お嬢様の気まぐれ   作:テンペストランス

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近年春と秋が消えてしまったような気がしますね



暖かな冬

季節の移り変わりとは早いものでこの間まで暑かったように思えるのに気がつけばもう冬である

 

幻想郷の冬と言えばなんと言っても凄まじい雪である

前には冬が終わらないなどという異変もあったものだがその時は異変のせいで雪が多いのかと思っていたがその後も毎年あまり変わらなかった

 

あの時は誰かが「普段より雪の結晶が3倍くらい大きい」と言っていたような気もするが毎年これだけ降るならば雪の結晶の大きさなど誤差である

 

「今日はまた一段と寒いわね・・・・・・」

と、もっこもこの服を着たお嬢様も窓の外を見ながら呟いている

 

「毎日毎日飽きもせずよく降るわね」

「あと1ヶ月はこの寒さと雪は続くと思われます」

「暑いよりは寒い方がまだマシだけどだからといってこの寒さは考え物よね・・・・・・」

「これだけ降ると食料品の買い出しなども一苦労です。今日のメニューは暖かいシチューを作ろうかと」

「んーシチュー・・・・・・シチューもいいけどなんだか今日は鍋が食べたいわね」

「鍋ですか、かしこまりした」

「せっかくだし霊夢のところに行ってみんなで鍋をつつきましょ、暇だから遊びに行きたいし」

 

そう言いながらお嬢様は外出用の服をクローゼットから取り出している

かしこまりました、と返事をしつつ準備のために鍋の材料を取りに食料庫へと向かった

 

 

「というわけで遊びにきたわよ!」

「どういうわけなのよ」

 

博麗神社で霊夢はいつものようにコタツに入りお茶を啜っていた

豪雪で神社が軋んでるような気がするのだが気のせいだろうか・・・・・・

 

「霊夢、あなた雪下ろしとかしてるの?」

「毎日毎日降るのにいちいち雪下ろしなんかしてられないわよ」

「この神社屋根落ちてこないでしょうね・・・・・・」

「毎年落ちてないし大丈夫よ、多分」

「そういう問題ではないでしょうに」

「もし屋根が落ちたら萃香にでも直させるわ」

「霊夢ぅ〜私はなおさないぞぉ〜」

「じゃああんたみたいな酔っ払いはこの家から叩き出すだけよ」

 

なんともぐうたらな巫女である

まあたしかに霊夢がせっせと雪下ろしをする姿など想像できないが

 

「で、あんたらは何しに来たのよ。私は吸血鬼の相手してるほど暇じゃないのよ。用がないなら帰りなさい、用があるなら賽銭箱は表にあるわよ」

「鍋が食べたくなったからせっかくなら神社で霊夢達と食べようと思ったの」

「まあ座ってお茶でも飲みなさいよ」

 

現金な巫女である

急に機嫌が良くなった霊夢を横目に鍋の仕込みをするために台所へと向かった

 

 

鍋もあとしばらく煮込めば完成となった頃、普段の紅魔館でも夕食の時間となった

「お嬢様、私は妹様に夕食をお出しするために1度紅魔館に帰ります」

「わかったわ、ついでにワインをもう少し持ってきてちょうだい」

かしこまりました、と一礼して私は時を止めて紅魔館へと急いだ

 

 

「・・・・・・あんた咲夜のこと働かせすぎじゃないの?あんたと違って人間なんだから倒れても知らないわよ」

「大丈夫よ、咲夜だし」

「理由になってないわよ」

 

 

「妹様、夕食をお持ちしました」

「入っていいよー」

「失礼します」

「咲夜が夕食をここまで持ってきてくれたってことは今お姉様はいないの?」

妹様はベッドで本を読みながらこちらに顔を向けて聞いた

 

「はい、お嬢様は鍋を食べに博麗神社に行っております」

「えー!お姉様だけずるい!私も行く!」

 

そう言うと妹様は飛び起きて外出の準備をし始めた

私は妹様に従うだけである

 

余談だが妹様用の夕食が余ってしまったので美鈴にでも渡そうと思ったがこの大雪の中門の前で半分雪に埋もれながら寝ていたので美鈴は無視して夕食は神社まで持っていくことにした

 

 

「すっごい雪だねー」

「妹様、雪がかかってしまいます。もう少しこちらに」

「妖怪は雪がかかった程度で風邪なんか引かないけどねー、咲夜こそ人間なんだから気を付けないと」

「私は風邪を引いたとしても止まった時間の中で治せますので」

「だからといって風邪をひいてもいいことにはならないでしょ」

 

妹様と二人で神社へと空を飛ぶ

妹様に雪が着いてはいけないので少しゆっくりとした飛行だ

 

「それにしてもお姉様は暇さえあれば神社に行ってるわね」

「えぇ、よく霊夢に吸血鬼にならないかと誘っています」

「霊夢にぞっこんねー、咲夜は主人が別の人間に惚れ込んでて嫉妬しないの?」

「私にお嬢様の行動に意見する権利などございません。お嬢様の命に従うのみです」

「ふふっ、嫉妬してないとは言わないのね」

 

嫉妬・・・なのだろうか

お嬢様が取られるなどと考えたことは無い、それ以前にそんなことを考えることすら烏滸がましいのだ

 

「私はお嬢様の従者です。従者はただ主人に付き従い、使命を果たすのみです」

「お姉様は咲夜のことをそんな使い捨ての従者みたいに考えてないと思うけどね。たぶんお姉様は咲夜が紅魔館を出ていきたいって言ったら止めないと思うよ」

「私が紅魔館を出ることなどありえません」

「仮定の話よ、まあこっちに来る前のお姉様なら何がなんでも咲夜を手元に置いたと思うけどねー」

 

遠くに神社の灯りが見えてくる

 

「こっちに来てお姉様は変わったわ。もちろんいい方向にね」

「お嬢様は妹様が紅魔館の外にお出かけになるようになったのを心から喜んでおられました」

「ふふっ、私も変わったわね。私も、お姉様も、パチュリーですらこっちに来る前とは変わったわ。それでも1番変わったのは貴方よ、咲夜」

「私が・・・・・・ですか」

「えぇ、あなたは人間だもの」

 

神社についた

妹様は傘ありがとうね、と私に笑いかけると神社の中へ走っていった

 

「お姉様〜!私に黙って神社に行くなんてずるいじゃない!」

「フ、フラン?!ごめんなさい、来るとは思ってなか・・・・・・あっ!それ私の肉!」

「ガヤガヤうるさいわね、ここは私の家なんだからこの肉は全部私のモノよ」

「さすがに暴論すぎるんだぜ。ほら、レミリアにこのキノコやるよ」

「ちょっと待ちなさい魔理沙、そのキノコすごい色してるけど大丈夫なの?」

「なんだよアリスは心配症だなぁ、ちょっと齧ってみて舌がしびれなかったやつだけ入れてるから大丈夫だぜ」

「信用ならないわね・・・・・・」

「ならアタイが貰うわ!さいきょーのアタイにキノコの毒なんて効か・・・・・・キュウ」

「・・・・・・目を回してるわね」

「・・・・・・このキノコはどけとくぜ」

 

少し離れてる間に神社には人が増えていた

この神社はいつも人であふれている気がする

私も早く神社に入って暖まろう

そう思い、お嬢様の元へ歩いていった

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