牢屋(笑)と書かれた看板の後ろに、初っぱなに確保された匙は連行された。勿論、二代目火影であるトビオは加減も上手であり、匙に大きな怪我は無い。強いて言うならアフロヘアーに成った位である。
「チクショーーー!!」
匙確保。因みに牢屋(笑)は何も拘束する物は無いのだが、匙は1人では逃げられない。何故なら最強の看守がそこに居るためだ。その看守は全長は尾獣位は有り、両腕が翼のように成っていて巨人の如く二足歩行だ。
「………」
その巨人の名前はスピリット・オブ・ウインド。五大精霊の1体であり、蒼崎青子がエンマから借りパクした核兵器真っ青の化物である。
ウィンドウの能力は風に関わる物。自在に風を起こしたり、台風さえも自在に操る。熱風で相手を焼いたり、冷風で相手を凍らせる事も出来るし、核兵器300万倍のエネルギーを持つ台風さえも産み出せる。
看守としてウインドが捕まった人達を見下ろし、監視している。逃げ出そうとすれば風で牢屋(笑)の所まで戻されるのだ。脱走する為にはウィンドウを倒せば良いのか?それは否である。ウィンドウを倒すのは試験を受けてる子供達では殆んど不可能だ。
捕まってない人が牢屋(笑)にやってくる。そうすればOKなのだが、トビオ達は伝えていない。忍びとは裏の裏をかくのだ。
「くそう!捕まった!!」
「二代目様達強いよ!!」
神仏の実在が明かされ、裏側の授業も民間人に教えるように成ってから半年以上。神器や魔術回路にチャクラの練り方を教わった高校生以上の人達は続々とトビオ達に捕まっていく。
勿論、トビオ達は本気を全然出していない。これは子供達が如何にして協力してトビオ達に立ち向かえるかを見てるのだから。
今回の参加者は飛び入りの葉王を除いて34人。葉王を含めて35人。開始30分が経過した頃、既に20人程の生徒達が捕まってしまった。
そして…
「あらら…可愛い男の子なこと」
「「くそう!!」」
一誠のクラスメートであり、元女子高だった駒王で春を謳歌する為に入学したエロバカコンビこと松田と元浜も試験官に見付かった。因みに松田は丸坊主、元浜は眼鏡をかけた少年である。いや、高校3年生だから青年と言えば近いだろうか?しかし、2人は一誠よりも半年以上遅く裏側の事を知って授業程度しか訓練していない。
「では…早速腕試しね!潜影蛇手!!」
しかも2人を見つけた試験官は青龍。数年前、普通の性癖だった彼はエンマを挑発し、エンマの手で万華鏡写輪眼 月詠の犠牲に成ってオカマに成ってしまったのだ。
右手を前に出した青龍。すると、青龍の腕から数多の蛇が出現し…延びるように松田と元浜に襲い掛かる。
「仕方がない!!」
「やるぞ!!」
松田と元浜が宿していた神器は竜の手。第一段階は籠手であり、出している間は己の力が倍に上がる神器だ。量産型だが、ドラゴンを宿した神器であり使い方によっては普通に戦える。その上、ドラゴンからチャクラも貰えるので普通に人柱力としても戦えるのだ。
籠手を展開し、2倍に上がった身体能力で迫り来る蛇から逃げる事が出来た2人。だが、蛇は高速で旋回し、見事に2人は蛇でお縄に成ってしまった。
「「なぬ!?」」
「あら残念ね。私の蛇は速いのよ。貴方達のお尻も堪能したいけど…それは又今度ね!」
松田と元浜のエロバカコンビ。大蛇丸っぽい青龍に確保されて牢屋(笑)に輸送。
「松元コンビが捕まったわね」
その様子を同じく試験に参加していた同じくクラスメートの女子 桐生藍華は見ていた。そして…彼女は青龍に気付かれないようにその場を離れる。とは言え、彼女は初めから青龍にバレていた事は青龍しか知らない事である。
「不味い…不味い…非常に不味いじゃない!!」
ガクガクと震え、木陰に隠れて1人の黒髪の少女が焦っていた。彼女の名前は黒桐鮮花。魔術師と言うよりも魔術使いに近い見習いであり、駒王学園高等部の1年3組の少女である。
実は青子の姉で、五大精霊の一角 スピリット・オブ・サンダーを借りパクした蒼崎橙子の弟子である。とは言え、弟子に成った経緯は兄の恋人に対抗する為であるのは言わない約束。しかも彼女が使える魔術は炎関係だけであり、忍術も未だちゃんと覚えていない。
