嘗て、エンマは語った。
「お前達。蜂は恐ろしいぞ。その中でも恐ろしいのがスズメバチ先輩とオオスズメバチ大先輩だ」
「スズメバチ先輩はミツバチちゃんやクマバチ君と違い、平気で殺し(狩り)の仕事も行う。殺し、ミツバチちゃんを壊滅に追い込む事も屡々、学園のマドンナを孕まして増殖していき、粉(花粉)の運びやとしての側面も待っている」
「スズメバチ先輩の被害はぶっちゃけ全国レベルだ。なにせ、スズメバチ先輩の被害に遭った人は大勢居るからな。くれぐれもCランク任務とは言え、遠足気分で行くんじゃないぞ!」
と最近、火影としての仕事が忙しく自分からギャグに走れないエンマは教えてくれた。スズメバチ先輩の恐ろしさを。
そして場面は現場の一誠達の所に戻る。
「どっからどうみても在来種の蜂じゃねぇぇぇぇ!!ぜってぇ住んでるのクイーンランゴスタとかランゴスタだろぉぉおおお!!」
今回のお仕事はCランク任務。その中でもお寺のお堂に3日前に突如として出現した10メートル以上の化物レベルなスズメバチの巣。いわ、本音を言えばスズメバチの巣なのか分からない。たまにテレビで様々な蜂の巣が紹介される時が有るが、この巣は3日前に出来たのだ。間違いなく、在来種の物ではない。たとえ在来種だとしても幻獣種とかアッチ系統の物だろう。
「確かに…専門の業者じゃ、これは無理だな」
一誠達と違い、数年以上も裏側で戦ってきたトビオも溜め息を吐きながらそう言った。確かにこの大きさで僅か3日程で大きな巣を作り出した蜂は間違いなく、訓練された業者相手には手に終えない。忍の出番と成るだろう。
「トビオ先生…蜂の幻獣種って?」
「日本に生息してたなんて話は無いな。確かに古来から幻獣種の虫も居るけど、こんな風に巣を作るなんて聞いた事はない」
なんという事でしょう。このように3日で巨大な蜂の巣を作り出す蜂はトビオの経験と学習した知識上、初めての相手だったのだ。
「確か…蜂は夜には動かないと番組で見た。ならば、夜を持って行動した方が良いだろう」
ふと、ゴルドルフがそう言う。確かに蜂は昼に活動し、夜間は動かない。ならば夜を待ってから駆除活動を行った方が良いだろう。だが、それは普通の蜂。今回退治するのはそもそも、蜂かどうかさえ疑わしい蜂?なのだからその常識が通じるかどうかも分からないのだ。
「大丈夫ですよ!我々が貴殿方の成功を願い、念仏を唱えておきますので!」
「「「南無阿彌陀仏南無阿彌陀仏南無阿彌陀仏」」」
そして、ここえ来てお寺に住むお坊さん達の念仏によるエールが炸裂。
「「縁起でもないんですけど!!」」
案の定、ゴルドルフと一誠のツッコミが響く。当然ながら念仏によるエールは縁起でも無いかも知れない。それを指摘された住職ははぁ…と溜め息を吐き出して。
「それじゃあ…ラップにしますね。着替えてラジカセ持ってきますので、待っててください」
住職はそう言うと、ラップを披露する為に着替え、ラジカセを持ってくる為に本殿の方に向かっていった。
「いや、なんでラップ!?他にも有ったよね!?なんでラップなの!?ラップと念仏の二択なの!?」
一誠が叫ぶが既に遅い。他のお坊さん達も念仏からラップの準備に入るためか、着替えるためにその場から去っていった。
「まぁ…良いか。今の内に…」
トビオがそう告げる前に、ズドーンと大きな音が巨大なスズメバチの巣の方から聞こえたのだ。何事かと思い、一誠達が巣の方を見ると、そこには巨大な蜂の巣目掛けてイナバが跳び蹴りを放っていたのだ。それも、唯の跳び蹴りではない。後ろ跳び蹴り、蹴り技では最強とされる跳び蹴りである。
