エンマの元気が無いのは誰が見ても明らかだ。当然だが、エンマははっちゃけて相手を吹き飛ばすが人間を殺す事は嫌いだ。
レーティングゲームのように死ぬ前に強制的に転移されるなら、存分にはっちゃけられる。心が人間ではない愚か者と戦う際は情け無用、エンマからすれば人間ではない判定が出来るので喜んでぶっとばせる。
だが、今回は随分と違ったのだ。当然だが、エンマは充分にブッ飛んだ存在だが心は生粋の人間だ。魔術師としての教養も施されておらず、イナバのように神の側面も植え付けられていない。生粋の人間だった。
だから、当然ながら人間を殺せば後悔する時は多々ある。特に今回の第三次世界大戦が正にそれだった。多くのキリスト教圏の国々(イタリアやスイス除く)に日本と敵対したいお隣さん等々の国々と日本との戦争。エンマは火影として日本を守るために戦った。だが、殺した人間は全てが人間であり軍人。その大半が仕事で戦っていた軍人だ。
勿論…軍人達にも家族が居る、帰るべき家が有る、帰りを待つ家族が居る。だが、無情にもエンマは理不尽な力で彼等を遺体を遺さずに全て消し飛ばした。言い訳は出来ない、仕事とは言え死地に向かってきた彼等をエンマは殺したのだ。当然、中にはエンマに怒りをぶつける狂信者や魔術師も居たが、殺した多くは普通の軍人…命令に従った人間だ。
「随分と元気が無いわね…皆、心配してるわよ」
ガチャと扉が開き、アリスがピカチュウと共に入ってきた。アリスの表情から察するに彼女もエンマの今の状態を心配してる。当然だが、第三次世界大戦が終ってからエンマはあんまり食事を取っていない。柱間細胞のお陰で動けるが、普通なら痩せこけている筈だ。
「アリスか…少し、話を聞いてくれるか?」
「良いわよ。子供達も今は兵藤さん達が遊びに来てるし、冬休みでイナバ達も居るから」
今日は兵藤夫妻は勿論、一誠、アーシア、ゼノヴィア、イリナと兵藤一家が全員遊びに来てる。アリスが居なくても子供達の面倒は問題ないだろう。
「前の大戦で多くの人を殺したよ。別に心が人間じゃない奴を殺すのは躊躇はいらない。でもさ、今回殺したのは大半が普通の軍人だ。
俺の完成体スサノオを見て…恐怖でガチガチに震える人も居た、戦意を失う奴も居た、家族に謝り続ける軍人も居た。だけど…全員殺した」
全員殺した。いや、当然だろう。今の世の中は空母、護衛艦等々に乗って戦う。人個人が無双するのは不可能であり、基本的にゲームやアニメ等しかない。
空母を一隻破壊すれば空母に乗って居た殆んどが死ぬ。結果的に日本に攻めてきた海上部隊を船事破壊した結果、エンマは数多の人間を殺したのだ。
「嘘ね」
だが、バッサリとアリスは言う。長年、高校生の頃から20年以上共に暮らしてるアリスだからこそエンマの嘘が見抜けたのだ。
「完全には殺していない。例えば…封印状態にしたか、魂だけを回収して封印したかのどっちでしょ?」
確かにエンマは数多の軍人を殺した。だが、エンマの殺したは広義的には殺していない場合が有る。
「バレてたか。確かに肉体は殺した。それは事実だ…自分の免罪符なんて言葉は使わない。でも、甘えだとしても俺はこうした」
ごと…とエンマは飛雷神を応用して予備だした幾つ物巻物を机の上に置いた。その巻物には『インド』『お隣』『アメリカ』『イギリス』『フランス』等々の国々の名前が書かれた巻物だったのだ。
「この巻物には魂が昇天する前に、俺がグレート・スピリッツで回収した軍人の魂が国別に封印されている。俺がその気なら、彼等を肉体ありで蘇生させる事も可能だ。
彼等は命令に従っただけだった。なのに俺の手で殺された。帰る場所も家族も居るのに命令にしたがった軍人だから俺に殺された。こんなの…あんまりにも程が有る。
こうでもしないと…俺は自分で自分を赦せても赦せないんだよ」
巻物の中身は封印術で封印された軍人達の魂だ。勿論、国別に分けており、エンマがグレート・スピリッツの力を使えば肉体ありで蘇生させる事も可能だ。
