御坂美琴になったけどレベル5になれなかった(更新停止中)   作:無視すんなやごらぁぁぁあああああ!

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 科学と魔術が交差するとき、物語は始まる。




5話

 佐天さんから連絡を貰ったが、木山先生に研究の進み具合を聞きに行った初春さんと連絡がつかなくなったらしい。

 それは既に白井さんも知ってるらしいが。あ、前に会った時に連絡先を交換していたのだ。ようやく普通の友達に会えたぜ。

 

「研究所に行ったところで無駄だな。やっぱ現場に行くしかないか」

 

 しかし、今の俺はレベル3。木山先生には勝てない……そう思ってる画面の前の皆さんにご朗報!

 

「たららららったらー!幻想御手(レベルアッパー)!」

 

 ……はい、別にふざけたわけではありません。

 この幻想御手は俺が独自の改造を施し、木山先生の脳波を完全に切断。その上で、同じ電撃使い(エレクトロマスター)の脳波にリンクすることで、一時的な演算能力上昇を付与する優れモノなのだ!

 

「つまりご都合主義全開の代物と言うわけだ!」

 

 そんな訳で、現場に行くぞーーー!……疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

「到着っと」

 

 案の定、警備員は全滅している。

 

「……あ、初春さん!」

「――安心していい、戦闘の余波を受けて気絶しているだけだ。命に別状は無い」

 

 出たな一章ラスボス。

 

「調べさせてもらったよ。御坂美琴。学園都市では割と普通の電撃使い(エレクトロマスター)、そのレベルは3。それなりではあるが、私を倒すなら物足りないと思うが?」

「知ってる。でもな、人間には、引けない時があるんだよ」

 

 俺の場合、これ以上原作乖離をしたらアレイスターがガチギレする。もう学園都市にいられなくなっちゃう!

 

「なるほど、君の言うことは間違っていないな。かくいう私もそうなのだから」

 

 ……そういえば、木山先生ってどんな能力使うんだっけ?

 

「君に一万の脳を統べる私を止められるかな?」

 

 無理です(真顔)。

 

「ふっ」

 

 先生が手を振るうと、俺の足元に穴が開く。

 

「ちょ、落とし穴の能力とかあんの⁉」

「まだまだ」

 

 続いて突風を発生させ、俺の周囲を吹き飛ばそうとする。

 

「回避ーっ!……あ、しまった!」

 

 ギリギリで風の包囲網を抜けるが、その拍子に念のために持ってきていた幻想御手を落としてしまった。

 

「畜生!食らえ必殺ビリビリ!」

 

 俺の出した電撃は、木山先生のバリアみたいな能力ではじかれる。

 

「鬱陶しぃな!」

 

 さらにそこから、風の斬撃を放ってきたり、橋を崩落させたりしてくる。

 

「落―ちーるーっ!」

 

 前に、電磁力で高速道路の柱に埋まっている砂鉄に引き寄せ留まる。

 

「かーらーのーっ!」

 

 そこから壁の一部を引き出して、木山先生に投げつける。

 

「ふんっ」

 

 それを先生は、手から出したレーザーのようなもので粉々にする。

 

「っち!」

 

 そういえば、この後は確か、俺が居る場所の壁を引き抜いてたっけ?

 そう思い、柱から降りる。頭上と言う優位を失ったのは痛いが、背に腹は代えられない。

 

「もうやめにしないか?私は『ある事柄』について調べたいだけなんだ。……君たちが日々受けている能力開発。あれが安全で人道的なものだとでも思ってるのか?」

 

(思って)ないです。

 

「学園都市上層部は、能力に関する重大な何かを隠している。それを知らずに学園都市の教師は、学生の脳を日々、『開発』してるんだ」

 

 大方、不安がらせてこちらの戦意を挫こうといったところだろうが、俺は全部知ってるんだよなぁ。

 

「それがどんな危険な事か分かるだろ?」

 

 っていうか、一番危険なのは木原なんだよなぁ。能力関係で問題起こすのって暗部か木原くらいなんだよなぁ。

 

「どうでもいい」

「なに?」

「そんなこと、俺には関係ないってことだ!」

 

 磁力で砂鉄の剣を作り、木山先生に向かっていく。レベル3でもこれくらいなら出来る。流石に触手は無理だが。

 

「無駄だ」

 

 しかし、木山先生の能力には敵わないようだ。

 

「……残念だ。君とは分かり合えないらしい」

 

 そう言うと、木山先生は念力でゴミ箱とその中の空き缶を大量に放り投げる。

 

