そらのオルガもの   作:ウルトラネオン

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海に行こうよ!
金ないわどうしよ………せや!


幸運は周りにも及ぶ

夏休みの宿題も全て終わらせ、残りの休みが約半月になった頃、いつも通りの日常を送っていた。

最近イカロスがほぼ毎日スイカを撫でてるもんだから試しになんで撫でてるのかと聞いたら「何故か撫でたいと思って撫でてます」なんて言ってたな。

後、こけしの首をスポスポ抜いたり刺したりして遊んでいた事もあったな。……何故か真顔でこっち見ながらしてたのは謎だがよ。

 

「智ちゃん!海行こっ!」

 

そう言ったのは家に遊びに来ていたそはらだった。智樹は寝転がり、イカロスはこけしで遊び俺はテレビを見てる時だった。

 

「海ぃ〜?行くのはいいけどここから遠いし行くのにだってお金もかかるからな〜…」

 

「そこはほらっ!イカロスさんのカードでバッと!」

 

「そはら、最近考え方が脳筋になってきてないか?」

 

それは同感だな。最近なんか智樹にチョップが効かないならあらかじめ俺を先に殺ってから智樹にチョップする、なんて事しまくってるからな。とばっちりで受ける俺の身も考えて欲しいが…「オルガさんなら大丈夫だよ!」なんて言った時は本気で頭痛くなったな。

 

「そう…だよね…」

 

そはらが珍しくシュンとしていた。そんなに行きたかったのか?……なら、海じゃねえけどちょっとくらい智樹と一緒にさせてやるか。

 

「なぁ、智樹。最近食料やらなんやらが不足気味なんだ。ちょっとそはらと一緒に買いに行ってくれねえか?」

 

シュンとしていたそはらと寝転がっていた智樹が同時に俺の方に向いた。

 

「なぁ?そはらもそう思うよな?」

 

一瞬呆け気味だったそはらは俺の言葉で即座に気を取り戻しコクコクと一生懸命に頷いていた。それを見た智樹は面倒くさそうな顔でケツをボリボリかきながら…

 

「え〜…やだよ。それならオルガが行けば―――」

 

「頼んだぜ。そはら!連れてってやってくれ!」

 

言わせる前にかばんと財布を智樹に渡しそはらに促した。

パァッと喜んだ顔で智樹にしがみつき腕を引っ張って行った。

 

「智ちゃん!行こっ!」

 

「え〜〜…」

 

乗り気じゃねえが引っ張られていく智樹も特に抵抗はしなかったのは御の字だ。あそこで抵抗されてたらどうした物かと考える事だったが…あっ、そうだ。

 

「そはら!これ持っていっとけ!」

 

イカロスから貰った一枚のカードをピッと投げてそはらに渡す。そはらは辛うじてカードをキャッチすると俺を不思議そうに見つめてきやがった。言いたい事は大体分かるが…取り敢えず俺はサムズアップして「頑張れよ」と口パクで言った。

それに気づいたのかニッコリと笑い「ありがとう!オルガさん!」と口パクで言って手を振って買い物に出掛けに行った。

 

「ったく、智樹も手が掛かるがそはらも大概だな」

 

頭をかきながらため息ついてそう呟いた。

 

「どうなされたのですか?」

 

こけしをスポスポさせながらジーッと見ていたイカロスがそう言ってきた。

 

「…まあ、人の恋路ってやつか。それをちょっとばかし応援をな」

 

「恋…ですか。よく分かりませんがマスターの事を考えると何故か動力炉が騒がしくなる事があるのですが…何故でしょう?」

 

動力炉?……もしかしたらイカロスもなのか?確かイカロスはエンジェロイドとかいうもんだからどっちかと言うとロボットやAIに近い存在だと思っていだが…もしかするともしかしてかもな。

 

「そこら辺も俺達鉄華団と暮らしてたらその内分かるもんさ」

 

「そういうものでしょうか…」

 

「ああ!団長である俺が言うんだ。信じてみろよ」

 

「はい…分かりました。こういう時のオルガさんの言ってる事は大体当たってると思うので信じてみます」

 

「そっか」

 

なんだか段々とフレンドリーになってきたな。試しにイカロスの頭を撫でようとするとイカロスの頭に触れた瞬間パシッと真顔で叩かれジーッと睨まれた。

なんか、すんませんでした。

 

