そらのオルガもの   作:ウルトラネオン

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ハーピー達の名前どうしたらええんや…


エンジェロイドとMS

空見町から少し離れた山の頂上。そこはどこにでもありそうな一般的な山で多少の人の手が加えられているがほぼ自然で緑豊かな山だった。その頂上には少し大きな神社があった。長らく人が来てないのか辺りは雑草が沢山生えていた。普通ならばちょっとした秘境的な物に見えるその場所もある存在によって台無しだった。

 

「さてと…地上に降りてきたのはいいものの少し疲れるわね」

 

「そうかしら姉さん。私はあまり疲れてないわよ?」

 

「それは貴方がこの人形を誘導して連れてきてないから言えるのよ可愛い妹よ」

 

山の頂上に降りてきた2人の天使。足は爬虫類のような形で右手は尖った指、左手は大砲を模したかのような砲塔を装着した天使とは言いがたいフォルムをした2人。ハーピー姉妹だった。だが、()()()()()()()()()()

ハーピーの姉が親指をクイッとそらに指すと2体の巨人が地上に降り立った。

その巨人はゆうに18mはありそうな巨人だが、その巨人は決して生命体と呼ばれる物ではなかった。

全身がモスグリーンの色をした装甲で覆われ顔は決して人の顔ではなく四角形で黄色いランプが光っているセンサーだった。

右手にはその巨人に見合ったアサルトライフルに似た銃を装備しており左の腰部分にはこれまた巨人のサイズに見合った斧が装着されていた。

 

「これ、なんて言うんだっけ?えーと…」

 

()()()()よ、妹。いい加減覚えなさい」

 

()()()()。それは決してこの世界にあってはならないオルガや三日月、鉄華団がいた世界で量産されていたMSだった。

 

「ねえ〜姉さん。ニンフ来るのかな?」

 

「アイツは来るわよ。きっとね」

 

「あら、お呼びかしら?」

 

ハーピー姉妹の真っ正面にある森から声がした。その森から歩いて現れたのはシナプスにいるときに着ていた服装をしたニンフだった。

 

「ね?やっぱりニンフは来るわよ妹」

 

「うーわ、本当に来た。やっぱり馬鹿だわ」

 

「誰が馬鹿よ!この鳥頭!」

 

突然の罵倒に大声を貼るニンフ。それはとても戦いが起こりそうな雰囲気ではなく、かつてシナプスでもしていたようなそんな他愛のないやり取りだった。ハーピーの姉がハァとため息をつくと姉はニンフに向けて言葉を放った。

 

「アンタがここに来るってことは協力…してくれるわけじゃないわよね?」

 

「当然でしょ?なんでアンタ達の協力をしないといけないの?」

 

さも当然のように返すニンフ。それを見た姉は更に深いため息をついた。

 

「アンタも災難だね」

 

「心配してくれるの?だったらとっととシナプスに帰ってくれると助かるのだけど」

 

「でもニンフ、アンタの自爆装置は作動してる。どっちにせよ死ぬ未来しかないのよ?」

 

「確かに未来なんてない。けど、このまま私が何もせずアンタ達を見逃したらオルガや智樹の所に行くでしょ?だったら―――ここで私が止める!!

 

言い終わると即座に名一杯息を吸い込むニンフ。その口から吐き出されるのはパラダイス=ソングだった。

パラダイス=ソングはハーピー姉妹に放たれるもののそれをあらかじめ予測してたかの如く翼で上昇して避けるハーピー姉妹。

 

「ホント馬鹿ねニンフ!アンタ如きが私達姉妹と()()()に勝てるかしら!」

 

ハーピー姉妹の後ろからニンフに迫る2機グレイズ。手には斧が握られていてそのままニンフに振り下ろされるが、シールドを貼って斧の攻撃を防ぐ事でニンフは無傷ですんだ。

 

「フン!こんなの、三日月に比べれば全く怖くないわ!」

 

「真っ正面だけじゃないってことを覚えておく事ねニンフ?」

 

グレイズの攻撃を防いだニンフだったが、その隙にニンフの背後に回り込んで喋りかけるハーピー妹。ハーピー妹は即座に左手に装着されている超高熱体圧縮発射砲プロメテウスをニンフの背中に乱射する。

 

「があっ!?」

 

幾ら強固なシールドとはいえグレイズ2機の攻撃を防いでいた為、背後に回すシールドのエネルギーはあまりなく、ほぼ直撃したような物だった。ハーピー妹の左手から放たれた火炎弾はニンフを襲ったが、エンジェロイドの皮膚はそう簡単に燃える事はないため焼ける事はないがそれでもダメージは大きかった。

火炎弾を直撃したニンフは上空から地面に叩きつけられ、だめ押しと言わんばかりにハーピー姉妹とグレイズの遠距離攻撃がニンフを襲った。

 

「こん…なもの!」

 

なんとかしてシールドで防ぐニンフ。その防いだ状態からもう一度息を吸い込み反撃のパラダイス=ソングをグレイズの1機に向けて放つ。

ニンフが吐き出したパラダイス=ソングはグレイズのコックピット部分に吸い込まれるように命中させてグレイズ1機をボロボロになるまで破壊することに成功した。

 