グレート・スピリッツは魂さえ有れば、対象を蘇生出来る。正にドラゴンボールのシェンロンのように何でも有りな事が出来るのだ。
「貴方はバカでアホで、本当にどうしようもないお人好しだわ。でも、それで良いと思う」
アリスは優しく、エンマを抱き締めるのだった。
「ピカピ…」
そして完全に蚊帳の外に成ったピカチュウであった。
一方、サプライズを企画する事に成った一誠は仲間を集めて作戦会議を行っていた。
「それじゃあ…エンマさん元気プロジェクトの会議を始めるぞ」
長い長方形の机の席に座り、一誠が仲間達を見回す。彼の仲間はエンマを元気にする為に集った仲間達だ。
マシュ、オルガマリー、イナバ、フィオレ、そして世界大戦以来日本に亡命して千手の家の従業員と成った元エクソシストのデュリオ君である。
他の子供達はヴァレリーやイリナ達と共に会場の飾り付けを担当しており、この場には居ない。
「良し…それじゃあ、作戦会議を行うぞ!俺達が担当するのは食事の段取りだ。
イナバ。エンマさんの好きな食べ物は?」
「麺類?」
「麺類じゃ…サプライズが薄いしな。ケーキとかは?」
やはり、サプライズと言えばケーキだろう。その言葉を聞いて、マシュとオルガマリーの子供コンビがはしゃぐように立ち上がった。
「ケーキ!わたしやりたい!!」
「ケーキ!良いじゃない!!火影もきっと喜ぶわよ!」
ケーキならば万人受けするだろう。それに久遠寺屋敷のキッチンには色々と揃っており、オーブンも有るからケーキは勿論、本格的なパンを焼くことも可能だ。
「サプライズはケーキで決まりですね。それじゃあ、私とイナバは他の孤児院からエンマさんへのメッセージを受け取りに行きます。
ケーキは一誠さん達に任せます。お願いしますね」
エンマへのサプライズは千手の家の他にもある孤児院の子供達からのメッセージカードも有るのだ。しかし、エンマが保護した子供達が暮らす孤児院は日本全国に存在しており、1日で回りきるのは不可能。その為に瞬間転移が可能なイナバの飛雷神で、フィオレとイナバが集めに向かうのだ。
勿論、千手の家以外の孤児院には一誠が直接電話を先日から掛けており、準備は万端である。メッセージカードは既に出来上がってる頃であり、後は飛雷神で飛んで回収するだけである。
「そんじゃ!頼んだよ!!」
イナバはそう言うと、フィオレに触れてフィオレを連れて飛雷神で消えた。
「そんじゃあ…俺達はケーキ作りだ!!」
残されたデュリオ、一誠はマシュとオルガマリーと共にケーキ作りである。
久遠寺屋敷 キッチン。
「良いこと?ケーキは私とマシュがメインでやるわ!貴方達は私達の補佐よ?分かったわね」
背伸びし、胸を張るようにそう言ったオルガマリーさん11歳。彼女はマシュちゃん6歳と共に我らが初代火影様の為に美味しいケーキを焼くのだ。
「「イエスマム!!」」
「それで良いわ。行くわよ、マシュ」
「あっ…はい!!」
こうして、マシュとオルガマリー主導の元で美味しいケーキ作りが始まったのである。勿論、材料や道具等は一誠とデュリオの裏側担当が用意しました。
だが…ぶっちゃけケーキを焼くのは初心者には難易度が余りにも高すぎる。
「これ…いつまでも混ぜたら良いのよ!!」
「うぇぇん…卵の殻がはいっちゃったよ…」
悪戦苦闘するオルガマリーとマシュの2人。
生地を作る段階でもこれであるが、一誠とデュリオは見守ることしか出来ない。2人の仕事は可能な限り、オルガマリーとマシュのサポートを行いながら…2人が危なくないように見守ることしか出来ないのだ。
「「よいしょっと…」」
オルガマリーとマシュは力を合わせ、生地をオーブンで加熱していく。ケーキの土台となるスポンジケーキを作るためだ。
だが…焼き上がったスポンジケーキは黄色く、テレビや雑誌等で見たことが有る物と違い…焦げ茶色で少し焦げてしまったものだ。
「あ…こんな…んじゃ」
「おっちゃん…ごめんなさい」
まさかの失敗に泣きそうになるオルガマリーとマシュ。しかし、此処で我らがツッコミ役である一誠の出番である。
