「火影様ァァァァア!!」
地球を三周半するほどの衝撃波がルーマニアの一帯、吸血鬼の本拠から感知され同時に天高く登る果てしなく高いキノコ雲が空高く登った。
そのキノコ雲を見ながら転移で離脱したミカエルと米軍にエクソシスト達は申し訳なさそうに見つめ。そしてこのキノコ雲を産み出した爆薬物に被弾したかと思われる人物の手で逃がされた吸血鬼の僅かな生き残りは慟哭した。
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい。火影様。本当にごめんなさい…私達のせいで」
吸血鬼の僅かな生き残りである少女 ヴァレリーは涙を流し、今はこの場に居ない人物に対して謝罪した。もし、自分達が助けを求めず、ミカエル達の裁きを大人しく受け入れたなら彼は直撃を受けずにすんだのだから。
このキノコ雲は米軍と天界が合同開発した戦略兵器であり、放射能は産み出さず、その上で破壊力は核爆弾に匹敵する代物だったのだ。
生き残った吸血鬼達を飛雷神で逃がした男 日本政府最強の男 初代火影千手エンマは新型兵器の爆発に巻き込まれて行方不明と成る。10月20日の事であった。
その3日後の10月23日。現場を調べた米軍と天界から日本政府に初代火影 千手エンマの死亡が通達された。
10月25日。
「そりゃ、遺体が無くて当然だわ。俺生きてるし」
だが、考えて欲しい。飛雷神という予告動作無しの転移が自在に使えて完成体スサノオが使えるエンマはこの程度では絶対に死なない。と言うか吸血鬼の生き残りを全員救助し、飛雷神で日本に帰って自宅でニュースを見てると勝手に死んだ事にされたのだ。
「あの爆発では死んだと思ったんだろうな。天界と米軍は」
神津総理が苦笑いを浮かべてそう言った。現在、エンマは勝手に死んだ事にされたのを良いことに、総理大臣である神津総理、部下のトビオとシエル、弟子の一誠、息子のイナバとその恩師ウェイバー、そして気紛れでやって来た玉藻ちゃんという狐妖怪……ではなく本物の天照大御神様と会議を行っていた。
「ミコーン!彼等、本当に火影の実力を分かってるんですかね」
なにやら、神仏の実在が明らかに成ってから初めて降臨した時と比べて、随分とテンションが違う天照様がそう言う。と言うか、狐耳をピコピコと尻尾をフリフリと動かしている。
「「「いや、わかってないでしょ」」」
天照様に同意するように一誠、ウェイバー、トビオがそう言う。ぶっちゃけ、海外で任務を行う場合だがエンマは一瞬で飛雷神で日本に帰ることが可能だ。
あの時、新型爆弾が爆発する瞬間にエンマは飛雷神で転移して日本に帰宅したのだ。
「しかし…ミカエルさん達は早すぎじゃね?決断がな」
エンマは溜め息を吐き出して、その日の事を思い出す。
あの時…ルーマニアの僻地から1通の手紙が届いたのだ。その手紙を読むと、どうやらルーマニアに住む吸血鬼達からであり、助けて欲しいと言う内容だった。無論、エンマは助けに向かったが…手紙がエンマの手元に来た時点で戦いは殲滅戦に移行しており、寧ろ惨殺に近かった。
エンマが助けれた吸血鬼は僅か数名。純血の吸血鬼は将来的に全滅と言っても過言ではない。何故なら、男の純血は全員殺されていた為だ。
それにエンマが駆け付けた時点でも手遅れだった。米軍上層部は新型爆弾の投下を始めようとしており、エンマが来た瞬間に解き放たれた。
なんとか、生き残りを全員助けれたエンマ。しかし、エンマ本人の飛雷神転移はギリギリに成ってしまい…端から見ればエンマは核兵器に匹敵する爆発に捲き込まれ死亡したかに見えたのだろう。
「俺今、ジョセフ・ジョースターに匹敵する奇妙な事を経験してるぞ。テレビを着けたら、俺がルーマニアで死んだ事が大々的に報道されてたからな」
「もう、アンタ…ジョセフよりも奇妙だよ。ぶっちゃけスサノオ展開したら核爆弾ぐらい耐えられるでしょうが」
久々に一誠が苦笑いを浮かべながらツッコミを入れた。
「そういや、エンマさん。どうするんです?日本は兎も角、様々な国じゃエンマさんは亡くなったって言われてるんですよね」
日本は兎も角、世界の和平を結んでいる各国はエンマが死んだ事を信じてる。
しかも、エンマはテロリスト(吸血鬼)を逃がしたとして批難も浴びているのだ。事実、米国等では吸血鬼を根絶やしにするつもりだったのか、エンマに対する罵声等がネットの掲示板に挙げられている。
「その上…各国は火影という絶対的なアドバンテージを失ったと言ってきてな。改めて和平を結ばないかと言ってきた」
神津総理が溜め息を吐き出す。他国的には千手エンマというイレギュラーが亡くなったと本気で思っており、改めて日本と和平を結ばないかと声をかけてきたのだ。いや、エンマが生きてるのでそれは意味無いのだが。
「まてよ?各国がマジで信じてるなら、ちょっとドッキリを仕掛けてみるか。ミカエルさんによ」
エンマは何かを思い付いたのか、笑みを浮かべてその場に居る全員に思い付いた事を説明する。
「アンタ…マジか!?」
「おう。マジマジ。何れ、アリスと身を固める際に多忙に成ったら火影の座を一時的に降りようかと思ってたしな。トビオ…という訳で、俺は有給使ってまで仕掛けてくるから頼むぞ?」
「はい。久し振りにアリスさんと羽を伸ばしてきて下さい」
緊急会議から日にちが過ぎた10月30日。
「任された限りはやるか」
『二代目火影』と書かれた羽織を羽織り、トビオはデスクに座っていた。彼の後ろでは付人として一誠が控えている。
「あのトビオさん………二代目火影。マジでやるんですか」
「勿論だよ。まあ、火影が大変なのは見てて分かってたし、俺はエンマさんと違って飛雷神は使えない」
二代目火影 幾瀬トビオ。ここに爆誕!!
「一誠。先日に話したドッキリの準備は進んでるかい?決行日は11月5日だよ」
「進んでますよ。なんで…アンタ達は兎も角、神様達も今回はノリノリなんですか!?」
11月5日。日本政府と日本神話はミカエルを出雲に呼びつけた。ミカエルとしては遂に日本が和平を結んでくれると思い、ミカエルは喜んで日本に向かってくれる運びに成っている。
――ミコーン!神在月が始まる序に、会談しません?ちょっと…これからは他国とも付き合い方を考えないといけないので。総理と共に私、天照も出ますよ!
――えぇ!!良いですよ!もしかして…和平の件ですか?遂に結んでくれるんですね!!
とミカエルは参加を決めた。そこで、盛大な初代火影様生きてましたドッキリを遂行し、序に草薙の剣返還を行う予定である。
「あっ!そうそう、俺の次の火影は君だから」
「俺が三代目!?だったら、龍が如くの桐生さんみたいに一瞬で辞めてイナバに譲りますよ!!」
9年後に就任する火影は三代目火影 兵藤一誠。四代目火影 久遠寺イナバ。宣言通り、三代目火影が四代目火影に譲る前の任期は僅か、二時間である。
次回!壮大なエンマ生きてましたドッキリ!!
果たして…ミカエルは草薙の剣を無事に還すのか!?