「へぇ〜、やるじゃんニンフにしては」

 

「ほざきなさい!」

 

グレイズ1機を落とした事でライフル弾と火炎弾の雨が弱まりその隙にニンフは翼を開いてボバリングするかのように逃げるとすぐ近くにあった森に逃げ込んだ。

 

「鬼ごっこ?いいわよ、付き合ってあげる」

 

空にグレイズを待機させてハーピー姉妹は森に降り立つ。太陽が差し掛かっているのにも関わらず森の木や葉が日光を遮り、とても薄暗い森だった。

だが、エンジェロイド達にはそんな物関係なかった。

 

「それで隠れてるつもり?ニンフ?」

 

ハーピー妹が自身に搭載されているセンサーを動かし森の辺り一帯をくまなく探す。すると、この森の中で1つの反応がたった。

 

「そこね!」

 

反応があった場所に間髪入れずに火炎弾を叩き込むハーピー姉妹。数秒間の間、その反応があった場所は焼け落ちて

何も残っていなかった。

 

「あっはっはっはっ、マスター逆らうからこうなるんだよ!」

 

「そう、よく覚えとくわ!」

 

「え?」

 

ハーピー姉が声がした方向に向く前に全く別の方向から現れたニンフの足がハーピー姉の顔にねじ込んで吹き飛ばす。吹き飛ばされたハーピー姉は地面を削って転がるように倒れる。

 

「姉さん!?」

 

「フン、どんなもんよ!」

 

驚きを隠せないハーピー妹と勝ち誇るニンフ。だが、それは次の瞬間に塗り替えれられる物だった。

ドン、と轟音と共に今までとはまるで違うくらい大きな火炎弾がハーピー姉が吹き飛ばされた方向から飛んで来る。

 

「ちっ!」

 

忌々しく思いながら火炎弾を避けようとするニンフ。だが―――それは叶わなかった。

 

「あぐっ!?」

 

なんせ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

強い衝撃と共に倒れたニンフは目の前に迫り来る巨大な火炎弾をよける事ができず……直撃してしまった。

悲鳴すら上げる事なく今度はニンフが吹き飛ばされる。

そして、奥からハーピー姉が歩いて現れる。

 

「あまり調子にのるなよチビ」

 

現れたハーピー姉は多少の傷が顔に付いてたものの動くには問題のないレベルのダメージだった。発せられた声から先程のような余裕の声はなくなり、怒気を含んだ口調になっていた。

ハーピー姉は吹き飛ばして体中に傷を負って倒れているニンフに近づき頭を掴み取ると地面に何度も叩きつけた。

 

「こっちが下手てに出てればいい気になってさぁ?もういいわ、お前をぐちゃぐちゃにしてからウラヌス・クイーンを始末しに行くわ」

 

言い終わると共に地面にニンフを落とすとうつ伏せにさせる。そして――背中の翼をもぎ取った。それも強引に。

 

「あああぁぁぁぁぁ!?」

 

「あっはっはっはっ!いい悲鳴出すじゃない!そらもっと出しなさいよ!」

 

もぎ取った翼をゴミのように捨て、ニンフの体を持ち上げると腹に拳を入れ込む。

 

「かはっ!?」

 

「あはっ!スッゴい楽しい!やっぱり弱虫をなぶるのは気持ちいいわ!」

 

怒りの沸点を突破し最早狂人と化したハーピー姉。その光景を見ていたハーピー妹は姉の狂った姿をみて少し引いていた。

頭から血が流れ、翼をもがれて体中ボロボロのニンフ。けれどもその目はまだ力尽きて等いなかった。

 

「何よその目。腹立つな」

 

ハーピー妹に言われてももう言葉を発する力もないのか声すらかすれていた。それを見たハーピー姉はつまらなさそうに空を見上げる。

 

「グレイズ!この弱虫エンジェロイドを粉々にしてやりさい!」

 

グレイズに指示を出すハーピー姉。その巨体は空から森に降り立ち、右手に持っているライフルを倒れているニンフに銃口を向けて構える。ニンフは立ち上がる力もなくただグレイズを見上げる事しか出来なかった。グレイズは指示された命令を忠実に実行する。

そしてライフルのトリガーを引き絞り銃弾が放たれた―――かに思われた。

 

 

 

 

グレイズはどこから飛んで来たのかそれこそグレイズよりもその全長が長い()()()がとてつもないスピードでグレイズに命中し、グレイズを吹き飛ばしたからだ。

 

「何!?」

 

ハーピー姉が驚いたのもつかの間、今度は銃声が鳴った。そしてその銃弾は……ハーピー姉に当たっていた。

 

「何を…やっている?」

 

「てめえら…俺達の家族に一体何してやがんだ」

 

ニンフの有り様を見て本気の怒りを露にしたオルガや三日月、続いて智樹達が現れたのだった。

 

「オル…ガ…?」

 

そして、ニンフにとって忘れがたい光景を目の当たりさるのだった。


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