御坂美琴になったけどレベル5になれなかった(更新停止中)   作:無視すんなやごらぁぁぁあああああ!

17 / 45
 
 今回は御坂そんなに出ないです。




14話

「……っち、逃がしたか」

 

 目の前に広がるクレーターを見ながら、木原数多が呟いた。

 

「しかし、さっきのは一体何なんだ?」

 

 木原の脳裏に、御坂美琴の変化した白い姿が映し出される。

 

書庫(バンク)にも乗ってねぇし……、そういや、幻生のジジイがあいつでなんか実験してたって話だな。そっちも漁ってみるか」

 

 木原は車の方へ歩いていき

 

「……そう簡単に逃げられると思うなよガキども」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あぶねぇ!マジで死ぬかと思った!」

 

 どこかの路地裏で、御坂は叫ぶ。傍らには、ダメージからか眠っている一方通行(アクセラレータ)が。

 あの時、追い詰められた御坂は一瞬だけ、雷神モードになり、落雷を自分たちと木原の間に落とすことで目くらましをし、雷神モードの身体能力で戦線離脱したのだ。

 

「……いやしかし、統括理事会は俺を始末することも視野に入れてるとか頭おかしいだろ」

 

 恐らく、アレイスターの指示だそうに違いない。あいつ俺の事嫌いだろうしな。もし会ったらビーカーにピラニア入れてやる。

 

「……悪い、一方通行。俺はこれで失礼するわ。電極は充電しておいてやったからそれで勘弁な」

 

 ぶっちゃけ、こいつと行動して暗部落ちを阻止すると、打ち止めとかに影響が出る。だから、なるべくこいつを魔術に関わらせる必要があるのだ。

 ……海原が『グループ』にいなけりゃ割と面倒だな。どうしよう?

 

「……まぁ、それはあとで考えるか」

 

 次の行動は、まずは上条達に合流して、話はそこからだ。

 インデックスにはヒューズ=カザキリを止めてもらうために打ち止めのところに向かってもらい、上条さんは前方の弁当……ではなくヴェントと対峙してもらう。

 

「……ん?あれは……」

 

 ついに、学園都市の中央にヒューズ=カザキリが出現した。

 

「……っち、ということは、打ち止めは連れ去られたか」

 

 移動に相当時間をかけたから、そうなっていてもおかしくはないが……。

 

「とうまが触っちゃたらひょうかが死んじゃうんだよ!」

 

 すると、御坂の耳にインデックスの声が入ってくる。上条と何かを話しているようだ。

 

「あ、短髪!」

「なにやってんだよアンタら」

 

 すると、猟犬部隊の追手が見えた。多分、こっちにはまだ気づいていないと思う。

 

「……っち、こっちだお前ら」

 

 とりあえず、二人とともに見つからない場所へ向かう。

 

「お願いとうま、あそこにはいかないで!あそこにいるのは、きっとひょうかなんだよ!」

「あれが……風斬?」

「どういう理屈かは分からないけど、とうまだけは関わっちゃダメ!私が何とかするから、ひょうかには手を出さないで!」

「ダメだ。あいつは俺が止める。それに問題は、あいつだけじゃない」

「でも、とうまの右手を使ったら、ひょうかが死んじゃう……」

「死なせねぇよ!殺すためじゃない、助けるために立ち上がるっつってんだ!……あんなのが普通の風斬に見えんのかよ。そんな訳ねェだろ、だったら助けないとダメだろ!行くぞインデックス。風斬を助けるために、お前の力を貸してくれ!」

「見つけたぞ!」

 

 すると、猟犬部隊がこっちを……というより俺を見てそう言った。

 

「見つかったか。ここは俺が何とかする、お前らは先に行け!」

「御坂……」

「こういうのは死亡フラグなんだろうが、俺に任せて先に行け!」

「……死ぬなよ」

 

 そういって、上条達は去っていく。

 

「さてと、いい加減こっちも逃げ回るのに飽きたところだ。纏めて吹き飛べやぁぁぁぁあああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ははっ、スゲーなオイ! ありゃあ一体何なんだ!?」

 