 

そして、そはらと智樹が帰ってきたのだがなんと守形の兄貴も来やがった。どうして守形の兄貴が?と思っていたが

その前にそはらが俺の所にくると小声で

 

「オルガさん…駄目だった…」

 

って言ってきやがった。何があったのか聞いてみると買い物自体は上手くデートみたいな感じ睨まれた持って行けたそうだ。そはらに渡したカード……幸運を上げるって内容のカードのおかげか順調だったらしい。そこで商店街の福引きで1等賞の「3名海無料旅行チケット」が当選したらしい。なんだそこまではよかったじゃねえか。あとは俺が海には行かねえと俺が宣言すればそはらもイカロスも万々歳と思っていたが話はまだ続いた。

なんと、偶然守形の兄貴に会い偶々福引きを引くと兄貴自身も1等賞を当てたのだと。

あ〜…それは駄目だったな。

 

「ごめんなさいオルガさん…あそこまでしてもらっておいて…」

 

落ち込んでいるそはらが謝ってきたが、「別に気にすることはねえ」と声をかけた。

 

「確かに守形の兄貴は予想外だったがそれでも当初の海に行くって目的は達成されたんだ。ならまだまだチャンスはあるって事だ。そうだろ?」

 

「オルガさん…」

 

「俺達はまだ始まったばかりだ。そう気を落とさねえで前向けよ。な?」

 

そう言うとそはらはコクッと頷いて「ありがとうオルガさん…」なんて言った。

だがな、そはら。これは言えない事だがまだ気づいてねえがイカロスもそはらと同じ想いを恐らく持っている。俺はイカロスも応援するからな?どっちか片方だけ手伝ってやるのはフェアじゃねえしな。

 

「それはそうと、守形の兄貴はなんで此処に来たんだ?」

 

「ああ、実は福引き1等の旅行券が当たってな。どうだ?来るか?三日月も誘おうと思うのだが」

 

「誘ってくれるのはありがてーが、その…会長さんに声かけなくて大丈夫か?」

 

確か会長と守形の兄貴って幼馴染だろ?あんな性格の会長だ。きっと誘わないと後で凄くなんか言われそうな気がしてならねえ。守形の兄貴が眼鏡をクイッと上げると

 

「……………多分大丈夫だろう」

 

と、かなり間をあけてそう言った。大丈夫か?ホントに?

後でなんか言われたらそん時はそん時だ。一緒に会長の愚痴でも聞いてやるとするか…。

そんな時だった。突然家に設置されている電話が鳴り渡った。

 

「ん?電話?」

 

智樹が電話がある方に向かい、受話器を取るとある人物からだった。

 

「うぇ!?会長!?なんで俺ん家の番号知って……え?守形先輩に?どうして居ることが……はい分かりましたすぐ変わります」

 

そう言って智樹は不安な顔で守形の兄貴に受話器を渡した。守形の兄貴は受話器を耳に当てると、顔から汗が流れた。そして、守形の兄貴が「ああ、分かった」と言って智樹に受話器を渡し電話を終えた。

 

「すまんオルガ。一枠埋まってしまった」

 

「あの会長さん、勘が良すぎねえか?」

 

なんでピンポイントで此処にいるって事が分かるんだよ。それに会長に海の旅行なんて話の欠片もしてねえのに…。

 

「まあ今に始まったことじゃねえか…。じゃあすまねえ兄貴。もう一枠はミカにやって――」

 

「どうしたのオルガ?」

 

玄関の外からミカが顔を出していた。ついでにプギーも顔を出していた。

 

「ミカ!どうして此処に?」

 

「桜ちゃんから野菜のおすそわけでプギーと運んで来たんだ」

 

「ブモッ!」

 

と言うと、プギーが背中の野菜を入れた段ボールを見せびらかした。……すっかりミカになついてんだなプギー。

 

「それはありがてえ、後で桜さんにお礼に行かねえとな。と、そうだミカ。お前、海に行かねえか?」

 

「海?」

 

ミカに今までの事情を話すと「なら」とミカが言い出す。

 

「オルガが一緒に行ったらいいと思う。俺はプギーと一緒に単独で行って後で合流する形で会えばいいんじゃない?」

 

「確かに、俺とそはらが当てた旅行券はあくまで運賃が無料と言う話だ。確かに理に叶っているが…かなり遠いぞ?」

 

守形の兄貴の言うとおりこっから海はそれなりに遠い。果たしてプギーはそこまでたどり着けるのか…?

