そらのオルガもの   作:ウルトラネオン

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初めはそはら視点です!


外道サーフィンと化したオルガ

〜inそはら〜

 

ちょっとした運もあるが、オルガさんに後押しされるような形で海に来た私達だったが現実は非情だった。

私は生まれついて泳げないのだったのだが今日智ちゃんに教えてもらうという形で海を一緒泳ごうと思っていたのだが私が水着に着替えた時は既に智ちゃんはまたエッチな事考えて海を泳いでいた。

そこまではいつもの普段通り(後でチョップはしておく)なのだが急に智ちゃんは泳いでる途中で止まった。何かな、と思っていると海に潜りだす。そして、いつの間にか海に潜っていたイカロスさんに担がれて海から飛び出てきた。

どうやら智ちゃんは何故か溺れていて、それでイカロスさんに助けてもらったらしい。

 

「と、智ちゃん?大丈夫?」

 

私は智ちゃんに近づき安否を確認した。すると、気を失っていた智ちゃんは目を覚まし「大丈夫だ」と返事してくれた。すると―――

 

「イカロス!ちゃんと人間らしく泳いでないと怪しまれるだろ!」

 

とイカロスさんを説教した。

 

「はい、ですがマスター。私は海に浸かると羽が水分を吸って重くなるんです」

 

「あ…そうなの…。よし、なら俺が泳ぎ方を教えてやるからそこに直りなさい!」

 

ズキン。

 

なんだろうこの気持ち。智ちゃんはイカロスさんに教えてあげてるだけなのにどうしても胸がモヤモヤする。智ちゃんとイカロスさんが仲良くしてると何故か心が痛む。この痛みはなんだろ…。そうして私はこの気持ちを紛らわそうとその場から離れ、海に入っても泳げないのでボートを借りたのだ。

 

「……智ちゃんのばーか」

 

こんな事を言っても気が紛れるわけでも解決するわけでもない。ただ、口からポロッと出てきてしまったのだ。ボートに乗ってからずっと、ずっと智ちゃんの事を考えていた。そして……ふと、オルガさんの言っていた事を思い出した。

 

『気を落とさず前を向けよ?』

 

そうだ。私は何の為に此処に来たのか。オルガさんも応援してくれている。なら、行動に移さないと!

落ち込んで下を向いていた顔を上げる。よし!智ちゃんの所に行って「泳ごう」と一言伝えに行こうとした……が

 

「あれ?」

 

周りを見ると海だらけで陸なんてなかった。いや、正確には辛うじて向こう側に私がいた砂浜が見える。

 

「っ!しまった!急いで戻らないと!」

 

ここまで来るともう潮の流れも早くなり最悪砂浜に戻れなくなる。その前にオールドで漕いで戻らなければならないのだが―――

 

「きゃっ!?」

 

海にちょっとした波が立った事でボートが振動し、手が滑ってオールを2つとも落としてしまった。拾おうと手を伸ばすも波に流され最早手の届く距離から離れてしまった。

 

「あ…」

 

もう戻れない。そう思った瞬間、ひどく心寂しくなり孤独感を覚えた。海に入って泳ごうとしても潮に流されるしそもそも泳げない。私はなす術もなくボートに座り込むだけだった。

 

「智ちゃん…」

 

涙が零れた。このまま智ちゃんに私自身の気持ちも伝えられずこのまま遭難してしまうのか。そう思うと段々と涙が一粒、また一粒と流れ落ちる。

 

「助けて…智ちゃん…」

 

来る筈もないのに私はそう呟いた。すると、何処から何かが聞こえた。

 

「……え?」

 

もう一度耳を澄まして聞いてみると、誰かが叫んでいるようだった。しかも、その叫んでいる声は―――

 

「そはらー!無事かー!」

 

智ちゃんだった。それだけじゃない。三日月君と一緒に何かに乗ってこっちに向かってきている。

 

「智ちゃん!」

 

「そはら!」

 