 廃ビルのオフィスを改造した猟犬部隊の拠点の1つで、木原数多は歓声をあげた。

 上層部から与えられたウイルスを打ち止め(ラストオーダー)学習装置(テスタメント)で打ち込んだ結果現れた、謎の光の柱のような、翼のようなもの。

 

「ちくしょう、飛んでやがるなアレイスター!理論のりの字も分かんねーぞ⁉科学者のくせに科学を否定するたぁ、何たる科学者だよ。見ろよお前ら、聖書ってのはいつから飛び出す絵本……」

 

 その問いかけに、彼らは反応しない。圧倒されているのか、それとも木原の命令を守っているのか。

 再び窓の外に視線を向けた木原が見たのは

 

「木ィィィィィ原くゥゥゥゥゥウウウン!」

 

 一方通行(アクセラレータ)だ。彼は猟犬部隊から奪った物であろうライフルを持って窓ガラスを割りながら侵入。そのまま木原に照準を合わせる。

 一方通行が発砲するが、木原は部隊の一人を盾にして回避。

 

「ほら、ちゃんと狙って撃てよ。じゃねーと、皆の迷惑だぜ!」

 

 一方通行はその挑発を無視して次々と猟犬部隊を壊滅させていき

 

「う、動くな!」

 

 その圧倒的な力に怯えた猟犬部隊の一人が怯えた声で、打ち止めを抱き人質にする。しかし、それは悪手だった。

 

「あァ?」

 

 瞬間、男には一方通行が消えたように見えた。

 そして、一方通行は隙だらけの男をライフルで殴りつけ、打ち止めを救出する。

 

「カッコイイーっ!惚れちゃいそうだ一方通行(アクセラレータ)ァ!」

「さァて、スクラップの時間だぜェ。クッソ野郎がァァァァ!」

 

 その怒号にさらされても、木原の余裕は消えない。

 一方通行は木原にとびかかるも、彼の拳で殴りつけられる。

 

「どうした小僧! あのガキを助けに来たんじゃねえのかよ?」

「クソッタレが……!」

「おい、テメエ。ここで一人のガキ助けるためにデカい悪に立ち向かって。もしかして自分のことカッコイイとか思ってんのか⁉これで自分のやってきたことチャラにできるとか思ってんのか?んなわけねえだろ! ハハッ、テメエは一生泥の中なんだよ!」

(分かってンだよ。一生泥の中ってことくらい。地獄に落ちるのは俺とオマエだけで良い。このガキまで巻き込むンじゃねェ!)

 

 そう思い、再び一方通行は木原にとびかかる。この時、木原は確信していた。自分の勝利を。

 一方通行は、首につけているチョーカーで、演算能力を保っている。そして、能力を使用する場合、その充電の減りは比較にならないほど加速する。本来なら、もう時間切れになる。

 ……はずだった。

 

「オラァ!」

「ぐはぁ!」

 

 当たると思っていなかった一方通行の放った拳は、木原の顔に突き刺さる。こないと思っていただけに、無防備だった木原は、ベクトル操作で強化された拳に吹き飛ばされた。

 

「……どうなってやがる、なんでまだ、チョーカーが動くンだ?」

 

 その声は、一方通行のものだった。彼は知らないだろうが、チョーカーは一度、最大まで充電されているのだ。

 そして、チョーカーはまだ三分ほど動く。

 

「……この、クソガキィィィィィイイ!」

 

 激高した木原が一方通行に飛び掛かり、拳を振るう。一方通行の反射は、彼の拳には通用しない。もろに殴りつけられ、打ち止めの所まで吹き飛ぶ一方通行。

 

「舐めやがって!テメェ如きいつでも殺せるんだよ、ちょっと遊んでたら調子に乗りやがって!」

「いた、あの子だ!」

 

 その声は、二人のものではない。そこへ介入してきた第三者のものだった。

 その子は、一方通行も一度出会った、銀髪のシスター、インデックスだ。

 

「何だ?こっちは仕事中、邪魔すんな」

「来ンじゃねぇ!」

「ダメだよ、ひょうかを助けないと!それに、その子も……」

 

 その言葉を聞き、一方通行は再び立ち上がる。

 

「おいテメェ、そのガキを助けられるか?」

「任せて」

「はっ、そんなガキに頼るとは、とうとう頭がイカれちまったか一方通行(アクセラレータ)?」

 