「大丈夫大丈夫!!エンマさんはな…お前達がサプライズで作ってくれた時点で嬉しいんだよ!!だから、最後までやるんだ!安心しろ!俺が責任を持つ!!」
「「うん!!」」
一誠に励まされ、オルガマリーとマシュは最後まで頑張る。そして…何とか無事にケーキは出来た。
後は初代火影に渡すだけである。
「行くわよ」
午後4時。エンマはアリスに引っ張られるように部屋から出された。だが、部屋の外で待っていたのは…クラッカーを構え、クラッカーの紐を引いて音を響かせる子供達だった。
「「「サプライズ!!」」」
「サプライズ?」
これにはエンマも驚く。
「皆、貴方に元気に成って欲しいのよ。私を含め、此処に居る皆は感謝してるわ。貴方が居るから、今…此処に私達が居るの」
エンマが居たからアリスは此処に居る。
エンマが居たからイナバが此処に居る。
エンマが居たからレミリア、瑞鶴、ユウキが此処に居る。
エンマが居たからポケモン達が此処に居る。
エンマが居たから兵藤一家は此処に居る。一誠が生きている。
エンマが居たからアーシアが居て、ゼノヴィアとイリナが此処に居る。
エンマが居たからヴァレリーが居る。
エンマが居たからオルガマリーとマシュが此処に居る。
エンマが居たから子供達は今を幸せに生きている。
「はい。父ちゃん」
「エンマさん。勿論、私達を含め…貴方が保護した子供達は貴方に感謝してるのですわ」
フィオレとイナバから手渡されたアルバム。そのアルバムをエンマが開くと、中には彼が今まで保護した子供達からの感謝のメッセージが書かれていたのだ。
「皆…」
「エンマさん!まだサプライズは有るぜ!!」
一誠がそう言い、オルガマリーとマシュがエンマの前に歩いてくる。2人とも手は白い粉やクリームで汚れており、両手で大事に白い箱を持っていた。
「開けてみて」
「おっちゃん!」
2人に言われ、エンマは箱を開ける。そこには綺麗とは言えなかったが、オルガマリーとマシュが頑張って作ったケーキが有ったのだ。
「お前達…大好きだ!!」
エンマは飛びっきりの笑顔を浮かべ、嬉し涙を流した。
その後日。復活したエンマと日本政府及び日本神話はエンマの第6魔法で戦死者である各国の軍人達を蘇生させる条件として、様々な国に対しての終戦処理を行わせ真の意味で第三次世界大戦を終わらせた。
戦死者を甦らせる条件のとして、各国は要求を呑んだ。国の政治に神々、宗教は関与しないこと。国の統治は原則的に人の手で行うこと。日本に2度と宣戦布告し、侵略行為を行わないこと…なお、最後の条件は破れば飛雷神でGODZILLAか五大精霊が派遣される。
因みに北の大国は北方領土を返還した。
オマケ。未来のお話…マシュが彼氏を連れてきた。
「さーーて、藤丸君だったか。ちょっとお父さんと話をしようか」
マシュの彼氏…藤丸君ことアダ名ぐだ雄は唖然とした。まさか、後輩で恋人のマシュの養父がまさか。
「お兄さんにも説明してもらおうかな?」
「同意だな息子よ。さてと…藤丸君。返事は?」
最強の初代火影だったとは。しかも初代火影は仙人モード+万華鏡写輪眼を発動させており、隣には『四代目火影』の羽織を羽織った現職火影が居たのだ。
四代目火影は臀部からチャクラで構成された尻尾を3本生やしており、ヤル気マックス。瞳も万華鏡写輪眼に成っており、最終的にこの世界での九喇嘛モード(勿論、名前は異なる)を使用し出した。
「マシュのお父さんが千手エンマさん!?お兄さんが火影である久遠寺イナバさん!?」
ぐだ雄は目の前が真っ暗になった。
次回!終戦後のミカエル君。
年が明け、復活したエンマは一誠を修行でボコボコにしながら年始を過ごしていた。すると…アメリカでのデモでアメリカを追い出されたミカエル君が亡命を求めてる事を知り?
エンマ「シュールストレミングは日本じゃ使えないからな。所で一誠、カースマルツゥって知ってるか?」
一誠「売ったら捕まるわーー!!!」
アリス「日本のゲテモノ珍味にしたらどうかしら?」
エンマ「あったわ。聖書に関係があって、日本の珍味。味は旨いのがあれだけどな」