とは言え、今回の参加者の中では上出来と言える存在だ。
「まさか…20人以上の参加者が捕まるとは予想外だぜ」
その声が聞こえ、鮮花はふと右を見る。そこには白い服が泥んこで見事に黄ばんだ太っちょの少年 ゴルドルフが居たのだ。
「うぉ!?デブ!?」
「デブとは失礼だな…レディ。僕はぽっちゃり系だぜ!」
――いや、デブはデブじゃん。鮮花は叫びたかったが、叫ばない事にした。
「そこのレディ。恐らくだが、この試験は試験官のカワラケを割ったり、二代目火影から鈴を奪う事が目的じゃない」
突如、ゴルドルフがそう言う。その言葉を聞いて鮮花は首を傾げる。
「どういう事よ」
「僕達がどんなに頑張っても五大宗家の当主や、二代目火影から鈴を取るなんて不可能だ。
恐らくだが、二代目火影は言ってないが…合格基準は別に有ると思う」
「なんでそう思うのよ…二代目火影だって鈴を取れって言ってたじゃない」
「それで合格とは二代目火影は言ってないんだよ…一言もな」
ゴルドルフの言う通り、トビオは一言も鈴を取れば合格とは一言も言っていない。確かに鈴を取れ、カワラケを割れと言ったがそれは合格とは言っていない。
「僕のダディは昔、1人の忍と命のやり取りをしたことが有ってね。忍は裏の裏をかくべしと」
確かにゴルドルフの言う通り、ゴルドルフの父ゴルドは忍であるイナバと命のやり取りをしたことが有ったが、マジな勝負なら一瞬で殺されてるし、九尾の暴走に巻き込まれていたら遺体も残らなかったとかは言ってはいけない。
「へー…思ってたよりも考えが有るじゃない。だけど本当の答えは俺からは言えないんだよな」
その声が聞こえ鮮花とゴルドルフは後ろを振り向いた。そこには二代目火影こと、トビオが笑みを浮かべて此方を見ていたのだ。
「「うぉ!?二代目火影!?」」
まさかのトビオの降臨。驚き、素早く立ち上がる鮮花とゴルドルフ。
「で?なんで…そう思うんだい?」
「我々の実力では先ず不可能だ!!あの久遠寺イナバなら出来るが、我々の多くは魔術や忍術を学んで僅か半年!!そんな実力者が裏側で日本を今まで守ってきた者のカワラケを割ったり、日本で2番目に強い人間から鈴を取るのは不可能だ!!
成らば…合格は別の基準だと少しでも考えれば分かることだ!!」
「成る程ね…」
トビオが動こうとした時、トビオと2人の間にイナバが現れる。
「アンタ…確か1組の…」
千手の羽織をはためかせ、イナバはトビオ目掛けて身構える。
「二代目は俺が抑えるから、皆を助けに行って。父ちゃんが昔言ってたさ、仲間を見捨てる奴は最低の屑だってね」
「イナバ…ヒント与えちゃダメだろ?」
イナバは写輪眼を発動させ、トビオは左目の眼帯を投げ捨てる。その直後、両者はゴルドルフと鮮花では反応出来ない程の速度で戦闘を始めた。とは言え、未だ両者も万華鏡写輪眼を使ってはないので手加減はしている。
「はっ速すぎる!?」
だが、イナバが時間を稼いでもらってる間にゴルドルフと鮮花はその場から逃げ出し、走り出す。
「あっ!君達、確か1年生の」
「丁度、良い所に居たな」
すると、今度はゼノヴィアとイリナに遭遇した。ゼノヴィアとイリナも昔からエクソシストとして戦っていたが、流石に五大宗家相手には分が悪くカワラケを割れずに居たのだ。
「私とイリナが力を合わせてもカワラケを割れそうに無くてな…仲間が必要だ。手を貸してくれかいか?」
格上の戦士からの協力要請。又もないチャンスである。
「今。イッセー君が生き残りを集めてるの。行くわよ!」
どうやら、生徒として紛れ込んでる一誠は生き残りの生徒達を集めているようだ。と言うよりも、ここまでポンポンとトビオ達に参加者が捕まり過ぎたので、ヒントを与えた結果だろう。
牢屋(笑)が見える木々の影に潜み、一誠は生き残りの生徒達と共に牢屋(笑)の周囲を見回す。
現在、生き残ったのは一誠、ゼノヴィア、イリナ、ゴルドルフ、鮮花、イナバ、葉王、木場だけである。後の生徒は見事に捕まった。そして、イナバはトビオの足止めを行ってるのでこの場に居るのは7人だけである。
「さてと…どうするかな…」
審査員側でも有る一誠はそこまで手を貸せない。一誠は作戦を考える振りをして、他の生徒の動向を見守る。