「さぁ、どうする?」

「ちまちま吹き飛ばすのもめんどくせぇ!」

 

 近くの大岩を磁力で持ち上げ、即席の巨大ヘルメットにして木山先生に突貫していく。

 上ですさまじい爆発が起きたが、ヘルメットは崩れなかった。

 

「……やるな」

 

 視界の端で、木山先生が持っていた空き缶がテレポートするのが見えた。

 俺は咄嗟にヘルメットを背後にセットする。その瞬間、背後で爆発が起こった。その余波で俺は倒れこんだが、折角なので利用させてもらおう。

 

「ふむ、こんなものか。……恨んでもらって構わんよ」

「引っかかったな!食らえ劣化磁力砲!」

「何⁉」

 

 完全に不意打ちだ。この状態では演算も間に合わないはず。

 その予想通り、木山先生は俺の飛ばしたコインで吹き飛ばされていく。

 

「ぐはっ!」

「ふぃ~。なんとかなったか」

 

 研究職の木山先生は、そこまで体力があるわけではない。木原みたいな余程イカれた奴らでもないなら、これで十分ダメージを与えられる。

 ……にしても、さっきから明らかに俺のやってる演算が普段とは別物になってるんだが。命の危機でレベル5級の力が出せるようになったのか?

 

「ぐッ……まだだ!」

「もうやめにしないか?これ以上やっても――」

「ふざけるな!こんなところで終われるものか!」

 

 だよなぁ。今回俺は劣化磁力砲で吹き飛ばしただけだから電気的な回路が繋がって記憶を見る……なんてことはなかったが。

 

「アンタに何があったのかは、おおよそ察しがついてる。豪く教師のことに感情移入してたし、昔は教師でもやってたのか?」

「ッ⁉」

「図星か。そんでもって、その教え子が能力開発の事故で被害に遭ったってところか」

「……君に…」

「幻想御手はその教え子を救うための手段の一つってわけだ。全く、いくら大事な教え子を救いたいからって他の誰かを傷つけていいわけじゃ――」

「君になにが分かる!」

 

 突如、木山先生が俺に向かって叫ぶ。

 

「知った風な口を利くな!あんな悲劇は二度と繰り返させない、もう二度とだ!そのためなら私は何だってする!この街の全て(・ ・ ・ ・ ・ ・)を敵に回しても止まる訳には行かないんだっ!」

「……」

 

 確かに、ちょっと偉そうだったのは認めるが、それでも本末転倒なのは変わりないだろ。

 

「ぎぃっ!がぁぁあああああああああ!」

 

 あ、時間切れか。っていうか、今回割とシリアスだな。上条が絡まないだけでこんなに違うものなのか?

 

「がぁ……これは、ネットワークの暴走…? ……いや、これは…虚数学ッ…あぁぁぁああぁあああああぁあぁッ!!!」

「お、おい?大丈夫か?」

 

 流石に心配になってくる。

 すると、木山先生の頭部から白っぽい半透明の胎児みたいなのが、何かに搾り出されるように飛び出した。頭の上には所々途切れてるけど輪っかが浮かんでるし、やはりエイワスや風斬と同種で間違いないらしい。

 

「キィャァャァッヤァァァァッァアアアアアァアァァヤァアヤァャァャャャッャァ」

「喧しいわクソ野郎!だぁぁあああもう!」

 

 子供の癇癪のように触手を振り回し、能力で作った氷の柱を飛ばしてくる胎児。それを紙一重で躱し続ける。

 

「御坂さん!」

「初春さん!俺の癒し枠!」

 

 すると、警備員(アンチスキル)が応戦してくれた。

 

「……げ、あの警備員何ボサッとしてんの?」

 

 仕方ない。

 俺は近くに落ちていた鉄板を磁力で引き寄せ無理やり引きはがす。

 

「なにやってんだ!死にてぇなら俺の見てないところでやれ!」

「あ、あなた誰⁉一般人がこんなところで――」

「うっせぇ邪魔だからどっかいけ!」

 

 畜生!もうどうしたらいいんだよ!

 

「……ん?あれは……」

 

 俺が落とした幻想御手⁉やった!これで何とかなるぜ!

 

「トゥントゥクトゥントゥクトゥントゥクトゥントゥクトゥントゥクトゥントゥクトゥントゥク」

「な、何をしているの?」

「よし!こんなもんか!あ、こっちから攻撃しなきゃ向こうは何もしてこないから大人しくしてろよ?」

 

 さーてと。なんかすげぇ、今なら超電磁砲(レールガン)も撃てる気がする。

 

「食らえ!」

 

 今までとは比較にならない電撃をAIMバーストにぶつけ……あれ⁉なんか威力高くね⁉こんなに強かったっけ⁉

 

「……いや、確かに好都合なんだけど……なんか嫌な予感がする。今後に重大な影響を及ぼしそうなんだが」

「……君」

「木山先生、なんすか?今忙しいんすけど」

「君のその右目……一体なんだ?」

 

 ……え、目?

