御坂美琴になったけどレベル5になれなかった(更新停止中)   作:無視すんなやごらぁぁぁあああああ!

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 なんでも別の国には行けるらしいですね。教えて下さりありがとうございます。



22話

 扉から騎士団長が姿を現し、案内されて扉を抜ける。すると、大きな広間のような場所に出た。

 そして、その中央に、一人の女性が立っている。

 彼女こそ、イギリス女王エリザード。公務でジャージを着ようとする愉快な女王だ。彼女の手には、切っ先のない巨大な剣が握られている。

 

「これはカーテナと呼ばれる、王族専用の剣だ。よく来たな、さぁこちらへ」

 

 そういわれ、インデックスが女王のもとへ向かう。

 

「かーてな?」

「日本だったら銃刀法違反だな」

「そこではないでしょう……。あの剣の所有者は、疑似的にですが天使長神の如き力(ミカエル)と同質の力を得られますからね」

「天使長?」

 

 この頃はまだ、天使で大騒ぎしていたが、新約となっては魔神だのなんだので天使どころじゃなくなったな。

 

「あらゆる天使の中で一番強くて偉い存在のことなんだよ」

「へ、へぇ……」

 

 それが重要なものだと分かった上条は、決して当たったりしないよう右手を隠す。

 そして、その動きをしっかりと見ていた女王は、安心させるように言う。

 

「仮に何かの因果でこいつが破壊されたとしても、誰も責めはせんよ。そもそもこいつはカーテナ=セカンドだからなぁ!」

「いや、名前だけ言われてもさっぱりなんですけど……」

「要は二代目ってことでしょ?」

「そういうことだ。最初の一本目であるカーテナ=オリジナルはどこかへ行ってしまってな」

 

 子供が物を無くした時の言い訳みたいなことを言う女王。

 

「仮にこいつが折れても、新たなカーテナが生まれるだけだ」

「まったく、そんな訳がないわ。カーテナ=セカンドは確かに後生に作られた二本目ですが、現在ではその二本目をつくる製法ですら失われている」

 

 別の場所の扉が開き、青いドレスに身を包んだ女性が入ってくる。

 すると、上条が誰あの人?みたいな表情で神裂を見て

 

「第一王女、リメエア様です」

「言ってくだされば部下の者を……いえ、私が直接出迎えに上がりましたが――」

「ああ。いけません、いけません。みすみす背中を刺される危険を増やしてどうするの?(わたくし)は、私を知るものに、私の信頼を預けるつもりはないのだから」

 

 その言葉に、騎士団長はため息をつく。

 すると、また別の扉が開き

 

「また姉上はジメジメしてるの?世界の全部が信じらんないなら、とっとと死んでしまえば丸く収まるのに」

「あねうえ?」

 

 胸元が強調された赤いドレスに身を包む女性が、騎士のような護衛を連れてやってくる。

 

「……第二王女のキャーリサ。歴史くらいは学んでおいたら、少年?」

「上条さんはバカだから教本で勉強しても覚えらんないだろうがな」

「酷くね⁉でも事実だから何も言い返せない!」

「ヴィリアン、お前も来ていたの?」

 

 すると、キャーリサさんが別の方向に視線を向け、全員がその方向を見る。

 視線を向けられた緑色のドレスに身を包む女性は、社交的な礼をするだけで何も話さない。

 

(わたし)の妹の第三王女。……ふっ、つまらない奴だろ?」

「……」

「さて、他の連中も集まる頃合いだろう、それじゃ適当にトンズラするか」

「……は?」

 

 そういうわけで、女王たちに連れられ個室のような場所に行く。

 

「時には少人数短時間で話を決めてしまったほうが、効果的な場合もあるからな」

 

 だったらなんで俺がこんな場違いな場所に?と、上条さんは小声で愚痴を漏らす。インデックスはさっきから静かだと思ったらいつの間にか眠っていた。

 

「女王様にお姫様、思わず一枚撮りたい人たちばっかりなのに……何してるんすか?」

「撮影したいのではなかったの?……ふっ」

 

 上条さんの携帯目線で決め顔を作る第二王女。

 上条が困惑しながらも写真を撮ろうとすると、今度はそこに第一王女が横入りしてきて

 

