「ねえ咲夜、最近暑すぎない?」
「そうですね、ここ最近は一年で一番暑い時期だそうです」
ぐでーっと机に突っ伏しているお嬢様に私はそう答えた
季節は夏、幻想郷もすさまじい暑さに見舞われている
この幻想郷のほとんどの生物が暑さに苦しんでることだろう
特にこの紅魔館は吸血鬼の館と言うこともあり窓が少なく小さい為、かなりの熱がこもっている
「暑さのあまり溶けちゃいそうだわ」
「吸血鬼なら本気で溶けられそうですね」
「いやさすがに無理よ」
コウモリにも変身できるし溶けるぐらい簡単そうに見えるが、そうでも無いらしい
「暑いのがいやなら地下図書館に行けばいいのでは?」
紅魔館の地下にある図書館はパチュリー様が快適に本を読むために魔法による冷房が行き渡っておりとても涼しい。
「いやよ、暑いからって地下に閉じこもるなんて。本ばかり読んでいても楽しくないじゃない」
なんとも行動的な吸血鬼である
そんなことを話しながらお嬢様に紅茶をお出しする
「ああ、ありがとう咲夜……熱っ!?あっつ!なにこれ?!」
「熱々の紅茶を飲めば外の暑さも気にならなくなるのではという配慮です」
「そんなわけ無いでしょ!ちゃんと味はおいしいところが微妙に腹立つ!」
うー!と怒っているお嬢様だったが突然何かをひらめいたようにこちらを見る
「そうだ咲夜!私はコーラが飲みたいわ!」
「こぉら、ですか」
「そう、コーラ」
コーラとは何なのだろうか、しかしお嬢様の要望とあらば応えなくてはならない
「わかりました、しばらくお待ちください」
謎の飲み物であるコーラを探すべく私は引き下がった
◆
とりあえずまずは人里に来てみる
ここで見つけられれば一番早いのだが
しかしまずどのような飲み物なのかすらわからない
一応酒屋をのぞいてみたが日本酒ばかり置いてある
さすがに日本酒の名前では無いだろう
あの発音は明らかに横文字である
同じようにお茶の名前でも無いだろう
まず紅茶ならばわからないはずが無い
里で一番大きな商店で尋ねてみたが聞いたことが無いという
これは外の世界の飲み物なのだろうか
しかしそれならお嬢様はどうやって知ったのだろうか
◆
というわけで古道具屋にやってきた
コーラの正体を知るためだがあわよくばここで見つけられないだろうか
「おや、いらっしゃい」
「お邪魔しますわ、今日はコーラという物について尋ねに来たのですが……」
「ああ、コーラね。」
「あるんですか?」
「無縁塚で拾った物だがね」
拾った物を飲んで大丈夫なのだろうか、お嬢様にお出しする前に毒味をした方がいいかもしれない
しばらくすると店主は2本の瓶を持って出てきた
「はい、これがコーラだよ」
「真っ黒ですけど腐ってません?」
「はじめからこういう色なんだよ」
ますます飲めるか怪しくなってきた
「まあ全く同じ物を魔理沙も飲んでいたし大丈夫だろう」
お嬢様の情報の出所がなんとなくわかった瞬間だった
「まあ飲めるか飲めないかはべつとして頂くわ」
「毎度あり」
提示された金額を支払って古道具屋を後にした
◆
「って事なんだけどこれって飲めるの?」
「おう、結構うまかったぜ」
帰りがけに寄った神社で魔理沙を見つけたので聞いてみたがなんとこれで合っているらしい
こんなに真っ黒なのはいったい何が入っているのだろうか
「どんな味なの?」
「なかなか甘かったぜ、後なんかすごいしゅわしゅわしたな」
飲み物の感想でしゅわしゅわとはどういうことなのだろう
◆
念のためパチュリー様に成分を解析してもらうことにした
ふたを開けてなかの液体を見てみるとぽこぽこと泡が出ていた
「このガスは主に二酸化炭素ね、大気中に含まれている物だし体に害は無いわ」
「液体の方の成分はどうでしょうか」
「そっちも人体に毒になるような物は入ってないわ、砂糖が多すぎると少し思うけどね」
「聖水とかは……」
「入ってるわけ無いでしょ」
人が飲んでも大丈夫で吸血鬼の弱点となるものも入ってないなら大丈夫だろう
私はコーラをお嬢様に出すことにした
◆
「お嬢様、コーラをお運びしました」
「待ってたわ!入っていいわよ!」
失礼します、と言いながらお嬢様の部屋に入りカップをお出しする
「これがコーラね、噂通り真っ黒ね」
「お嬢様はどこでコーラをお知りになられたのですか?」
「この間の宴会で魔理沙に聞いたのよ」
そう言いながらお嬢様はカップをぐいっと傾ける
「熱っ!?あっつ!なにこれ?!」
「コーラですが」
「なんでこんなに熱々なのよ!というか甘っ!甘過ぎでしょこれ!魔理沙はこんなもんおいしいって言ってたの!?間違ってないこれ?!」
「たまたま会った魔理沙に聞いたところそれであってるとのことでした」
「ほんとに?!全然しゅわしゅわしてないのに?!」
その後お嬢様はコーラを二度と飲まないと決めた後、魔理沙に文句を言いに行くと外出の準備を始めたのだった。
私は基本コーラかコーヒーか水しか飲みません