそう言った。
どうやら、彼女は自分をネグレクトした父親を見返すために火影の弟子に成るために単身で遥々、日本にやって来たのだ。
「取り合えず、書類や荷物には不備は無いので…そこの部屋で待っててくれる?お姉さんが火影の関係者を呼んであげるから」
「約束よ!」
オルガマリー(11歳)。取り合えず、待機室に案内される。
そして、次にやって来たのはイギリスの内乱(魔術師VS人間)の戦争を防ぐ為に、日本との交渉にやって来たロード・エルメロイ二世率いる師団である。
「はい。転移での入国ですね。亜空間に仕舞ってる武器類の不備も問題なし、ビザも確認よし、どうぞお通り下さい」
事前に日本の税関の事を調べていた為か、ウェイバー達はすんなり通過する事が出来た。
「それで…俺に用とはどうした?時計塔の教師 ブラムさん。これでも俺は忙しい身でね、用件を話してもらいたい」
火影の羽織を羽織り、エンマは1人の男と会談していた。
「日本神話が私と父上にかけた呪いを解除してくれ」
「ふーん。その前に、1つ聞きたい。お前達は俺の息子が胚だった頃にナニをしたのか?なんであんな事をした?根源に至りたいからか?」
男の要求はただ1つ。グレート・スピリッツの力で、男とその父親に掛けられた呪いを解除する。ただ、それだけである。
「ナニを?……ナニをか。感謝して欲しい位だぞ?私達のお陰で君の息子は「そんなんだから、天照様直々に呪いをかけられたんだよ」なに?」
エンマは深く息を吐き出し、瞳が万華鏡写輪眼に変化する。
「俺個人の良心として警告だ。神仏が公に成った以上、やり方を考えろ。根源に至るのは別に構わない。だがな…やり方って物が有る。
天照大御神直々に警告文も届いてお前たちも見ただろ?日本人が居る限り、日本神話は常に見てる。胚とは言え、俺の…俺達の子供を玩ぶな。
三度目の警告だ。警告は全部で三つ。それを破れば、
「根源に辿り着く、それが魔術師の本懐だ!!我々のお陰で、彼は神に成ったんだぞ!!この世で唯一、人間の遺伝子配列を持った神に成ったのだ!!我々、降霊魔術の最高傑作と言っても良い!!」
エンマは瞳を閉じる。
「言ったぞ?最後の警告だってな。まあ、情でお前だけに今回はしてやる。お前には……」
――万華鏡写輪眼 月詠
「日本の恐ろしさを幻術で伝えてやる。俺が使う技で唯一、そこまでサブカルチャーが絡んでない物だ」
――八大十六小地獄網羅 閻魔裁判。
その瞬間。男 ブラム・ヌァザレ・ソフィアリは
「まあ。安心しろ…俺よりも天照様の方がキレたらヤバイからな。阿部さんとEDなんて、本当に手加減してるよ」
エンマは幻術で苦しみ、地獄を体験してるブラムを飛雷神で時計塔に送った。
「まあ…親にとって、生まれがどうであれ子供は自分の命よりも大事なんだよ。
本当は今すぐ
エンマはそう言うと、飛雷神で消えた。
「あっ!時計塔。社会的に潰せるわ。ウェイバーには悪いが、転職してもらおう」
ニヤリと火影は笑った。
次回!ウェイバー師団とエンマの会食。