やがて距離は縮まり智ちゃんと三日月君が私の乗っているボートに並び立った。

 

「こんの馬鹿そはら!なんでこんな所までボートで行くんだよ!遭難したらどうするんだ!?」

 

「だ、だって…」

 

「お前昔から泳げないんだからさ…。もうこんな危ない所まで来るんじゃないぞ。……心配するから」

 

智ちゃんが来てくれたという喜びと、それと心配させたという気持ちで私は大粒の涙を流した。

 

「グスッ…ありがとう智ちゃん、三日月君。……来てくれて」

 

涙声で震えながら私はそう答えた。そんな姿の私に智ちゃんは頭を撫でてくれた。

 

「礼ならオルガに行って。今もこうして頑張ってくれてるから」

 

「え…?オルガさん…?」

 

私は少し困惑した。だって、目の前には三日月君と智ちゃんしかいないというのに何処にオルガさんがいるのだろうかと。よく見てみると三日月君が右手に握っている刀?らしき物に視線を合わせるとなんとオルガさんがいた。

ていうか、オルガさんに三日月君と智ちゃんが乗っているようだった。

 

「オルガさん!?」

 

「ゴボゴボゴボゴボゴボッ!ゴボゴボゴボゴボッ!(俺は鉄華団団長オルガ・イツカだぞ!こんくらいなんてことはねえ!)」

 

「何言ってるのかさっぱり分からないよ!?」

 

「じゃあそはらは俺と交代だ。これをしっかり持ってね。じゃないと落ちるから」

 

「え?でも三日月君は……」

 

「俺は大丈夫。早く乗らないとオルガ死んじゃうよ?」

 

「わ、わかった」

 

取り敢えず私はオルガさんに乗った。そして三日月君が「行っていいよオルガ」と一言言うとオルガさんが勝手に動きだし砂浜の方に向かって行ったんだ。三日月君は…バルバトスっていう姿に変わってボートを押しながら私達と一緒に戻っていったんだ。

途中、オルガさんの回りが赤くなってたのはなんでだろう?智ちゃんに言っても「くそっ!出来る物なら俺が変わりたいくらいだぜ!」って言ってたんだけど…よく分からなかった。

 

一方、そはらと智樹を背中に乗せて海を進行しているオルガは―――

 

「(やべえやべえ!背中に乗ってるそはらの感触がっ!こうムニムニしてて…って何考えてやがんだ俺は!?……あっ、やべえ鼻血が出てきた。このままだと大量出血で死ぬ!達する達する!なんとしても砂浜にたどり着かねえと!)」

 

ラッキースケベ的な事で大量の鼻血を出しながら海を進行していた。そして、砂浜にたどり着きそはらはと智樹は無事だったがオルガだけは大量出血で死んでいた。

 

《キボウノハナー》

 

「だからよ…無闇にどっかに行くんじゃねえぞ…」

 

希望の花が咲き、団長命令を響かせたオルガだった。

 

 

 

その日の夕方―――

 

「ったく、もうあんな真似すんじゃねえぞそはら?」

 

「ごめんなさい、オルガさん…」

 

俺が気づいたから良いものの、分からなかったら最悪そはらが遭難するとこだった。ちょっとどうなってるかなって見に来て正解だったぜ。

智樹がイカロスに海で泳ぎ方を教えてる一方、俺とそはらは砂浜に座って夕日を見ながら喋っていた。

会長と守形の兄貴は……何処かに居るだろ。

 

「まあ、まだまだ先は長いんだ。チャンスは幾らでもある筈だ。それを活かすのも殺すのもそはら次第だ」

 

「えと…どうして私にそこまで…」

 

「あん?当たり前だろ?俺達は鉄華団だ。仲間が前に進めない時は先頭に立って皆を引っ張ったり、時には背中を後押しするのが団長の仕事だからな。気にして当然だ」

 

「私、鉄華団?に入ってないんだけど…?」

 

