そらのオルガもの   作:ウルトラネオン

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お風呂に行こう!(前編)

「最近エロ成分が足りないと思うんだよな」

 

真剣な口調で真面目な顔をしていた智樹は俺にそう言ってきた。学校の昼休みの時間帯。俺と智樹とそはらとミカ4人で机をくっ付けながら昼飯を食べていた頃だ。

ミカは特に反応していなかったが俺とそはらは違った。

 

「智ちゃん?お昼ご飯食べてるときにいきなり何いってるのかな?」

 

「そうだぞ智樹。そういうのはせめて帰ってからにしろよ?じゃねえとまたそはらからえげつないチョップ貰うぞ?」

 

茶化しながらな俺は昼飯を食べる。今日は鉄火丼っていう実に鉄華団に似た名前の飯だ。それを箸で掴み口に運んでいくんだがこれまたイカロスが作ったもんだからかなり旨かった。思わず旨い旨いって連呼しながら食べそうになったくらいだぜ。

 

「オルガさん私の事馬鹿にしてる?」

 

「いや馬鹿にしてねえ。馬鹿にしてねえからその殺気立ったチョップをしまってください頼みます」

 

目を光らせ、殺気立ったオーラを放ちながら俺にジリジリと俺に近寄るが何とかして弁解した。

 

「うるさい…」

 

そんな光景を、ミカはうるさいと言いつつどこか面白そうな顔をしている気がした。そんなにこの状況が面白いかミカ?

 

「オルガ!再び修行の時だ!お前のその童貞丸出しチキンの有り様を俺が直してやる!」

 

「うるせえ!誰が童貞丸出しだこの野郎!」

 

「いや〜?だってそはらが背中に乗ったくらいで鼻血大量に吹かせて死んだのはどこの誰かな〜?」

 

グサッと目には見えない弓矢が体に刺さる。結構痛い所突いてくるじゃねえか…。

 

「それにたかだか脱ぎたてパンツに埋もれたくらいで鼻血吹いてたし、なんだったら初めて会ったときなんか本で鼻血吹いてたしな!」

 

グサッ、グサッ。

 

智樹の精神的に来る言葉が弓矢となり俺の心に追加で2本ぶっ刺さる。そはらの目が獰猛な獣のそれと変わらない目になり再びチョップの手が現れる。ミカはジト目になった。

 

「………オルガ、俺がいない間にそんな事やってたの?」

 

ミカのその一言で体が光だしバルバトスに変身する。当然右手には巨大なメイスが握られており、今にも俺に向かって叩きつけそうな雰囲気だった。

 

「いや待てミカ!?これには深い事情が――」

 

「いや三日月。オルガは俺と一緒に下着でパンツオルガ・イツカ像なんて作ってたぞ?」

 

おい智樹ぃ!?今それ言うことじゃねえだろ!?それを聞いた瞬間、バルバトスの目が光る。俺の悲痛な思いは声を出す前にミカがメイスを叩きつけた。

 

「うおああああああ!!??」

 

《キボウノハナー》

 

ミカの身長よりも大きく作られたメイスは、その物量で俺の頭からおもいっきりぶつけられる。そして床に倒れさせられたんだが床が抜ける事はなかった。

 

「風紀を乱す行為は駄目だ」

 

メイスを叩きつけた事で煙が舞い上がっていたがその煙に隠れて目を光らせてるもんだからバルバトスが妙に悪魔っぽく見えた気がした。

 

「だからよ…止まるんじゃねえぞ…」

 

希望の花を咲かせ団長命令を響かせた。

 

 

 

 

俺が蘇って気がつく頃、教室から守形の兄貴のいる学校の内にあるちょっとした田んぼの場所に来ていた。俺が復活するまでかなり時間が立っていたらしく学校は既に終わり智樹は俺を引きずってここまで来ていたみてえだ。

 

「守形の兄貴…」

 

「ようやく目覚めたかオルガ。智樹が死んでるお前を引きずって来たものだからすこし驚いたぞ」

 

そんな話をしながら守形の兄貴はなにやら種を蒔いていた。

 

「守形先輩、頼みがあります」

 

「どうした智樹?」

 

「俺を…俺達を女湯に入る事が可能な方法を教えて下さい!」

 

綺麗な角度で頭を下げる智樹。見た感じはまさしく紳士と思えるような姿だったが言ってることは最悪に等しいものだった。

 

「……興味ないな」

 

「守形先輩!そこを何とか!」

 

「おい智樹。お前自分の言ってること分かってんのか?」

 

なんで俺までカウントされてんだよ?大体行くなら智樹1人で行けばいいと思う。俺はまだ死にたくねえ。

 

「……何故女湯に向かう?行くのなら智樹だけでいいだろう?」

 

「オルガは!童貞丸出しのチキンなんです!それを俺が直して一刻も早く女の子を慣れさせないと!」

 

「お前馬鹿にしてるよな?してるよな?」

 

「なるほど…」

 

そう言うと守形の兄貴は懐から一枚のカードを取り出す。そのカードとはイカロスが持っているカードと同じものだった。

 

「個人的にイカロスから一枚拝借してな、これを使えば恐らく女湯に入る事が可能だ。ただし、イカロスの手助けは必要不可欠だ」

 

「先輩…!分かってくれるんですね!」

 

