御坂美琴になったけどレベル5になれなかった(更新停止中)   作:無視すんなやごらぁぁぁあああああ!

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8話

「……お、あったぞ。木ィィィィ原君が杠林檎に埋め込んだ一方通行のデータ発見」

 

 ここをこうして、こうカチカチして……ポチっとな。

 

「……ふむ、自壊プログラムは……命令は一度だけか。まぁ、一回止めたら再起動するわけないし当然だろうが」

 

 今頃、外で木原相似は垣根君に片づけられてるだろう。出番がまさかの電話での会話しかないとは。悲しい奴だな。

 

「じゃあ、こいつをこうして……、ここをこうしたら……お、行けるか?」

 

 半分妄想みたいなものだったが、これなら杠の生存フラグを立てられるか?

 

「……あ?何やってんだテメェ」

「え、もう終わったの?」

 

 いつの間にか、垣根たちが研究室に戻ってきていた。

 

「木原は?」

「殺した。それで、お前は何やってんだ?」

「調べものだよ。あ、使う?」

「おう、ほら。誉望」

「ハイっス」

 

 垣根に急かされ、誉望がパソコンの前に行く。

 

「……お、ボール遊びか?俺も遊んでやろう」

「えい」

 

 そう言った瞬間、杠が俺の顔面に向かってボールを投げてきた。

 

「酷くね?」

「ふふっ」

「笑うなよ」

「……あん?自壊プログラム?」

 

 すると、杠が目の前で突如倒れこんだ。

 よく見ると、胸が動いていない。心臓が停止している。

 

「おいっ、どうした……林檎!」

「どういうこと⁉」

「……特定の条件下での、臓器への機能停止命令⁉おかしい……この部分だけどう見ても合理性がない、記述式そのものが木原相似のプログラムから外れてます!」

「クソが!おいっ!しっかりしろ!林檎!!」

 

 俺を押しのけて、杠を抱きかかえる垣根。あの、そこ退いてもらわないと治療が……。

 

「おい、機能停止命令の解除はできねぇのか⁉」

「ここの設備じゃできるかどうか……!」

「だぁぁあああもう!退いた退いた!」

 

 垣根を押しのけ、杠の頭に触れる。

 

「おい、何やってんだお前!」

「いいから黙ってろ!俺の演算能力じゃマジで集中しねぇと失敗すんだよ!」

 

 電気信号を外部から脳に送り、臓器停止命令を受けて機能を停止した臓器を、無理やり再起動させる。木原相似も言っていたが、脳ってのは外部から受ける刺激に反応している。なら、刺激を与えて停止命令より強力な命令を送り込めば、なんとかなるはず。

 前にも似たようなことがあった。

 筋ジストロフィーは筋肉が徐々に衰えていき、次第に自分で筋肉を動かせなくなっていき死に至る病気。それを電撃使い(エレクトロマスター)の能力で救えるなら、こっちでも同じことができるはずだ。

 

「……よし、どうだ⁉」

 

 杠の胸元を見る。その胸は……心臓は……

 

「……垣根?」

「……林檎?……林檎!」

 

 少しづつだが、確実に上下に動いていた。

 

「成功……したの?」

「あの状況から助け出すなんて……」

「ふっ、俺に常識は通用しねぇ」

「何パクってんだテメェ。まぁ、今回はお手柄だ。特別に許してやらんでもない」

 

 あ、よかった。殺されずに済んだみたい。

 

「……私…」

「喋るな、今は安静にしてろ」

「……うん」

 

 杠は疲れたのか、そのまま眠ってしまった。

 

「……あ、この後何が起こるか分からないから、杠は病院行きな」

「……病院って、どこのだよ?」

「それは勿論、『冥土返し(ヘブンキャンセラー)』のとこ」

「……ま、そこが一番安全か」

「いいの? あそこには今、一方通行が入院してる。もし鉢合わせたら……」

「問題ねぇ。今はアイツに構ってる暇はねぇし、あの第一位サマが他の超能力者(レベル5)の顔なんざ一々調べちゃいねぇよ」

 

 その後、満場一致であの病院に行くことが決まった。……ふっふっふ、これで俺の思い描いていたあれが見られる!そう!打ち止めと杠の絡みがッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キミはほんと、どうしてこう厄介な患者ばかり連れてくるのかね?」

「別にいいだろ。後、人を疫病神みたいに言うのはやめろよな」

「僕からすれば、君は疫病神なんかよりよっぽど厄介だけどね」

 

 失礼極まりないことを言うカエル顔の医者。あ、ちゃんとした処置を施したので、杠は生きてますよ。しばらくは入院らしいが。

 

「……にしても、割り振られた部屋が……なぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ!次はこのトランプで遊ぼう!って、ミサカはミサカは誘ってみる!」

「……うん」

「なンでこうなった?第二位」

「俺が聞きたいぞ。第一位」

 

 まさかまさかの、打ち止めと一方通行が入院している部屋だったという。つまり、今この部屋には一方通行、垣根帝督、打ち止め、杠林檎、俺と言う奇妙な構図が出来上がってしまった。