「うわっ」

「この私が見切れているのは許せないわね……もっとこう近づけば……っ」

「お~、どうせ取られるなら主導権くらい握っておきたいものだしなぁ」

「……私は別に……」

「なんだこれ?」

 

 さらに、後ろから第三王女が、ソファをまたがるようにしながら映り込もうとする。

 上条が三人の王女に板挟みにされていると

 

「貴様らぁ!主役の私を置いて撮影開始とはどういうことぐはぁぁああああ!」

 

 エリザードまで飛び出そうとし、いよいよ収拾がつかなくなりそうになると、騎士団長が女王に強烈なタックルをかます。

 女王はその余りの威力に吹き飛ばされていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、漸く真面目な雰囲気になり、女王が話題を切り出した。

 

「議題はフランスについてだ」

「フランスとは?」

「問題の発端は、ユーロトンネルの爆破事故だ。私はこれを、フランス政府による破壊工作であると判断した」

 

 ユーロトンネル。

 ドーバー海峡の海底を貫き,イギリスのフォークストンとフランスのカレーを結ぶトンネルで、最近ここが破壊されたことがニュースになって流れていた。

 因みに、御坂は基本的にニュースを見ないので、これのせいで時期を確認できなかったという理由もあるが、本人は気づいていない。

 

「証拠はあ・る・の・か・な?」

 

 第二王女がビスケット片手に、今すぐにでも戦争がしたいと言わんばかりの反応を返す。

 

「そのために招集したのが禁書目録だ」

 

 トンネルの爆破には魔術が使われた可能性がある。だからこそ、すべての魔術を解析できる禁書目録を必要とした。

 

「ことに、フランス系ローマ正教の術式が使われていれば、ただしく解析してくれるだろう」

「この問題の構図は、イギリスとフランスの(いさか)いではなく、イギリスと学園都市、ローマ正教とロシア成教の対立と考えるべきよ」

 

 第一王女の言うように、構図としては『イギリス清教&学園都市』VS『ローマ正教&ロシア成教』というもので、これがフランスとの摩擦に繋がっているとみている。

 

「現状、イギリスは孤立しつつあります」

 

 騎士団長が発言していると、神裂の携帯から着信音が鳴る。

 彼女は電話に出るため、邪魔にならないよう場所を移した。

 

「あぁ。だが、問題はそれだけではない。先ほどのハイジャック事件の渦中で、一つ気になる事実が見つかった」

「気になる事実?」

「あの件の解決には、必要悪の教会(ネセサリウス)の力を借りていたのだが、何者かが遠距離から「幻術」を妨害した形跡がある」

 

 元々、イギリスの仕掛けた「幻術」により、コックピットの燃料メーターの表示が改ざんされているはずだった。

 燃料メーターの低下によって幹線道路への不時着を余儀なくさせ、後は『騎士派』が『ロビンフッド』という霊装によって壁ごとテロリストをぶち抜く予定であったのだ。

 しかし、その事態が起こることはなかった。

 

「問題は、その『妨害』の出所が、同じ英国のスコットランド地方だったことだ」

 

 ビスケットを齧りながら、女王は苦しい表情で言う。

 

「敵は外だけではないのか」

「イギリスとフランスの間の諍いだけでも頭が痛いのに、国内にも独立したテロリストが存在する、と」

 

 すると、電話を終え戻ってきた神裂が、新たな情報を公開する。

 

「テロリストの素性が割れました。組織名は『新たなる光』、構成人数は四人。また、何らかの発掘作業を行っていた節があります」

「発掘?鉱山で宝探しか?」

 

 御坂が冗談交じりにそんなことを言う。

 

(話が長いイギリス編の内容は記憶から抜け落ちていたが、ここまでの話でようやく断片的に思い出してきた)

「その発掘した何かをロンドンに持ち込み、破壊活動を行うといったところかしら?」

「となればやるべきことは二つだな。外敵であるフランスに対応するため、ユーロトンネル爆破の原因を調べること。内敵である魔術師の所属と狙いを探り、必要に応じて撃破することだ」

 

 そして、女王は騎士団長のほうを見て

 

「外敵、対フランス用のユーロトンネル調査は『騎士派』が。内敵、イギリス内の魔術結社については、『清教派』にそれぞれ主導権を預ける。ただし、禁書目録はこちらの調査のために、別行動とさせてもらう」

