スマホが震える。
画面を見れば、みらからの着信だと分かった。
直接電話してまで話す内容で思い当たるのは……アレしかないんだろうけど。
でも、なんて話せばいいのやら。
「……もしもし、みら? あおです」
『あお? 写真、見たんだけど……あれはなに?』
うん。まぁアレを見ちゃったらそうなるよね。リアクションに困るのも分かる。だって……
「博物館でショーケースに入れられて飾ってあるニンニク……なんだけど」
『なんだけど、じゃないよ! あんなキラキラのニンニクがなんで博物館に飾られてるの!?』
「なんでも、宇宙から隕石のように降ってきたニンニクらしいよ」
『ごめんあお……ちょっと何言ってるかわからない』
「みら………私だって、アレの説明には困ってるんだから……
博物館にあった説明には、最近見つかったニンニクの一種みたいで、降ってきた周辺の土地の栄養を吸い尽くすことが判明したって書いてあって……」
『ますます意味が分からないよ! まさか、ホントに宇宙にあるの!? にんにくが!?
やめて!! 私達が見上げてた星空の中ににんにくがあったとか考えたくない!!!』
「ほんとにごめん………でも、初めて私がコレを見た時、頭がパンクしちゃって、考えるのをやめそうになって……誰かに言わなくちゃって、私がおかしくなっちゃったのかな、コレは私が疲れたから見た幻覚じゃありませんように、って思ったの」
『あお………』
「そう考えた時に真っ先に相談しようと思ったのがみらだったんだ。でも迷惑、だったのかな?
ごめんね、みら……」
『いや、そこは気にしないで良いんだけど………寝た方が良いよ、あお。……最近、寝れてる?』
「うぅーん……寝れてると思ってたんだけど、まだ寝不足気味かもしれない」
『体に気をつけてね、あお。おやすみ』
「うん。おやすみ、みら。
―――変なコト聞かせてごめんね」
『ううん、大丈夫! それじゃ』
星空を見上げながら電話を切る。
やっぱり綺麗な星空………この時期は、南の方向にみずがめ座の
でもアレ、まさかいくつかニンニクが混じって―――
(――――――っ!!?
何を考えてるの、私!!)
もう駄目だ。確実に疲れている。
今日は可及的速やかに寝よう。そして、疲れが取れる食べ物でも調べて食べるとしよう。……ニンニク以外で。
みらとこの話をした1、2日後、隕石のように降ってきたニンニクを実食した勇者が現れたらしい。滋養強壮が強すぎて体を壊し、病院送りになったとか。そりゃそうなるでしょう。もう訳が分からない。
☆メテオガーリック
『トリコ』に出てくる特殊調理食材。
隕石が落ちた所に稀に生える不思議なニンニク。落ちた土地の栄養を吸い尽くすため、その栄養が見に詰まっており滋養強壮が強すぎる(常人がマッチョになり不眠不休で働けるようになる程)。
その生態から宇宙から降ってきたのではとか、元々は星だったのではとかの説があったりなかったりする。
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