栞那ちゃんと昂晴くんが冬の寒空の下イチャラブするだけ。pixivに上げてあるものと同じものです。

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栞那ちゃんと昂晴くんのイチャイチャが描きたかっただけです。
以前まではpixivに載せていましたが、試しにこっちでも載せてみました。

今後の勉強としたいので、指摘や感想など是非ともよろしくお願いします。


幸せな冬、寒空の下。

栞那と出会って、気がつけばもうどれほどになるだろうか。

死神として栞那と出会って、喫茶ステラで働いて、栞那と付き合い始めて。

 

気がつけば、栞那と同棲を始めてから幾度となく過ごした冬がまた来ていた。

 

あの事件以来、人間となった栞那の肉体は、死神時代に忘れられていた時間を取り戻すかのように目覚ましく成長を遂げていた。

 

 若々しく、可愛さに溢れていたカフェ開店時のあの頃に比べると、落ち着いた大人の魅力を身にまとい、前にも増して栞那の笑顔に花が咲くようになった。

 

同棲生活も円満そのもので、時折小さな喧嘩はするもののそれ以外に特に問題は起きてはいない。最初の頃のお互いにしどろもどろしていた雰囲気が今ではとても懐かしく感じてしまう程にだ。もうすっかり日常の当たり前と感じられる程には同棲生活が板についたということだろうか?

 

 狭くて窮屈だったベッドも、あれから未だに買い替えてはいない。一度、栞那と量販店に見に行ったこともあったが、二人で試しに寝てみると、妙にそのベッドの広さが逆に落ち着かなく感じたからだ。

 

 

 栞那が居なくなってしまったあの寂しさは今でも忘れることは出来ない。朝、目を覚ませば栞那がどこかへ居なくなってしまうかもしれない。恥ずかしいことだが、今でも俺は栞那の身体の暖かさに甘えているのだ。それこそ、小さな子どものように。

 

 

朝起きると、同じベッドの中に栞那のぬくもりを感じる。

 

 

 不安を抱えている時、決まっていつも栞那は先に目覚めていて、俺を静かに見つめている。そして、子供をあやすように、優しく頭を撫でながらこう小さく囁くのだ。

 

 

 

「ずっと、あなたの傍に居ますよ」

 

 

 

 二人で密着して寝られるこの広さが、今の俺たちにはまだ一番心地良いのだと思う。

 

 栞那ももうあの頃と違って死神ではなく、ただの普通の女の子。俺たちの間に子供を授かるときも、意外とそう遠い未来ではないのかもしれない。

 

 優しく微笑む栞那と今日もベッドの中で抱きしめ合いながら、ふとそんな確信を心のどこかで感じていた。

 

 

 

 

*-*-*-*

 

 

 

 

 

 また一年が終わり、新たな一年を迎えようとする年の瀬。

 

 

 栞那が勢いよくガシャア!とカーテンを開くと、外から溢れんばかりの太陽の光が部屋の中に差し込んでくる。

 

「ま、眩しい…」

 

 燦々とした太陽の光に苦しんでいる俺の身体を、栞那が猛烈に揺らしてくる。早起きはすっかり得意分野な筈なのだが、それでも起きたくない日はあるし、朝一に浴びる眩しい太陽の光はキツいものがある。おはようと眠り眼を擦りつつも、どうしたんだと栞那に聞くと、いつもに増してキラキラとした目で栞那が語りかけてきた。

 

 

「昂晴さん、見てください!雪ですよ!」

 

 

 はしゃぐ栞那にせっつかれて外を覗いてみると、確かに外一面に広がる白銀の世界。

 

 そういえば、昨日の夜ぐらいから結構な雪が降ると天気予報で言っていたのを思い出した。一面に降り積もった白い雪が、朝日の光を反射してとても神秘的な光景を醸し出している。

 

 

 ボケっと外を眺めていた俺の隣で、栞那が仁王立ちで宣言する。

 

 