「ふぁ……?」

 

 眠気眼でインデックスが応答する。

 

「ふ~ん。で、ぶっちゃけ俺と御坂はなにしたらいいの?」

「とうま、事件が起きたら行かなきゃいけない、っていうのはとうまの悪い癖だよ」

「いいんじゃない?必要悪の教会(ネセサリウス)だって人員不足なんだろう?」

「い、いえ!……民間人を危険にさらすのは、得策とは思えません」

 

 まぁ、当然の結論だろう。

 

「あぁ~そうだな~、民間人なら無理に協力してもらう必要もない……」

「お、ラッキー。じゃあここでのんびりしてようぜ御坂?」

「そうはいっても、俺たちのここでの宿泊費ってどうなるんっスか?」

「もちろん、国益を伴わない人員の滞在費用については、後日別途で請求させてもらうことになるが、構わないな?」

「え……、」

 

 こ れ は ひ ど い。

 

「な~に、悪趣味な高級ホテルのスイートホテル2、3部屋分だと思ってもらえば、安いもんだろ?」

「「……イギリスの平和の為に謹んで協力させてもらいます」」

 

 この脅しに勝てるほど、御坂達は経済面が豊かではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロンドンの持つ、何百年単位の歴史的な街並みの景色をぶち壊しにするような赤いオープンカーが、道路を走っている。

 その席には、上条ともう一人、金髪巨乳の女性がいた。

 

「しっかし、まさかアンタが出てくるとはなあ」

「まぁ、お姉さんにも色々あってね。ちょっとした取引をして、今ではイギリスのために腕を振るっているわ・け。……ふぅ」

「うわぁ!」

 

 彼女はオリアナ=トムソン。

 かつて大覇星祭でリドヴィア=ロレンツェッティと共に『使徒十字(クローチェディピエトロ)』を持ちだして、学園都市を支配しようとしていた魔術師の『運び屋』だ。

 

「ところでさ、どうして俺はここなんだ?」

 

 二人乗りのオープンカーにも拘らず、上条達以外の声が響く。

 御坂だ。彼女は能力で発生させた電磁力で、車の後部に張り付くように座っている。

 

「しょうがないじゃない。この車は二人乗りなんですもの」

「だからってこの扱いは酷い。只の荷物じゃねぇか」

「落ち着けって御坂。そこだと……あれだ、風を感じられるだろ?」

「風になろうよってか?馬鹿にすんな!一歩間違えたら事故だわ!っていうか、下手したら警察沙汰だろ」

「ちゃんと幻術で貴女の姿は、車の外からは見えなくしてあるから大丈夫よ。……捕まって」

「え、ちょなにをぉォォォォォォ!」

 

 そんなことを言い合っていると、突如オリアナが方向転換する。

 

「奴らの一人がへました様ね」

 

 すると、目の前の横断歩道で、顔をキャリーバックで覆いながら立ち去ろうとするものが。

 

「あからさまに怪しいな」

「そうね、それじゃあ――」

 

 すると、オリアナは紙切れを取り出し、キャリーバックを持った人物に向かって放り投げる。

 次の瞬間、紙が爆発した。

 

「……お、おい。ちょっとやりすぎじゃねえのか?」

「いいえ、むしろまずそうよ」

 

 オリアナが運転席のドアを開け放ち、ほとんど転がるようにオープンカーから降りていく。

 

「文句はないですよね?」

 

 すると、いつの間にかやってきていた『尻尾』のある少女が、オープンカーに向かって槍のようなものを振り下ろそうとしていた。

 

「食らえ必殺ビリビリ!」

「ちょ、何⁉」

 

 させまいと御坂は、不意打ちで電撃を放つ。どうやら、オリアナのはった幻術が功を期したらしい。

 

「っというわけでテロリストさん、触ると火傷するぜ!」

「っち、この力、超能力ですか。厄介ですね、まさか学園都市が動くなんて」

 

 少女は槍を、御坂は全身から電気を発生させ、互いを威嚇する。

 次の瞬間、二人の少女が激突した。

 

 




 本当はイギリスクーデターは話が長くなると分かっていたから省略しようとしたのに……どうしてこうなった?

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