御坂美琴になったけどレベル5になれなかった(更新停止中)   作:無視すんなやごらぁぁぁあああああ!

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7話

「それで?どうしてあなたはDAの装備のことを知っていたのかしら?」

「親しき中にも礼儀あり。機密情報は親しい人ほど話せないものです」

「そう、残念。じゃあ、嫌いな人なら?」

「余計話さねぇよ。真逆をついていくやり方やめい」

 

 現在、俺は『スクール』の構成員である心理定規(メジャーハート)に尋問されてます。こいつの能力は、相手と自分の心の距離を操作する距離操作系の能力者。

 こういった、尋問などにはうってつけの能力だ。しかし、俺はそれでも情報をばらさない。たとえ相手が『友人』で会っても、『家族』であっても、『恋人』であっても、俺の情報はそれらを危険にさらしかねない。

 故に、何も話さない。

 

「……はぁ、まさかここまで私の能力が通用しない人がいるなんてね。自信なくしちゃうわ」

「お、そろそろ解放ですか?」

「まだよ。DAは何を企んでるの?」

「それは俺も知らない」

 

 これはマジだ。そもそも、DAがどんな目的で生み出されたのかさえ知らない。

 

「……そう。じゃあ、杠林檎について知っていることは?」

「彼女は『暗闇の五月計画』の被害者」

「知っているわ」

「一方通行の演算パターンを植え付けられた」

「知ってる」

「本人曰く、植え付けられるのは垣根がよかったとのこと」

「それは初耳だわ」

 

 ……あ、やっちまったな。でもしょうがないよね?だって相手は心理定規だもん。アレイスターの直接的被害に遭わないだろうことはつい喋りたくなっちゃうんだ!

 

「他には?」

「確か、彼女の能力は本人が負荷(ストレス)を感じると暴走し、既定の数値以上の力を引き出す」

「それも初耳ね。ところで、どうしてそんなことを知っているの?」

「それは言えない」

「……そう、残念。なら、貴女は『暗部』に関わっているの?」

「いいや」

「あら、意外な答えね。じゃあ、他には……」

『もういいぞ心理定規(メジャーハート)、十分だ。あとはこっちで話を聞いてやる。そいつを連れて来い』

 

 垣根の声だ。通信機で話しているのだろう。

 

「……それもそうね。じゃあこの辺で切り上げましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ、改めて自己紹介しておこう。垣根帝督だ」

「どもども、御坂美琴っす」

 

 原作ではありえない邂逅。なのに、御坂が俺と言うだけで感動が薄れていく。私は悲しい。ポロロン。

 

「さて、何故おまえがここに呼ばれたか、もう分かってるよな?」

「え~御坂~馬鹿だからよく分かんない♪てへっ☆」

 

 瞬間、俺の周囲を翼が囲った。

 

「じょ、ジョークですよジョーク!杠林檎の事とか、その他俺の知ってること全部話せってことでしょ⁉」

「よく分かってるじゃねぇか。後、お前はもう二度とジョークを言うな、クソつまんねぇ」

 

 凍える視線で命令された。

 すると、突如着信音が鳴り響く。杠が電話をかけてきたのだ。

 

「起きたか、丁度いい」

『!……、垣根?どこ?』

「これからお前に――」

『ぐぎるぅ~』

「――……やってもらう事があるから大人しくそこで待ってろ」

 

 腹ペコ幼女とかインデックスかよ。とある世界の幼女は腹ペコでなければならないみたいな設定でもあんのか?