智樹がそう言うと守形の兄貴はグッと親指を立てる。それを聞いていた俺はポカーンとするほかなく、止める事を忘れていた。なんで守形の兄貴もノリノリなんだ?そういうのあまり興味なさそうな顔してるよな?そんな思いも虚しく一旦イカロスを呼ぶために智樹の家に引きずられていくのであった。

 

 

〜女湯にて〜

 

「全てのシステム、及び体細胞組織変換率は良好です。マスター、オルガさん、いかがでしょうか?」

 

風呂屋の壁に隠れながら1つの端末のキーボードをカタカタと動かし状況確認するイカロス。この端末は先程、守形先輩がカードから呼び出したものだった。マイク付きヘッドホンでイカロスは智樹達に聞くと――

 

「おう!バッチリだよイカロス!」

 

女体化した智樹――もとい智子と何の服も着ることなくかなり際どい水着をつけただけの俺が既に女湯に入ろうとしていた状態だった。なんで智樹は女体化してるのかというと今まさにイカロスが端末を動かし理屈は分からねえが男から女に変えたのだ。

変えたのだが何故か俺は女性らしく変わることなく男の体格で女性物の際どい水着、しかも下も付いてるといった誰がどう見ても吐きそうになる姿だった。俺だって今吐きそうだ。

が…イカロスが言うには「姿はそれでも効果は出てるので大丈夫かと」なんてふざけた事言ってやがった。

智樹と守形の兄貴にどんなもんか見てもらったが確かに効果があるとか。智樹は若干面白そうな顔してたから信憑性が低いが守形の兄貴が言うんだから恐らくそう見えるんだろう。

 

「さあオルガ!今から俺達が行く場所は何処だ!」

 

「知らねえよ。こちとらこんな格好だからそれどころじゃねえんだよ」

 

「甘ったれるなぁ!!」

 

助走をつけた智子が俺の顔にビンタする。流石に死ぬことはなかったがそれでも痛かった。

 

「俺達は女の子になったんだ!なら行くところと言えば1つだろ!」

 

「こんな姿で女って言い張れる訳ねえだろうが!!」

 

ビンタの仕返しに智子の腹に拳を叩き込む。グホッと智樹が小さな悲鳴を上げるとその場でうずくまり腹を押さえていた。

 

「流石オルガ…いいセンスだ…俺はお前の成長を快く思う…」

 

「お前は俺の親か何かか?」

 

「さあオルガ――いやオル子。俺と一緒に新大陸に向かおうぜ?」

 

「誰がオル子だ」

 

と、女湯の前で騒いでると外から声がした。

 

「あら〜可愛らしい子達ね〜」

 

風呂屋の入り口からなんと会長とそはらが現れた。

 

「か、会長!?」

 

「あら?私の事知ってるのかしら〜?うちの学校の生徒かしら?でも貴方みたいにガタイが良くて男前な女の子見たことないのだけれど…?」

 

「(あっやべえ!?)」

 

そうだ!今は女の子……って言っていい良く分からねえがとにかくそんな状態だ。だから会長も俺だとは気づいてない…よな?そはらもキョトンとしてるからきっと大丈夫だろう。

 

「それに隣でうずくまってる娘は大丈夫かしら?」

 

「え!?あ、いやちょっとお腹壊したみたいでして…」

 

「あら、それなら介抱してあげましょうか?」

 

「い、いえ!大丈夫なんで!」

 

ここまで来たなら仕方ねえ!覚悟決めて風呂に入るしか…死にに行くしかねえ!どうせ会長やそはらに出会った時点で行く先は地獄なんだ。だったら横でうずくまってる智樹……もとい智子を天国とも地獄とも言える場所に連れてってやるっきゃねえ。それが団長としての仕事だ!

 

こうしてオルガは智子共に女風呂に入って行くのだった。

 

 

 

 

〜一方イカロスは〜

 

「マスター…」

 

ニンフとの一件以降、記憶を取り戻した私は胸の中にある違和感が拭えない気がしていた。私は兵器。愛玩用などではなく下界の…かつてこの世界で住んでいた人達を殺した張本人。マスターが、最も嫌う物。

カタカタと端末を動かしながらオルガさんの言っていた事を思い出す。内緒にして兵器であることを隠してしまえばいいと。それは確かに一理ある事だった。自分が兵器である事を隠し続ければマスターとずっと居る事ができる。

けれど、けれどもそれはつまる所マスターを騙す事になる。

 

「私はどうすれば…」

 

マスターには嫌われたくない。けれども嫌われたくないからと言ってずっと隠したままでいいのか。どちらがいいのかまだ私の中には分からないままだった。オルガさんはマスターはそんなんで私を嫌わない、と言っていたが人の心が分からない私には到底理解できない物だった。人は自分が嫌いな物は側に置きたくないだろう。それはマスターとて同じな筈。どうしてオルガさんはあんな事を言えるのだろう…。

すると、端末からアラート音が鳴った。これは…オルガさんの感情がとても興奮してる様子だった。

 

「オルガさん聞こえますか?感情を高め過ぎるとこの変換装置の機能が解除されてしまいます。できる限りの抑制を」

 

『わ、わかった…』

 

考えても仕方がないので、取り敢えずはマスターの命令を実行する事を優先する事にした。

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