 

「青いような黒いような……それに、髪も所々白っぽいし」

 

 ……あれ、それってもしかして、雷神モード?レベル5.1?もしかして、幻想御手を使ったからか?

 確か雷神モードも、ミサカネットワークのウイルスプログラムを流し込まれて、暴走状態になったからだったはず。……今は幻想御手がその代わりになっていて、しかもAIMバーストの出現による暴走状態にある。それらが上手くこっちに流れ込んできて半雷神モードになったのか?

 ……素人のくせに幻想御手の改造なんてしなきゃよかった。そしてそれを使おうと思った数秒前の自分を殴りたい。

 

「……いや、それは今は後回しだ」

 

 木山先生がワクチンプログラムがどうのこうのの説明をしてくる。……待てよ、ネットワークが破壊されたら俺の雷神モードも消えるんじゃ……。

 

「……ま、いっか。よく分からんがあれを引き付けろってことだろ。任せな」

「……頼む」

 

 おうよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから、暫くの間戦闘が続いた。触手に捕まったり投げ飛ばされたり、挙句の果てには脇腹を氷の柱が掠めて出血した。痛い。これは病院行き確定だ。

 そんな調子で攻撃を続けていると、再生が止まった。

 

「……よっし!吹き飛べ!」

 

 その隙に、最大火力で丸焦げにする。

 

「……ま、これで終わらないのは分かってるけどさ」

「あれはAIM拡散力場の塊だ!体表にダメージを与えても本質には影響しない!」

 

 うおっ!木山先生いつの間に⁉

 

「それで?」

「力場の塊を自立させてる核があるはずだ、それを狙え!」

「場所は⁉」

「分からん!」

「そんなはっきり言うんじゃねぇ!」

 

 ……さて、どうするか。さっきから気づいてるが、俺の演算能力も落ち始めている。さっさとケリを付けたいんだが、あいつの核ってどこにあるんだっけ?

 

「……多分、ど真ん中だよな」

 

 そうであると信じてるぞ。

 

「行くぜ、最初で最後の超電磁砲(レールガン)だ!」

 

 俺はポケットに入れていたコインを取り出し、全力でレールガンを放つ。コインは音速で飛んでいき、AIMバーストの核を貫いた。

 

「……超電磁砲、か。凄いな」

「俺もびっくりだわ」

 

 ……とりあえず、これでアレイスターも溜飲を下げたかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幻想御手(レベルアッパー)事件は、木山先生の逮捕で幕を閉じた。

 俺は現在AIMバーストとの戦闘で受けた傷の治療のため入院中。……あ、レベルは3のままだった。残念。

 

「……あのインデックスさん。反省してるから俺の頭に噛みつくのはやめてくれない?」

「はめはんはよ(ダメなんだよ)!」

 

 その役は俺のじゃねぇ。上条さんにやれよ……不幸だ。

 

「……いやね。今回のは完全に科学サイドの話だし、インデックス役立たずになるでしょ?」

「うっ……それはそうだけど。せめて一言言ってほしかったんだよ」

「……それは」

「じゃないと、いつ帰ってくるか分からなくて、外にご飯食べにいけないんだよ!」

「テメェふざけんなよ!俺が大変な時にご飯の心配とはいい度胸じゃねぇか!」

「あははは!こちょこちょしないで~!」

 

 残念だったな。『歩く教会』はダメージを無効化するが、くすぐりは無効化できないのだ!なぜならダメージにカウントされないから!

 

「……ほれ、これで飲み物でも買ってきな」

「わーい!」

 

 インデックスに千円を渡し、部屋から追い出す。

 

「……それにしても、まさか雷神モードになるとはな」

 

 レベル5には到達できないのに、それを越えることはできるのか。もう意味分からん。

 

「木原幻生には注意が必要だな」

 

 下手に実験材料にされたら堪ったもんじゃない。っていうか、頼むからもう厄介ごとを持ち込むなよ?

 切実にそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 




 まさかの雷神モード。前回ギャグな感じだったので差し引きしてシリアスになりました。

 にしても、木原って本当にロクでもない奴しかいないな。

 っていうか、この御坂科学と魔術が交差してるけど大丈夫なのか?

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