 

「従順な子、もう躾けたの?」

「人聞きの悪い言い方だなオイ」

「あんな子供に何を……」

「ガキ相手に何もしてねぇよ」

(いや、首絞めてたじゃん)

「ねぇ、俺は?」

「お前も一緒に来てもらおうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、皆で河川敷に移動し

 

「さっき食べた肉塊、すごい美味しい、とても!」

「肉塊……死体みたいに言うなよ。……さて、食った分は働いてもらわないとな。林檎、試しに能力を使って見せろ」

「林檎?」

「(噛んだの)」

「(噛んだ?)」

「(名前を噛んだってことだろ。ゆじゅりはとか言って)」

「ぶふッ!」

「……お前、今なんで笑った?」

「ひぃぃぃぃいいいいいい!」

 

 誉望君アホ過ぎる。

 

「……とりあえず、お前はあとでシバク」

「うわぁぁぁああああああ!」

 

 そんな二人を尻目に、杠が能力を使用した。まぁ、小石が少し揺れた程度のものだったが。

 すると、杠が的があるほうが良いといい、垣根が代わりに撃たれることになった。まぁ、何も変わらなかったわけだが。

 

「おい御坂、お前、確か言ってたよな。林檎はストレスを感じると能力が強まるって」

「言いましたね」

「どうすればいい?」

「ストレスって言っても、別に何でもいんだよ。苦痛でも、精神的な負荷でも」

「……生憎、そういうのは用意してないな」

『ジャア私ガ用意シテヤロウカ?』

「……あァ?」

 

 突如機械的な音声が響き渡り、声の方を振り向くと、そこにはドローンが飛んでいた。

 

「……なんだテメェ?」

「オォ恐イ、私モ『暗闇の五月計画』ノ関係者ッテヤツデネ。林檎チャントハ付キ合イハオ兄サンヨリハ長イヨン」

「……こんなに固くて小さい子は知らない」

「まさか、ドローンが喋ってると思ってるのか?」

「林檎、ちょっと黙ってろ。……どうなんだ、御坂?」

「マジだよ。林檎ちゃんの同類、つまり被験者ってわけ」

 

 その後、垣根によってドローンの持ち主のもとについていくことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……大丈夫かなぁ」

「垣根さんの心配してるんっスか?なら必要ないと思うっスけど?」

 

 誉望君は分かってないなぁ。

 

「誰があんな腐れホストの心配なんてするかよ。俺が心配してんのは相手の方だ」

「相手……そういや、どんな奴なんすか?」

 

 さっきから思ってたが、こいつら俺の情報信じすぎじゃね?まぁ、全部事実だけどさ。

 

「名前は黒夜海鳥。能力は『窒素爆槍(ボンバーランス)』で、大能力者(レべル4)。名前の通り、窒素で槍を作って攻撃してくる。そしてそれは爆発する」

「なんか、随分派手な能力なんすね」

「まぁ、どう考えても一方通行(本家)には届かないだろうがな」

「……少し、気になったんですけど」

 

 なんだよ。

 

「垣根さんの能力で、一方通行には勝てるんですか?」

「無理だな」

「え……」

 

 俺があっさりバッサリ切り捨てたことに驚いているようだ。

 

「そもそも、なんで『一方通行(ベクトル変換)』と『未元物質(ダークマター)』が、第一位(アクセラレータ)第二位(垣根帝督)で分けられてるか分かるか?そこに越えられない『壁』が存在するからだ」

 

 要は、能力をどれだけフルで使おうと、あいつが第一位の椅子に座っている以上、垣根は勝てない。脳を損傷していたとしてもだ。

 

「……そういうものなんですか?」

「そういうものだ」

 

 そんなことを言い合っていると

 

「……あん?」

 

 突如、研究所が爆発した。

 

「派手にやったな垣根の奴」

「……ですね」

「あ、さっきの会話は内緒な」

「……まぁ、下手すりゃ俺も殺されそうですしね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 杠林檎の治療が終わり、起き上がった彼女から、『暗闇の五月計画』での話を聞くことになった。

 

「回収してきたデータの中には黒夜の記録はないっスけど、杠の『事故』の記録はありました。内容はやや不完全ですが「事故じゃないッ!」……」

「私がッ……殺し――だから……」

 

 杠が自分の腕から血が出るほど握りしめる。その腕を、垣根が包帯で手当てをして言った。

 

「お前の悲劇は分かった。だが、過去にひどい目に遭ったからって、今後も同じ道を歩まなきゃならねぇ道理はねぇ。そもそも、俺たちは一方通行の演算のデータが得られれば十分なんだ。黒夜との戦闘でそれなりにデータは取れている。だから――」