「ハハハッ、智樹もそはらもつれねえな?」

 

俺は笑いながらそう言った。まさかそはらが一歩勇気出すのにここまで掛かるとはな。まあ、そういう奴もいるだろ。諦めない限り道はあるんだから気を落とす事はねぇ筈だ。だが、智樹がイカロスを選んじまった時は……そん時はそん時だが。

 

「でも…ありがとう。智ちゃんから聞いたんだよ?オルガさんが真っ先に気づいてくれたって」

 

「お前はちょい暴走気味な所があるからな心配で仕方ねえ」

 

「……それ馬鹿にしてる?」

 

そはらの顔がほんのり赤く、そして少し膨らませてそう言った。俺は笑って誤魔化したがそはらはなんとなく察したのだろうかプイッと顔をそらした。

それから少しの間、特に喋る事なく夕日を眺めていた。そういや、こんなにゆっくりして海を見るのも地球の夕日を見るのも初めてだな。俺やミカ、鉄華団の皆と地球に降りた時は結構バタバタしてたからこうやってゆっくりしてる間もなかったしな。改めて見てみると綺麗なもんだ。

そう感傷に浸っていると智樹達が泳いでいる所がまた騒がしくなっていた。

あー…ありゃ智樹が足つって溺れてるな。行ってやるとするか。

 

「あ、あのねオルガさん。もし良ければ泳ぎ方教えて――」

 

と、オルガの方に振り向いたが既にオルガはいなかった。

 

「何してんだよ智樹。こんな浅瀬で溺れてたら洒落にならねえぞ?」

 

「うるせー!パンツに溺れて死んだオルガなんかに言われたくねえわ!」

 

オルガは既に溺れていた智樹を救出し、笑っていた。それを見たそはらはまたもやプクーッと顔を膨らませてオルガ達のいる方に近づいた。

 

「どうしたそはら?こんな所いたら溺れちまう――」

 

オルガが言い掛けた瞬間、そはらのチョップがオルガに向けて放たれていた。

 

「ぶべっ!?」

 

「今日泊まってく!ここで皆で泊まってくの!」

 

「いやまてそはら!?泊まるも何もそんな準備も予約もしてな―――」

 

「嫌なの!泊まってくのー!」

 

ぶべらっと何処から出てきたのかオルガの悲痛な叫びが響き渡る。

 

「うわー…、オルガの奴そはらが感情鈍ってる時に放たれるチョップ喰らってるな…痛そ…」

 

「お、おい智樹ぃ!そはらを止めぶふっ!?」

 

チョップなのにも関わらず鈍い音しか出ないチョップはそはらの感情が高まったりブレブレだったりするとでる「鈍いチョップ」である。中途半端な威力の為、オルガが死なないのはこの「鈍いチョップ」が放たれているからである。

 

「…………どういう状況?」

 

混沌とした状況の中で三日月や守形先輩、会長がこちらの方に来たのだがそはらがオルガに向けてチョップしているためジト目だった。

 

「あ、三日月。いやぁそれがさ…」

 

オルガがチョップを受け続けている中、智樹が三日月にここまでの経緯を話す。だが、あくまで智樹から見た視点であって全部を知っているわけではなかった為、所々曖昧な部分があったものの三日月は瞬時に理解し手に持っていた一枚の紙を見せた。

 

「泊まりたいっていうならこれ使えると思うけど」

 

三日月の手に握られていたのは「団体様、無料宿泊券」と書かれた券だった。これはオルガと守形先輩が勝負したあと、三日月との早食い対決で引き分けになった為優勝商品は取り敢えずは三日月に渡された物だった。

それを見るや否や、そはらはすぐに「行く!」と言い出し、オルガはボコボコになった顔を砂浜に突っ込む形で倒れた。

 

「まあ…ドンマイ…」

 

「早く止めろよ智樹…」

 

肩をポンと軽く叩いて同情する智樹だった。




※そはらのチョップの威力は極端です。
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