「決まっておる!!仲間を助けなければ、ムジーク家の次期当主は名乗れん!!僕は行くぞ!!」
「行ってどうする?あの五大精霊を足止めしないと、皆は助けれないぞ」
ゼノヴィアの言う通り、先ずは五大精霊であるスピリット・オブ・ウインドを何とかしなければ成らない。
「あっ…この人に頼めば?この中で一番強いでしょ」
ふと、思った鮮花が一誠を指差す。確かに一誠はこの中で一番強いと思われても仕方がない。
「えっ?俺が行くの?てか、五大精霊には同じく五大精霊を持つ葉王が適任じゃ…」
五大精霊には五大精霊をぶつけるのが良いかも知れない。しかし、あろうことか葉王は一誠の肩を叩いて。
「頼んだ!」
一誠、スピリット・オブ・ウインドの足止め…決定。
「どう…考えてもお前が適任だろ!!」
一誠のツッコミが青空に響いたが、ツッコミで大きな声が周囲に広がる。その為に…
「「「「見つけた」」」」
なんという事でしょう。一誠のツッコミで周囲にバレてしまい、一誠達の後ろにはトビオを除いた試験官の皆様が揃っていたのだ。
「「「「逃げるんだよ!!」」」」
「「「逃がさない!!」」」
一誠達は牢屋(笑)の方目掛けて全力で走りだし、一誠達を追うように青子達も走り出した。
「一誠!!」
「イッセー君!!」
「やってやんよコンチクショーーー!!」
一誠はウインド目掛けてかめはめ波を解き放ったが、ウインドは蚊を払い落とすようにかめはめ波を叩き落とした。
「…」
――その程度か?
と言いたげに一誠を見下ろす風の五大精霊。
「ぬぉおおお!!」
瞬間移動し、ウインドの顔面に蹴りを放つ一誠。しかし、相手は五大精霊。モンハンのリオレウスと比べると遥かに強いのだ。故にパンチやキックじゃダメージを与えることが出来ない。
「…」
「あべし!?」
そして、一誠は地面に払い落とされた…そしてトドメに踏まれた。だが、この間にゼノヴィア達は捕らわれた生徒達を全員救出。だが、彼女達は試験官達に回りを囲まれて包囲されてしまった。
「くそう…」
「ここまでか…」
各々がさまざまな感情を抱く。風の五大精霊に踏みつけられた一誠の事なんか忘れて。
「おー!やってるね」
すると…ドロンと煙と共にイナバとトビオが牢屋(笑)の所に現れる。
「全員揃ってるな。それじゃあ……ぜーんいん!合格!試験は終了だ!!」
「「「「合格!?」」」」
トビオは全員に合格を言い渡した。そう、この試験は鈴を取ったりカワラケを割る必要は最初から無かったのだ。
「そうだ。この試験の目的は独り善がりせずに、力を合わせて共通の目的に立ち向かい、助け合えるかを目的としている。
鈴取りとカワラケ割りは目的であって、合格目標では無い。騙して悪いかも知れないが、君達ルーキーが俺から鈴を取るのは不可能だろ?」
そう言い、左目に予備の眼帯を装着するトビオ。彼の言う通り、トビオ達から鈴を取るのは目的であって合格基準には何も関係ない。ただ、鈴を取る等は団結して1つの目的に立ち向かう為の道しるべしかなかったのだ。
「後日。改めて通知が来るだろう。とは言え、参加してくれた兵藤一誠君は此方側の内通者でね…彼は生徒達からの立場から、君達が頑張ってるかを見てもらう試験官だったんだ。
兵藤一誠君は明日から中忍、他の人で希望者は下忍だね。俺達は初代火影様と一緒に班分けをしないといけないから、今日は解散!!」
下忍試験終了!!そして参加者の生徒達は各々帰っていくが…
「この人のこと、忘れてるぞ!!」
ゴルドルフ、風の五大精霊に踏まれぱっなしの一誠を指差し、叫ぶ。ゴルドルフのツッコミとしての素質が開花しだした。
次回…忍者のお仕事。
一誠「エンマさん。忍者の仕事って今では何をするんですか?」
エンマ「神仏が現代で闊歩した影響なのか、幻獣種が普通に出現するようになってな。害獣に成った幻獣種の駆除とかだな、後はDランク任務。下忍はある程度経験を積むまで、基本はDランク任務だぞ」
一先ず下忍に成ったイナバ(実力は上忍)。彼はゴルドルフと鮮花と共に班を組、班長としてトビオが着いたが…
ゴルドルフ「忍者の仕事って……」
鮮花「なんで…なんで私達」
イナバ「田植えって楽しいなー!」
トビオ「これも忍者の大事な仕事だぞ」