「なにやってんのぉおおおおおおおおお!!」
一誠が叫び、まさかのイナバの行動にゴルドルフも真っ青に成って無言に成ってしまう。だが、行動に移したのはイナバだけではない。
「おら!早く出てきなさいよ!!アンタ達のお陰で迷惑してるんだから!!出てきた所を私の火遁で燃やしてやるわ!!」
鮮花もゲシゲシと巨大な蜂を蹴り始め、スズメバチの巣はギシギシと激しく揺れ始める。
「やめて!!やめてあげて!!スズメバチ先輩が何をしたの!?不法侵入&不法占拠だとしてもやめてあげて!可哀想に成ってきたから、やめてあげてーー!!」
『やかましいわ!!何時やと思っとるんじゃおんどれ!!』
何処から一誠達に向けて罵声を浴びせるような怒声が聞こえてきた。しかし、一誠達の周囲には蜂の巣とお坊さん達しか居らず、巣を蹴っているイナバと鮮花も首をかしげ出した。
「いや…まさか…ハッハ…そんなバカな」
もう、予想外の展開続きで気力を失いかけたゴルドルフが何かに気付く。ガタガタと蜂の巣の一部が窓を開くようにスライドしたのだ。
「えっ?」
「おろ?」
これにはイナバと鮮花も蹴る脚を止め、突如として空いた窓のような所を見る。すると、蜂のように触覚を生やして893のようにサングラスをかけた人が顔を覗かせたのだ。
「なんか…昭和後期のドラマに出てきそうな893っぽい人が出てきた!?」
これには第7班と一誠も大驚き。まさか、巣の中には蜂が擬人化したような893が住んでいたのだ。
「地震かとおもって外を見たら事務所を蹴るとは何事じゃ!ワシ等、関東雀蜂連合をしらんのかいな?ワレェ」
「えっ?…あのどちら様で?」
巣を蹴ってたら893が出てきました。まさかの展開に、一番一般人に近い感性の鮮花がだらだらと汗を流して、蜂のやーさんに問う。確かに蜂のやーさんは関東雀蜂連合と名乗っていたが、鮮花は勿論…イナバやトビオも初めて聞いた名前だ。
「関東雀蜂連合はの…関東の妖怪達では名を知られた組の連合や。泣く子も黙る、ぬらりひょんの頭とも盃を交わした所での…龍が如くで言えば東城会みたいなもんや」
「いや…なんで龍が如くで例えるの!?なんで龍が如く!?妖怪の間でも龍が如くは人気なの!?」
どうやら、妖怪の893だったようだ。
しかし…今の世の中は妖怪でも人として扱う事が法律で決まっており、人間の法律は妖怪等にも適応される。その上、蜂のやーさん達は3日前に突如として巣を作ったのだ。
「取り合えず…この寺院、国の重要文化財だから。重要文化財に無断で事務所建てたら駄目でしょ?取り敢えず行くぞ、イナバ」
「あいさー!!」
その結果、関東雀蜂の事務所はイナバとトビオの手で家宅捜索。その後、取り調べた結果、関東雀蜂連合はやーさんのような外面だが、実際の所は蜂の妖怪のゲーマー集団であり、取り立てたお金の大半はゲームの課金等に使われていたようだ。
後日、不法占拠等で書類送検された関東雀蜂連合の皆様は法的手続きを終えて、その後にeスポーツ日本代表に成るのは未だ誰も知らない。
「ヘイヨー!ヨー!ラップの準備が出来た!ヨー!ヨー!!念仏ラップいっちゃう?ヨー!!!」
「あのすいません。もう終りました」
これにてCランク任務終了!!
次回!時は進み6月。丁度、裏側の真実が明らかに成ってから1年。
着々とレーティングゲーム国際大会の決勝トーナメントの出場者が決まっていく!