「これから我々は重要な任務を行います」

 

 

 ふんす、と手を腰に当ててドヤ顔で居る栞那のスカートをひらりと捲ってやる。

 

 

「…ふむ。今日は黒か。似合ってるぞ栞那」

 

「え?あ、ちょ…なんで突然スカート捲り出すんですか!?変態ですよ!いや、変態なのも知ってはいるんですけども!」

 

「そんなの…栞那が可愛いからに決まってるじゃないか!」

 

自信満々にグッとサムズアップしてやる。

 

「そうじゃないです!…ま、まぁ?少しは嬉しいですけど…いや、嬉しくない!」

 

「でも内心はちょっと喜んでるんでしょ?」

 

「…」

 

「…何故目を逸した?」

 

 

 

 

無言で脳天にツンとチョップ。

 

つまり、そういうことだ。

 

 

 

 

コホン、と。

 

わざとらしく咳をすると、改めて誇らしげに栞那が言った。

 

どうやらここまでの流れをなかったことにするらしい。

 

 

「ズバリ、雪だるまです」

 

「雪だるま?」

 

「はい。雪だるまを作りに行きましょう」

 

 

そう言われて、ふと外を見る。そこには広がる一面の銀世界。

 

 

 

 

―――絶対に寒い。

 

 

 

「こんなに寒いのに?」

 

「はい。寒いのに」

 

 

念の為、もう一度外を見てみる。

 

うん、何度見ても寒そうだ。

 

 

「雪だるまを作りに?」

 

「はい。雪だるまを作りに」

 

「…ちなみに拒否権は?」

 

「拒否権を行使した場合、その…暫くの間えっちなことは禁止します」

 

「…でも最近はどちらかというと栞那のほうからが」

 

多いような。そう言おうとしたが、栞那がその先は言わせんとばかりに続きを遮る。

 

「なにか、言いましたか?」

 

「いえ、何も」

 

 

最近、栞那の尻に敷かれ始めて無いかなと。心の片隅で少しばかり感じた。

 

 

 

 

 

*-*-*-*

 

 

 

 

 

「これはまた…」

 

「こっちの方も結構降ったみたいですね」

 

 せっかくですから、SNS映えも狙って喫茶店前で作りませんか?と。そんな栞那の提案で、二人は喫茶ステラまでやってきた。店の前に着くと、最初に目に入ったのはすっかり雪化粧をして白く染まった喫茶ステラの姿。これはこれでSNS映えしそうな写真が撮れそうだ。

 

 

 積もった雪の量からして流石に大きいサイズは難しいだろうが、小さいサイズのものであれば幾らでも作るのには問題はなさそうだ。

 

 

早速、二人で隣同士に雪をこね回す。

 

 

 太陽が照っているとは言え、季節は真冬。こういう寒い日はこたつで丸くなってぬくぬく過ごしたい。そう言うと、栞那はそれも良いですね、と小さく笑った。

 

 

「でも、せっかく雪が降ったんですから、体を動かして楽しまないと損じゃありませんか?」

 

「昨日の夜もたくさん運動してお楽しみじゃなかったでしたっけ」

 

「…昂晴さんって、相変わらず本当に凄くデリカシーに欠けてますよね」

 

 

ジト目でそう非難されてはぐうの音も出ない。実際その通りなのだから何の反論も出来ないのが若干悔しいのだが。

 

 

「えっちなこともまぁ…嫌いではないですけれど…。好きな人とこうして季節を一緒に楽しむっていうのは、我儘なことなんでしょうか?」

 

 

もじもじと、どこか恥ずかしそうにそう小さく打ち明けてくる栞那。

 

 

「愛してるぞ、栞那」

 

「はい、私も愛していますよ、昂晴さん」

 

 

さっきまで外は寒い寒い言ってたはずなのに、この辺りだけ気温がどんどんと上がっていっているような気さえした。

 

 

 

*-*-*-*

 

 

 

