御坂美琴になったけどレベル5になれなかった(更新停止中)   作:無視すんなやごらぁぁぁあああああ!

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15話

「……思いのほか、早く片付いたな」

 

 狩猟部隊が倒れ伏す道路で、ただ一人立ち尽くす御坂が呟く。

 

「……あん?」

『初めまして、御坂美琴さん』

「誰だ?」

『学園都市のものです』

 

 御坂の前に駆動鎧(パワードスーツ)の部隊がやってくる。

 

「何の用だ?」

『単刀直入に言えば、我々と行動を共にするつもりはありませんか?』

「……それは脅しか?それとも……」

『さぁ?ご自由にお考え下さい』

「じゃあ断る。そもそも、俺は戦争なんぞに関わるつもりはない」

『戦争についてはお答えできませんが、それは残念です』

 

 単純に質問していただけなのだろう。彼らはあっさり引き下がった。

 本来、暗部など、余程のことがない限り入ることなどあり得ない。

 

「……一方通行は、ちゃんと暗部落ちしそうだな」

 

 それはいいことではないかもしれない。でも、必要なことだ。

 

「……さて、帰るか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 十月三日。

 御坂は学校で、憂鬱な気分に陥っていた。

 

「あれ~どうしたの御坂ちゃん?」

「……立夏」

 

 御坂の前にいるのは、彼女の友人である富士丸立夏(ふじまるりっか)。どこかで聞いたことある名前なのは気にしてはいけない。

 とてつもないコミュ力を持ち、ぶっちゃけ喋り方とか性格でボッチ気味である御坂の唯一の友人でもある。

 因みに、昔彼女に女子力が欠けていると言われ、服を選ぼうとしたが、何故かその時の記憶を思い出せない御坂であった。

 

「なんていうかさ、最近雰囲気出てるじゃない」

「あぁ、戦争?」

 

 そう、戦争だ。

 

「……大丈夫だよ、きっと、多分、もしかしたら」

「安心できる要素が一つもねぇ」

 

 まぁ、それが現実である。

 

「……あぁ、そういや、まだやることがあったんだった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、一方通行は夜道を歩いていた。

 九月三十日事件の後、自身の行動で生じた借金の為に、暗部で活動することになり、つい先ほども駒場利徳というスキルアウトを始末したところだった。

 その後、御坂美鈴と出会ったが、偉く酔っぱらっていたのでタクシーに押し込んだ。

 

「……あン?土御門かァ?」

 

 急に、彼の持っていた電話が鳴る。

 

『お耳に入れておきたい案件があったのですが、ちょうどよかった。今始まったところですよ』

 

 何の話だ。そう思った時、鈍い音が響いているのが聞こえた。そちらを見ると、離れた場所にある1つのドーム状の建物から煙が出ているのが確認できる。

 

『かの御坂美鈴様より、断崖大学のデータベースセンターの利用申請が出されていたものですから、そちらを襲撃させていただきました』

「……ンだと……っ」

 

 一方通行は、御坂美鈴の正体を知っている。彼女は御坂美琴の母である。

 

『回収運動、という言葉はご存知ですか?』

 

 この間の九月三十日事件によって、学園都市とローマ正教との摩擦は表面化した。

 そのために学園都市が戦場になる事を恐れた保護者が、子供を安全な地方に移そうと運動を始めたのだ。その運動の中で、御坂美鈴は保護者代表の様な立場に居るらしい。

 そして、学園都市は彼女を『人質』にしようとしている。『始末』ではなく。

 

『彼女を使えば、「御坂美琴」をこちらに引き入れることが出来る。今回の件はスキルアウトに依頼したのですが、いやあ、手際が悪い。貴方も参加しますか?』

「お断りだ。俺の人生は俺のもンだ。そっちにどンな思惑があるのかは関係ねェ」

『そうですか。なら早く帰宅してください。それまであなたの能力はこちらで預かっておきますね』

 

 その瞬間、チョーカーに違和感が現れる。

 

「お前、電極に細工を――」

『では失礼させていただきます。おやすみなさい、一方通行』

 

 通話が切れる。

 一方通行は舌打ちするが

 

「御坂美鈴を助けりゃあ、上は歯ぎしりするんだよなァ」

 

 すると、彼の目の前に

 

「だぁあぁああああ!完全に寝過ごしたぁぁぁああああ!」

 

 そんな叫びを上げながら走り去っていく、御坂美琴の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、出ろっての!」

 

 何度も電話を掛けるが、母さんは出てこない。

 

「……おん?あれは上条さん?」

「……あ、御坂!」

『え、美琴ちゃんがそこに……?』

「なるほど、通話中だったのか」

「お前、なんでここに?」

 

 言えない。本当は捕まる前に助けようとしてたのに寝過ごしたなんて言えない。

 

「お、お前が走っていくのが見えたからな……」

「そうなのか?……そうだ、美鈴さんがスキルアウトに攫われたんだ。なんでか分かるか?」

「そりゃお前、決まってるだろ。回収運動だよ」

『どういうこと?』

「つまり、母さんがやろうとしていることは、この街からしたら邪魔でしかないんだ。だから……、つまり、能力者は貴重な戦力なんだよ。たとえ実際に実戦投入しないにしても、情報戦では十分役立つ」

 

 それに、と、御坂は心の中で付け足す。

 なぜ、九月三十日事件の時に、学園都市がこっちにも接触してきたのか不思議だったが。こういうことか。

 母さんを人質に、俺に暗部落ちを迫ろうと言ったところか。

 

「まぁつまり、母さんが動くとそれに倣って他の保護者だって動くだろうし、それは学園都市からすれば邪魔ってこと。だから……」

『……この街が、不良に依頼したって言うの?』

 

 母さんの声が震えている。まぁ、この街が自分の想像よりもロクでもない街だと分かったからだろう。

 

「とにかく、俺もすぐに助けに行くから――」

『美琴ちゃんは来ちゃダメ!』

 

 突然、母さんが叫んだ。

 

「ちょ、何言ってんだよ!そんなわがまま言っている状況じゃ……」

「御坂、お前は帰れ」

「はぁ⁉」

 

 突然、上条がそんなことを言う。

 

「いや、俺の母さんだぞ!いくらお前でも……」

「大丈夫だ、お前は安心して待っててくれ」

 

 こういう時の上条は、絶対に譲らないだろう。

 

「……分かった」

 

 仕方ない、そう思い、その場を去る御坂。

 

「……これでいいですか?」

『……ありがとう、連れ戻しに来た私があの子に助けられちゃったら、もう合わせる顔がないもの』

「必ず、アナタを助け出します」

 

 そう言うと、上条は電話を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言えば、母さんは助かった。

 なぜかやってきていた一方通行とともに、上条は見事に母さんを救出。リーダー格の男をぶん殴り、事件は解決した。

 

「……とりあえず、俺の暗部落ちは避けれたか」

 

 しかし、どうしたものか。一方通行は暗部落ち確定。

 それだけならまだしも、俺まで暗部落ちさせるためにあの手この手を使ってくる。

 今日は十月九日。

 

「くそっ、俺は100人以上のスキルアウトを束ねていた組織のリーダーなんだぞ……」

 

 つまり、暗部抗争編に突入した。

 後ろの方で呆然と呟く浜面を尻目に、御坂はため息をついた。

 

 

 

 

 






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