 一方通行は木原から、インデックスを守るように立ち塞がる。

 

(やっぱりこの子が全ての核だ。基本は天使の構築で、形のない天使の力(テレズマ)を人のイメージという袋に押し込めている)

「……あ、携帯がない⁉」

 

 どこかで落としたのか。すると、一方通行が

 

「どうした⁉」

「私に分からないことがあるから質問しようと思ってたのに、携帯を落としちゃって……」

「何が分かんねェンだ!」

「脳波を応用した電子的ネットワークって言う……」

 

 恐らく、ミサカネットワークのことだろうか、と推測を立てる一方通行。

 

発電能力者(エレクトロマスター)たちが脳波を使って、電子的なネットワークを構築する事だ!」

「え……、じゃあ、学園都市に蔓延しているAIM拡散力場っていうのは?」

 

 一方通行は地べたを踏みつけ、振動を起こし木原を牽制する。

 

「学園都市の能力者が、無意識に発生させている力のフィールドのことだ!」

「この……、クソガキィ!」

 

 一方通行が木原に殴られるも、隙を見て横腹を蹴り飛ばそうとする。それをバックステップで躱す木原。

 

(要するに、街中には特殊な力が充ちていて、それを束ねるのがこの女の子で、この子の精神を縛ることで特殊な力を捻じ曲げ天使を作っているだけ……)

「それなら、この子の頭の中にある結び目をほどけばいいんだよ!でも、この考えを具体的な手段にするには……」

 

 一方通行が自分を信じ、守るために戦っている。

 インデックスは彼から聞いた情報を信じ、この胸糞悪い悲劇を終わらせる回答へ辿り着く。

 

「……歌」

「あ?」

「祈りは届く。人はそれで救われる。私みたいな修道女は、そうやって教えを広めたんだから!私達の祈りで救ってみせる。この子も、ひょうかも、学園都市も!」

 

 そして、インデックスは自身の知識を総動員し、歌声を響かせていく。

 

「なるほど、それも非科学か。めんどくせぇな、ぶち殺すわ」

「させ、るか……っ!」

「サービス精神旺盛なのはいいことだが……」

 

 そこで、糸が切れたように倒れ伏す一方通行。ついに、イレギュラーによる恩恵も途絶えた。

 

「ハハハハハハハッ!電池が切れりゃあ、ただの動かないガラクタってか⁉」

 

 しかし、そこで諦めるようなら、彼はここに立ってはいない。

 少しづつ、確実に一方通行は立ち上がる。たった一人の少女を助けるために。

 

「木……原……。木原ァァアアアアアアアア!」

 

 そして、互いに激突する。

 木原が一方通行の顔面を殴りつけ、それに耐えた一方通行が反撃する。だが、ベクトル操作のない拳では、木原に高いダメージは与えられない。

 

「響かねえぞ、小僧!」

 

 木原の拳を受けた一方通行が、再び床に倒された。

 

「よーし、調子が出てきた。ハハッ、もうちょっと面白くしてやるからさ、もっとやる気出してくれよ!」

 

 そういって、木原は胸元から手榴弾を取り出し、ピンを抜いて一方通行の顔に落とす。

 手榴弾は一瞬で爆発し、一方通行の顔を煙で覆う。それを確認した木原が笑い出すが、すぐにそれは止まった。立っている。一方通行が、だらりとした様子で立っていた。

 その背中には

 

「何、だよ……その背中から生えている、真っ黒な翼はァ!」

 

 すると、一方通行は凄まじいスピードで木原に飛びつき、彼の顔を掴んで窓際に持っていく。

 

(コイツ……『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』に、何の数値を入力した?)

 

 そして、顔を掴まれたまま宙に持ちあげられる。どう考えても一方通行の握力と筋力では、能力なしに不可能な所業だった。

 

(まさか、天使だのなんだの……、それに、あのガキの、あの力の正体は……っ)

 

 そこで、木原の脳裏に、最初に見た御坂美琴のあの白い姿が映し出される。

 

「ハハッ、気づいてんのかよ、バケモノ!」

「ihbf殺wq」

 

 ノイズが混じった声と殺意とともに、黒い翼に吹き飛ばされ木原は闇に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 




 あれ?主人公入れ替わってる?

 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。