「もう一度あの研究所に行きたい」

「……何?」

「私の記憶は途切れるだけじゃなくて、少しづつ抜け落ちていっている。いつか能力の制御もできなくなるかもしれない。そうなる前に垣根に全部渡したい」

「……そうまでしてなぜ俺に協力する?飯と宿の恩返しにしちゃ大げさすぎないか?」

「垣根が良いの」

 

 分かってないなぁ垣根さんは。ホストみたいな格好してるくせに。

 

「つまりだね、恋する乙女が好きな相手の為に尽くしたいと思うのは自然の「お前はちょっと黙ってろ」……はい」

「……それで、超能力者(レベル5)とでなきゃ出来ない取引か?何が欲しい?金か?食料?それとも学園都市の外に――」

「私を……助けて」

 

 その言葉に、垣根は

 

「……助けて。なぁ、そういうのは正義の味方(ヒーロー)に頼むもんだぜ」

「じゃあ問題ないだろ。アンタは悪の正義(ダークヒーロー)なんだし」

「……一々余計なこと言うよなお前」

「よかったな杠、垣根君助けてくれるって」

「ホント?」

 

 期待を込めた目で垣根を見る杠。

 

「おい、何勝手に決めてんだ」

「大丈夫だって。それに、幼女一人救えない様じゃ、一方通行(アクセラレータ)には勝てないゾ」

「……なんでそうなるんだよ」

「だってあいつ、幼女救うために脳にダメージ負ってたし」

「あぁ、そういや、なんか病院に行ってるんだっけ?まさかそんな間抜けな理由だったとはな。マジで第一位様はロリコンなのか?」

「俺から見たらロリコン以外の何物でもない」

 

 まぁ、読者からしてもロリコン以外の何物でもないと思うが。すると、突如電話の着信音が鳴る。

 

「はい?」

【『スクール』って言いましたっけ?皆さんお揃いですか?】

「誰だテメェ?」

【あぁ、すいません。自分そこの素材――杠林檎でしたっけ?のデータを集めている研究者で……木原相似っていいまーす」

 

 木原……ついに来たか。

 

【やっぱり生のデータがもうちょっと欲しくてですね、これから回収に向かわせるんで、何卒よろしくお願いしまっす】

 

 その次の瞬間、壁が崩壊し、外からDAが侵入してくる。

 垣根が瞬時に『未元物質』を展開し、封じ込めるが

 

「待って!そいつらの心、不自然なまでに均一だわ」

【はーい自分がやりました。彼らが持っていた”正義”?とかいう使命感を代替(だいたい)してあげたんです】

「代替の心だと?」

 

 その後、木原君が大体の説明をしていると

 

「馴れ馴れしい野郎だな、俺が賛同すると思うのか」

【あれー?帝督さんはわかってくれると思ったんですけどねぇ。……だって貴方――】

 

 そこで一拍置き、木原は決して口にしてはならない言葉を言い放った。

 

【――『第二候補(スペアプラン)』、一方通行(アクセラレータ)の代わりじゃないですか】

 

 その瞬間、とてつもない殺気が周囲を埋め尽くす。それと同時に、部屋中の音を発する機械がおかしな音を発生させる。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ!!!」

 

 そんな悲鳴を上げて、杠が転がりまわり、能力で辺りを少しづつ壊していく。

 

【あ、効いてますね。いろんな音を組み合わせて杠林檎さんの脳に強い負荷を与える音を代替してみたんです。結局は、脳が外部刺激を受け取って反応しているだけですからね。刺激であれば何でもいいんです。そこの下、二階から六階は一般人が利用されていますよね?このまま能力が暴走してビルが倒壊したら、どれくらいの一般人が死んじゃいますかね?】

「そんなもんが俺の足枷になるとでも?」

【なるんじゃないですかぁ?現にあなたは今、動けないでいる。一般人を殺したくないっていうより、林檎さんに殺させたくないって感じです?案外お優しいんですね!】

 

 ……そろそろか。

 俺はその場の全員に気づかれないようにそっと部屋を抜け出した。

 

 

 

 




 


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