気がつけば、栞那と同棲し始めてからもう長くなる。

 

 

 就職してからは、大学と違って栞那と一緒に居られる時間はかなり減った。学生生活のときには無かった辛いこともたくさんあったし、実際かなり辛さを感じた時期もあった。自分自身が選んだ道とはいえ、辛いものは辛かった。

 

それでも俺が今まで折れることなく頑張ってこれたのも、これから頑張ろうと思える理由も、全部栞那が居たからだ。

 

 何気なくこうやって理由をつけて外に連れ出してくれるのも、雪だるまを作りたいとか、一緒にいるのが楽しいとか。そういう理由も、嘘偽り無い本当のことだろうが、実は栞那が裏で俺のために色々と気を使ってくれていたりするのを知っている。

 

 辛いときにはいつもなにも言わずとも側に栞那が居てくれた。ただそれだけのことが、無性に嬉しく感じた。この上なく幸せだなと感じた。

 

 

いつも隣で笑う栞那を見て、顔が更にゆるゆるに緩んでしまう。

 

どうやったら、栞那は喜んでくれるのだろうか。幸せを感じてくれるのだろうか。

 

気がつけば、そう思うことが日に日に増していくようになった。

 

仕事の勉強とはまた違う、答えも何も無い"知る"連続の毎日。

 

 

俺が、栞那の笑顔を守らなければいけない。

俺が、一生かけて幸せにいかなければいけない。

 

 

 

今までそう思ってきた気持ちが変わってきたのはいつからだろうか。

 

 

 

"俺が"、じゃなく、大切なのは"俺達"なんだと。

 

 

 

一方的な気持ちじゃダメなんだと気がつくことが出来たのも、栞那のお陰。

 

 

 

 お互いがお互いのことを見て、感じて、触れているからこそ、毎日違う発見があるし、違う一面を見つけられる。自分が相手を見ているだけでは伝わらないことがある。理解し合えないことがある。だから、相手と真正面から向き合っていくんだと。

 

それがどんなに些細なことでも、くだらないことだって構わない。

 

それが出来ることが幸せなんだ。

 

ただ、当たり前の日常の中に埋まっていて気が付かないだけで、それはこの一面の銀世界のように、キラキラと光り輝いて広がっている。

 

 

 

 

 

 

気がつけば、作ったばかりの雪だるまをそっちのけで、栞那の横顔を覗き見ていた。

 

 

「昂晴さん、手が止まってますよ?なんなら私が手を温めてあげましょうか?身体のどの部位で、とはあえて言いませんが。にひ」

 

 

 白い息を吐きながら、隣で雪だるまを作っていた栞那が俺の手元を見ながらニヤッとした意地の悪い笑みを浮かべながらそう言う。

 

 

「栞那が綺麗だなぁって、考えてた」

 

「…珍しく真面目なんですね。まぁ、それはそれで、とても嬉しいですが」

 

 

知らずうちにこうやって栞那のことを目で追っている。

栞那のことをもっと知りたい。

栞那の傍にずっと居たい。

 

 

最近は、ずっとそんなことばかり。

 

 

どこまでも、栞那のことが好きになってるんだなぁと。

 

本当に、この子のことが大好きなんだなって。

 

 

「一人で辛いときは、いつでも私が傍に居ます。もう、一人じゃないですよ」

 

 

そう言いながら、俺の作った小さな雪だるまの隣に、栞那が自分で作った雪だるまをトンと隣に並べる。

俺の作った雪だるまのほうが少し大きいけれど、出来の良さは栞那のほうが上で。

そんな二つの雪だるまを見て、クスクスと二人で笑い合った。

 

 

 

「栞那」

 

「はい」

 

 

 

 

「俺、凄い幸せだから」

 

「私も、とっても幸せですよ。昂晴さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どちらからともなくそっとキスをし合う二人を、作ったばかりの小さな雪だるま達が静かに見守っていた。

 

 

 

 



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