 

「大丈夫。ね?プギー」

 

「ブモッ!」

 

…プギーの顔を見ると任せとけ!なんて顔をしてるがホントに大丈夫か?多少の不安はあるが…ミカが言うからきっと大丈夫なんだろうな。

 

「決まりだな。よっしゃ!全員で海行くぞ!」

 

俺がそう言うと全員「おー!」っとかけ声をしてくれた。皆かなりノリノリだったが。あることに気付いた。かけ声をしたのは5人なんだが、イカロスはかけ声を知らなかったのか無言だった。だから、本来なら兄貴、そはら、智樹、ミカの4人しか聞こえない筈なのに何故か1人多かった。

 

「会長?」

 

それもその筈、いつの間にか会長が家に来ていたのだから。それに真っ先に気付いたのは声を上げたミカだった。

 

「あら〜皆仲良しでいいわね〜」

 

…ホントなんだこの人。気配とか消すのが得意なのか?ミカも結構勘のいい方なんだが目を見開いていたから直前まで気付かなかったんだろうか、かなり驚いてやがる。

 

こうして俺達は全員で海に旅行することになったが…まあ中々愉快な事になりそうじゃねえか。心から楽しいと思えたのは久々だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜シナプス〜

 

 

「ウラヌスクイーンの封印が解けて下界に落ちていった時はさぞ愉快な事が起こると思っていたが、まさかここまでつまらんとはな」

 

シナプスにある宮殿にて大広間の玉座に座る1人の男が心底つまらなさそうにそう言った。その男の周りには複数のエンジェロイドが男に群がっていた。

 

「まあいいさ。そうだ、面白い事を考えたぞ。ニンフよ!ここに来るがよい!」

 

「お呼びいたしましたか?マイマスター」

 

青髪のツインテールに透き通った羽を持った小柄なエンジェロイド、ニンフが男の前に現れる。

 

「よい余興を思いついた。ニンフよウラヌスクイーンを破壊しに行ってこい」

 

「は…しかしマスター。ウラヌスクイーンの戦闘力と私の戦闘力とでは力の差が…」

 

「だから、行かせるのだ。お前が何処まで足掻いてウラヌスクイーンに対抗するのか見たくてな」

 

無論、男はそんな事これっぽっちも思ってない。ニンフがどうやって足掻いて潰されていくのか見たいという気紛れな理由だった。

 

「しかし…」

 

「命令に従わないのなら廃棄処分だな」

 

「っ!……分かりました」

 

()()()()()()()()()()()。今の記憶が失った状態のウラヌスクイーンならお前でも倒せるかも知れないぞ?」

 

期待しているぞ、そう言っただけで落ち込んでいた顔が明るくなった。自分は期待されている、そう思うと俄然やる気が沸いてきたのだ。

 

「は、はい!分かりました!必ずやウラヌスクイーンを仕留めてみせます!」

 

絶望していた顔から希望が見えた、そうとも取れる表情をしていたニンフは翼を広げシナプスの宮殿から下界へと降り去っていった。

 

「よかったのですか?」

 

「なに、気紛れで思い付いた事を言っただけだ。どのみちニンフはウラヌスクイーンに勝とうと負けようと廃棄処分する。その時のニンフの顔はさぞかし愉快だろうな!」

 

ハッハッハッハッと高らかに笑う男。それを聞いたエンジェロイド達もニンフに哀れみと嘲笑を交えて笑った。

 

「あの()使()の技術を解明し作り出すまでまだ時間は掛かるが…我らが過ごしてきた虚無の時間に比べればもはやなんとも思わん!ああ、早くあの()使()を見てみたい!」

 

男は大広間に写し出された1つの残骸を見て、それこそ恋い焦がれた恋人を見るような目でその残骸を見ていた。

 

 

 

 

 

 

その残骸は決してこの世界にあってはならないものだった。




因みにニンフはまだ出てきません
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