 あ、二人が互いに正体を知っているのは、俺がいらんこと言ったせいだと記載しておく。

 

「……おい、何で病室があいつと同じところなんだ⁉」

「いや、だって。あの医者が事情の深い患者をバラバラにすると面倒だからって言って、一纏めに」

 

 ぶっちゃけ、打ち止めと杠の絡みが見れればよかったのに、なんでこうなったんだ?地雷しかないじゃん。

 

「っていうか、あのチビ。何かお前に似てる気がするんだが」

「あ、お姉様も一緒に遊ぶ?」

「いや、俺はいい」

「……あン?お前、こいつらのコピー元(オリジナル)か?」

「イエスイエス」

「……ったく、なんでこんな喧しいクローンが作られるのか、ちっと分かったぞ」

「どういう意味⁉」

 

 なんかすごく失礼なことを言われた気がする。

 

「あ、垣根君。分かってると思うけど、今暴れたりしないでね?」

「お前は俺を何だと思ってんだ?」

「第一位絶対殺すマン」

「ある意味間違ってはいないが、お前とは後で話し合う必要があるな」

 

 え、嫌です。

 

「にしても、クローンなんぞが作られてるとはな」

「全くだ、この街は本当にイカれてやがる」

 

 そんな今更なことを言い合う第一位と第二位。

 

「……さて、俺もそろそろ帰るか」

「あァ?もう行くのか?」

「おう、お前らも仲良くしろよ」

「「誰がするか」」

「めっちゃ仲いいじゃん」

 

 そういって、俺は病室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ、上条当麻様?」

 

 どうなってんだ?なんでこいつの病室があるわけ?

 

「あ、短髪!」

「いい加減名前で呼べよ、それで、今度は何をしたわけ?」

「とうまがまた勝手に事件に首を突っ込んできたんだよ!」

「ちょ、あれは白井も大変だったんだし!」

 

 詳しくは分からないが、残骸(レムナント)がどうとか、座標移動(ムーブポイント)戦った(・ ・ ・)とか言っていた気がする。……え、なんで?……俺が居ないからか。白井さんも怪我をして入院らしい。

 つまり、次は大覇星祭編か。……劇場版?見た事ないからどうしようもない。

 

「……そういや、インデックスって最近上条さんのとこいってんの?」

「そ、それは――」

「そうなんだよ!聞いてくれよ御坂!こいつ、俺の家に泊まり込んでは食卓を荒らしてくんだ!頼むからそっちで引き取ってくれない⁉」

「ぐぬぬぬ!がぶっ!」

「ぎゃあああああああ!」

 

 ……いつの間にインデックスにフラグを立てたんだこの男?風斬の時か?

 

「あ、仲良く暮らしてくださいね。インデックス、上条さんに迷惑かけるんじゃないよ、ただでさえお金が入院費で消えてるんだから」

「うん、わかったんだよ!」

「ちょ!何言って――」

「じゃあねぇ」

「おーーーーーーい!」

 

 上条さんの悲痛な叫びを無視して、俺は病室を出た。

 

「あぁ~疲れた!にしても、今のところハッピーエンドが続いてるな」

 

 とある世界では割と珍しい……くもないが、少なくとも暗部世界では珍しいだろう。

 

「……ん?あれは……」

 

 すると、廊下で金髪で常盤台の制服を着ていて、中学生とは思えないおっぱいをしている目がお星さまの女の子を見かけた気がした。

 

「食蜂操祈?……いやいや、ないない。だってあの子は、一年前の事件で上条さんに覚えられなくなってるはずだからな」

 

 ……あれ?

 

「……一年前?そういや、なんかあったような……なんだっけ?」

 

 この時、実はとんでもないことをしていることに、俺は気づけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼するわよぉ」

「……あ、みさき(・ ・ ・)!」

 

 上条の病室に、みさきと呼ばれた少女が入ってきた。

 

「あ、久しぶりだな!元気にしてたか?」

「えぇ、おかげさまでね」

「そうか」

「そう言えばさっき、『あの人』らしき人を見かけたわよ」

「あの人?……まさか、あの人⁉」

「なんの話?」

 

 唯一話についていけないインデックスが首をかしげる。

 

「あ、お前は知らないよな。……一年位前に、俺と食蜂を助けてくれた人だ。だから、いるならお礼を言いたかったんだが」

「残念、もう帰ってると思うわぁ」

「……だよな」

 

 さて、察しのいい皆様は気づいているだろう。ここでいう『あの人』の正体を。

 

「なにせ、俺たちだけじゃなくて、間接的にも蜜蟻(・ ・)も救ってくれたんだしな」

「最終的にやったのは貴方だけどねぇ」

 

 上条の脳裏に、パーカー(・ ・ ・ ・)フードを被り(・ ・ ・ ・ ・ ・)サングラスをかけた(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)少女の姿が投影される。

 こうして、物語は加速していく。

 

 

 

 

 

 

 




 食蜂の喋り方むずしすぎぃ!

 未だにとんでもない原作改変をしていることに気づいていない御坂。

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